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2018/07/19(木)
困った奴ら
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蝉取りも昔は今と違って網で採ったりはしなかった。網などは値段が高くて買えなかったのだ。そこで、僕らは藪に入って竹を伐りだし、その竹の枝を取り払い、その竿の先にハエトリ紙のネバネバを巻き付けて蝉を捕らえていた。魚釣りもそのようにしていた。トンボ採りも短い竹の先につけたタコ糸に結わえて友釣りをした。銀ヤンマだぞ、鬼ヤンマだぞといばりあったものだった。凧あげの凧も手作りであった。竹を割いてひごを作り、骨組みを拵えてから新聞紙を貼り、色をつけ、絵を描いた。従って、揚がった凧の二本の足が風でよくちぎれた。すると、凧がくるくると回って落ちてくるのだ。丈夫な足を如何に作るかの勝負でもあった。そこで僕らの必需品は肥後ナイフであった。よく切れるようにいつもナイフを研いでいた。寝ている間以外はいつもポケットにナイフはあった。こうして考えてみると、僕らは一年中遊びに困ることはなかったようだ。夏の朝早く、午前3時ごろ、僕を呼ぶ声がする。カブトムシやクワガタ虫採りのお誘いである。朝暗いうちに出かけて蜜を吸っているカブトやクワガタを採るのだが、気を付けないとハチやムカデもいるので用心しながら素手で捕らえる。家に帰ってからは蚊帳に潜り込んでそのまま眠る。すると、その日は大目玉となる。捕らえたカブトやクワガタが蚊帳の中を飛び回り、中には蚊帳を破って出る奴がいる。何とも困った奴らであった。
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