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2016/11/29(火)
日露の領土問題について(27)
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プーチン氏はこれ以上ロシア経済が落ち込み、国民の支持が離れて行く危険水域に達した場合には新たな対外強硬策を取る可能性も秘めている。11月22日に明らかになった国後島或いは択捉島へのミサイル配備はその下準備とも受け取れる。いつでも日米安保条約に攻撃を仕掛けるぞ、とのメッセージであろう。プーチン氏は米国の影響下にある欧州とは一線を画し、大国ロシアの存在感を示そうとしている。米ロの2大勢力下での勢力圏分割が彼がめざしている世界地図であろうと思われる。こうした下準備をした上での訪日であり、安倍首相とのトップ会談である。2島譲渡は日ソで合意した内容であり、ロシア市民の反発も少ないと思われる。4島となると 反発は大きくなる。それに見合う投資の内容と額は当然値踏みされるはずである。そして、「返還}ではなくあくまでもロシアのお情けによる「譲渡」を主張するであろうと思われる。又、日米安保条約との軍事的関係が浮上することは間違いない。プーチン氏は対ドイツ戦勝70周年記念式典に安倍首相が来なかったことを忘れていないという。もちろん米欧首脳はウクライナ問題でボイコットした。安倍首相も米欧首脳に追随した。プーチン氏は「日本が米国から独立した外交、軍事はおこなえない」ことをよく知っている。その上での米ロ二大勢力圏構想戦略の中での日本訪問は第二次大戦後のヤルタ協定の時のソ連と同じロシア第一主義、勢力圏分割論である。そこで日本はこの領土問題をどのように進め、解決を図るかが問われることとなる。まず議論の第一歩は天皇制の日本が武力で略取した領土は返還させるがそれ以前の領土は返還を求めないという戦後処理の大原則であるカイロ宣言に基づく交渉であろう。これが国連参加国大多数の同意を得られる第一歩となるであろう。又不戦を誓った日本国憲法の下で他国と戦争をしないという大原則に日本が立ち返る決意が必要であろうと思われる。それでこそ米ロの対立の中に日本がいないという安心感を国連の大多数国とロシアの日本への不信感を拭うことができるのではないだろうか。
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