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2013/05/30(木)
ドイツの労働法制改革(5)
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伊ボッコーニ大学ルカ・サラ准教授とアントネラ・トリガリ准教授、スエーデン国立銀行のウルフ・ソーダーストルム氏らもドイツや米国、英国、スエーデンの4カ国をモデルに労働市場の構造変化を分析し、12年に論文を発表している。その中で、07年からの失業率の低下要因を分析しているが、08〜09年の大不況時に失業者を多くださずに生産を維持しているという報告をしている。またミヒャエル・ブルダ独フンボルト大学教授、ジェニファー・ハント米ラトガース大学教授も大不況時に失業率の上昇が小さかったと報告している。彼らはその要因として「労働時間貯蓄制度」の役割に着目している。この制度は時間外労働に対して割増賃金を支払うのではなく、銀行口座と同じように所定外労働時間を貯蓄し、後でまとめて休暇などに使える仕組みにあるという。好況時に所定外労働時間を貯蓄し、この口座残高がある労働者を解雇すると企業は貯蓄された労働時間に見合う割増賃金を支払う必要があり、不況時には労働時間の短縮と併せ、貯蓄ゼロになるよう人員削減を先延ばしにし、残高がゼロになるころには景気回復を図り、人員削減をしなくても済むようになるというのだ。ドイツでは05年の時点で約半分の労働者が労働時間貯蓄口座を持ったという。そしてその後、この制度はオランダ、ベルギー、フランスなどの欧州諸国に導入されているという。つまり、労働者と国民に優しい政策が必要だということになるのではないでしょうか。日本も大企業擁護に腐心するのではなく、労働者、国民の家計に優しい政策を実行する必要があると思われます。
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