|
2013/04/13(土)
海外ツアー参加時の事故責任
|
|
|
間もなく5月。気候もよくなり、5月の連休中には大勢の日本人が海外ツアーに参加されることと思います。しかし、事故に巻き込まれるケースが近年増えています。今年、2月にはエジプトで熱気球事故で日本人4人が犠牲になりました。ツアーはJTB子会社が手配していましたが、気球クルーズはオプションでした。ツアー本体の企画ではなく、ツアー参加者が自ら選んで参加したもので、JTBは責任を負わないことを事前に明示していたとのことです。今回の件について、JTBは補償に応じる用意があるようですが、法律的にリスクの全責任を負わなければならないとはいえない状況があります。米ユタ州でツアーバスが転落(日本人15人が死傷)した事故の原因は大麻を吸引した日本人留学生の運転でした。刑事事件の訴追とは別に遺族は損害賠償を求めてユタ州で裁判中とのことですが、日本旅行の現地子会社である日本旅行アメリカ(NTA)が企画したこのツアーはNTAが地元ツアー会社に再委託、さらにこの会社がバス運行会社に再々委託していたというものですから、誰がどのように責任をとるのかがあいまいです。その上、現地バス会社に補償能力がない場合、日本旅行が全責任をとってくれるのかどうかも法律上の論点となります。旅行業法及び同法施行規則には安全配慮義務が明記されていません。判例では旅行会社は安全配慮義務を負うとの判断が示されています。ユタ州の事故の場合は、事故を起こしたバス会社が一部の営業許可を取得していなかったことが判明(企画したNTAは調査しないでツアーの運行を事故を起こしたバス会社に委託した)し、約款にもとづく安全配慮義務に違反しているので訴訟を維持できると判断したといいます。エジプトの熱気球事故のようなオプションツアーもかなり難しい訴訟となることが予想されます。そこで、海外へお出かけの際にはそのツアーの内容や責任関係の確認と自らの保険加入も考えた上でのリスク管理をしておく必要があると思われます。わたしは「この年まで生かされたのだからまあいいや」と思いますが、残された家族はそういう訳にはいかないでしょうから「やっぱりよく相談して」からということになるだろうと思います。
|
|
|