関大将棋部の日記
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2021/07/30(金) 私の夢はグラスワンダーです(H中)
外から黄色い帽子グラスワンダーが上がってきた。グラスワンダーが上がってきた。外を通ってローゼンカバリーが差を詰める。第四コーナーをカーブして直線に入った。さあ、先頭はスペシャル、豊の右腕がとんだ。グラスワンダー、もう言葉はいらないのか。二頭の一気打ちか、グラスワンダーかわした、グラスワンダーかわした。スペシャルウィーク負けるのか、グラスワンダー先頭だ。二頭が差を離した離した離した、グラスワンダーが先頭だ。的場、的場だ的場だ、やっぱり怖かった的場、グラスワンダーが勝ったー。

 今年の4月にはゴルシのゴの字も知らなかった私が、今では毎日グラスに会うためにウマ娘にログインしている。スポーツ新聞も昔は野球の欄しか見ていなかったのに、今では野球の倍以上の時間を週末の競馬情報を読むのに費やしている。どうしてこんなに変わってしまったのか。それはとある先輩の影響だ。名前は伏せておくが、ダービーでエフフォーリアに賭けて負け、宝塚記念でレイパパレに賭けて負けたあの先輩の影響である。今は自動車合宿に行ったため賭ける資金がなくなったそうだが、卒業するまでに一度は勝利した姿を見せれるよう、頑張ってほしい。
 さて、期末試験も終わり、これから夏休みに入るわけだが、何をしようかまだ決めてない人もいるだろう。英語や資格の勉強、図書館で読破、バイト、石田流を極める、海でナンパ等は候補はあるだろうが、私から1つおすすめしたいものがある。それは、ウマ娘だ。
 競馬とは金にまみれた大人の遊びだというイメージを持つ者も多いだろう。少なくとも昔の自分はそうだった。しかし、競馬にはドラマがある。それも人の感情を動かすほど盛大なドラマだ。1990年の有馬記念、1993年の有馬記念、1998年の毎日王冠、1999年の宝塚記念、2000年の有馬記念、2008年の天皇賞(秋)、2020年のジャパンカップ等、ここには挙げきれないほどいいレースがるので、一度調べてみてみるといい。特に1993年の有馬はいいぞ。そしてそのような競馬のドラマを私たちに教えてくれるのがウマ娘だ。アニメはほぼ史実に基づいている上、設定もこだわりぬいている。それでいてストーリーはしっかりしており、競馬初心者だった私にもその感動は伝わった。ゲームでも、キャラの動きが良く、育成も奥が深い。PSが要求されることはなく、必要なものはウマ娘への愛と思いやりだけだ。誠に素晴らしい作品である。7月の頭にやり始めて、すぐやめるかと思っていたら今日までやり続け、今のところやめる予定は全くない。最強のグラスを育成するまではやめられない。これほど私を燃えさせるゲームは初めてだ。

ウマ娘はいいぞ。

 さて、たしかに競馬はドラマ的な側面も面白いのだが、金にまみれた側面も面白い。そこで一つ競馬で絶対に勝つ方法に関する話をしよう。世の中には競馬の予想について研究する人たちもいる。ルース・ボルトンとランドール・チャップマンはパリミューチュエル方式(オッズをその馬に対する賭け金によって決める方法)の穴をつき、一般の人々が一貫して検知可能な誤りを犯すのならば、優れた賭け戦略によって、そうした状況を利用して儲けることができるかもしれないと考えた。つまり、勝つ可能性に対してオッズが高い馬、すなわち過少評価されているコスパのいい馬を利用するということだ。そして彼らは親の形質や直近のレース結果、スタート位置等からその馬の「優良性」を計算し、勝率を求めた。そしてオッズと比較して戦略を考えるのだ。このようにして構築した競馬予測モデルはまだ不完全であったが、さらに多くのデータを用意し改良を重ねることで、この方法を利用したシンジケート(賭けで勝つために組むチーム)が成功を収めた。もちろんこの戦略に必要なテクノロジーと知識を収集し運用するのに多額の費用がかかるため、我々一般人に真似できるものではない。しかし、このように大規模で戦略的に競馬で稼ぐ方法というのは聞くだけでも面白いものではないだろうか。さらに面白い話を知りたいという人は、アダム・クチャルスキー著の『ギャンブルで勝ち続ける科学者たち』を読んでみるといい。話を理解するのは少々難しいが、カジノや宝くじ、金融市場で科学的な手法を用いて成功しているという話は新しい視点を与えてくれる。暇なら読んでみるのもいいだろう。

 さて、これから夏休みが始まるわけだが、私の夢は言うまでもなくグラスワンダーである。星9のグラスを育成するため、まずは継承元から育成しなくてはならない。今はエルやウォッカを育成している。この前運よくエルのAランクが育成できたが、ついた因子は賢さだった。残念。しかしレースでは強いため、チーム競技場のダート枠、およびムーンライト賞で大活躍している。ムーンライト賞では絶不調でも1着をとるのだからたまげたものである。しかし、星3因子がつくまでエル、ウォッカの育成をやめるわけにはいかないのだ。しかし、エル、ウォッカの育成が成功しても、最後に待ち構えるグラスの育成の難易度は高い。経験上はスタミナを上げ損なえば間違いなく育成失敗だ。しかしそれに躍起になりすぎると今度はパワーが伸びない。パワーが伸びなくてもURAは優勝できるが、差し運用で競技場で勝つのが難しい。理想としてはABADCくらいの能力まで上げたいのだが、現実は厳しいものだ。最強グラス育成の道は険しい。それでも私は立ち止まることなく進むのだ。愛がある限り。
 この夏は頑張るぞ、えい、えい、むん!

2021/07/26(月) 長すぎる文章は誰一人として読まない(N川)
誰の影響かは判断しかねますが, ここのところ読むに堪えないくらい長い日記が続いていますね. しかし, それらの長文のうちどの程度がまともに読まれているのでしょうか. 文章の書き手が「このくらいの文章なら読んでくれるだろう」と信じて長い文章を書いたとしても, 文章の読み手は長文に直面すれば読む気を削がれますし, 仮に読んだとしても最初の数行を読んでつまらなければ, 以降は全て斜め読み, あるいはブラウザバックです. 書き手は普段考えていること, あるいは文章を書いている時に考えていることを文章に落とし込んでいるので, 自分の書いた文章を読んですぐに意味がわかります. しかし, 読み手は書き手の考えていることなど知りませんし, 少しでもわかりにくい文章ならば意味はほとんど伝わりません. 日頃長ったらしい文章を書いて周囲の顰蹙を買っている皆さんは「長文なんて書いても誰も読まない, ただの徒労に過ぎないのだ」ということを自省するべきでしょう.
以上のことを踏まえ, 今から長い文章を書いていきます.
将棋プレイヤーの皆さんなら, 次のようなことを考えたことが一度はあるでしょう. 「将棋は先手必勝のゲームなのか?」 考えたことがない人は今考えてください. ……考えましたか? 考えた方は律儀ですね, きっと将来大成することでしょう. まあ考えたところで絶対結論が出ない問題なので, 考える意味は無いんですが. この質問にYesかNoで答えるのは現代の人類には不可能です. なぜなら, 将棋においてルール上実現可能な局面は約10の226乗通り.[1] 全探索しようとすれば地球に存在するどんなコンピュータを用いても, 計算が終わる前に地球が爆発します. このような技術的制約から, 先ほどの質問に回答することは不可能なのです.
しかし, 質問そのものに答えることは難しくても, 質問の意味について考えることは全くの無駄というわけではありません. つまり, 将棋において先手(あるいは後手)必勝とはどういうことか, ということについて考えるのです. この疑問に対しては, 高校の数学Aで習ったような集合と論理の知識を使えば, 上手く定式化することができます. ここから先は若干の数学を用います(ほんの少し, ごく易しい). 数学に親を殺されたという方は読み飛ばしてください. またこれ以降の記述は学習院大学理学部物理学科の田崎晴明先生がホームページ上で公開している教科書[2]の第2章を参考にしました(というか, ほぼそのままに近いです). きちんと知りたい方は僕がこれから書く駄文ではなく, 田崎先生が書いた教科書の方を読んでください. 無料でpdfファイルをダウンロードできます.(続く)

2021/07/25(日) 長すぎる文章は誰一人として読まない(N川)
まず, 将棋というゲームは必ず有限手で終わります. これは一応自明ではありませんが,証明は省きます. 将棋のルール上可能な局面が(非常に膨大ではあるが)高々有限個であることと, 千日手のルールを併せて考えるとわかると思います. したがって, 一局の将棋の棋譜は有限個の手を一列に並べた有限次元ベクトルとして表現できます. ここではN手で対局が終了するものとし, 一局の将棋をx=(x_1, ... ,x_N)で表現します. ただし, Nは偶数とし, 対局は必ず後手の手番で終了するものとします. 少し違和感のある仮定ですが, Nを実際にかかった手数よりも大きめに取って, 対局終了以降の指し手をすべてパスであると考えれば一応辻褄は合います. 次に, 述語を定義します. 述語についての詳しい説明はしませんが, ざっくり言えば「変数を含んだ命題」ということになります. P_先勝(x) を「対局x=(x_1, ... ,x_N)は先手勝ち」, P_後勝(x) を「対局x=(x_1, ... ,x_N)は後手勝ち」というように定義します. 要するに, ある対局の棋譜を入力すると, 先手後手のどちらが勝つか判定してくれる関数のようなものということです. 例えば, 先手勝ちである対局x'=(x'_1, ... ,x'_N)をP_先勝(x)とP_後勝(x)に代入すると, P_先勝(x)は真になり, P_後勝(x)は偽になるのです. 以上の定義を用いると, 先手必勝という命題は以下のように書けます.
∃x_1∀x_2∃x_3∀x_4…∃x_N-1∀x_N P_先勝(x)
日本語に書き下すと, 「あるx_1が存在し, 任意のx_2に対して, あるx_3が存在して, 任意のx_4について, … あるx_N-1が存在して, 任意のx_Nについて, 対局xは先手の勝ちである」となります. まだわかりづらいので, もう少し翻訳します. 「先手には良い手x_1が存在し, 後手がどんなx_2を指しても, 先手には上手い切り返しx_3が存在し, 後手がどんなx_4を指しても, … 先手には上手い切り返しx_N-1が存在し, 後手がどんなx_Nを指しても, 対局xは先手の勝ちである」 要するに, この命題は相手がどんなプレイをしてきても勝てる必勝戦術が少なくとも一つあるということを表現しています.
数学はこれで終わりです. もはやほとんど読者が残っていないような気がしますが一応もう少し書きます. 上で行ったような定式化をもとに, ツェルメロの定理という面白い定理を示すことができます.
ツェルメロの定理
1. 2人のプレイヤー交互に着手する(二人ゲーム)
2.プレイヤーはゲームの局面を完全に知っている(完全情報ゲーム)
3.ゲームに確率的な要素は存在しない(確定ゲーム)
4.有限の手数でゲーム終わり, ゲームの結果はどちらかの勝ち, あるいは引き分けのみである(有限ゲーム, 零和ゲーム)
1~4を満たすゲームは先手必勝あるいは後手必勝, もしくは双方最善を尽くせば引き分けのいずれかである.
この定理の証明は田崎先生の教科書を参照してください. 流石に書くのが大変すぎます. ツェルメロの定理を見てどう思うかは人それぞれだと思います. 僕は最初この定理を見たときには, 「直観的に当たり前じゃないか」と思いましたが, 当たり前のことであっても数学的に厳密に示そうと思うとそれなりの手間がかかるのです. 何せツェルメロの定理は数学の定理には良くありがちな抽象的な存在命題です. 存在することはわかっても, 具体的なことは何一つ教えてくれません. しかし、抽象的であるからこそ, この定理は将棋だけではなく, 囲碁やチェスなど, 様々なゲームについて広範に成り立つのです.
さて, いかがでしょうか. 今回ばかりは流石に最後まで読む人はいないと思います. 思ったより長くなって書いている途中にめちゃくちゃ後悔しました. これでも色々端折って書いていますし, 終盤に関しては早く文章を収束させたくてかなり雑に書いています. 雑に書くくらいなら最初から書かなければ良いのですが, 何となくの楽しさで書き始めてしまいました. もう今後一切こういう文章は書きません.

[1]山本一成(2017),『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』 ダイヤモンド社
[2] 数学:物理を学び楽しむために https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/mathbook/


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