|
2016/06/11(土)
呉服屋の合併
|
|
|
日頃、懇意にしているのは、チェーン店(といっても、大手ではない)とは思えない、小紋や紬類の品ぞろえと昔ながらの着方の者にも配慮のあるとこなのですが、経営側でなにやらやってたようで、別のチェーン系列さんと合併することになったそうです。 というわけで、旧店名としての最後のバーゲンをするからとのご招待で行ってきました。 場所はいつもの店舗ですが、いつもと違う、閉鎖型の展示形態。 入ると何故かアンケート用紙の記載の依頼。
質問:持っている着物は何ですか?
選択肢には、振袖、黒留袖から始まってお召、小紋、紬に黒紋付きとほぼ全種類が記載されていました。会場入ってわかったことには、「持っていない種類を奨めやすくする情報」のようです。 この区分だと、全部持っているんですよねぇ。いや、振袖は持っていないけど。 なんか、この店のいつものバーゲン方式と違う。 いつもなら、「社長厳選の十日町の織物」がメインなのに、最初に出て来るのが「人間国宝の逸品」という宣伝文句。言い方が違っています。なんとなく、いやーな予感。
いつもは少しな訪問着が、人間国宝モノ、加賀友禅、中国刺繍と会場の半分を陣取っています。 今や、お祝いごとにしか着ない訪問着は手持ちのだけで十分。 よっぽど惹かれる柄なら別ですが、今回のは、そういうのはありませんでした。 帯コーナー。有職紋のいいのがあって「鳥襷だ!」と思わず叫んでしまいました。金糸銀糸を入れない有職紋の帯は作られる数も少ないそうで、出会いモノではなかなかお目にかかれない物です。 そこの出展社さんは、元々、6月にこの店で個展をする予定だったそうで、合併キャンペーンが6月に入ってきたので、協賛にしてもらえないか、ということで、ここにいたと。 ここだけ、この店っぽい品ぞろえと思ったのは、そのせいでしょうか。 襦袢は半額セールだけど、それでも小千谷の麻は高いです。 袷用の生地の方は、絹100%と書かれているのに、妙に化繊っぽい手触りの反物がありました。 「こっちが日本製、そっちは中国製ね。着心地が全然違うよ」 日本製のはよく知っている絹襦袢の手触りです。 中国製のは安いのだけど、こんなにも違うんですね。 業者さんの来る展示会の面白いところは、こういう「よーく見て、価値のありなしの見分けって、こういう点なんだよ」というのを教えてもらえること。 単品だとわかりにくいものも、展示会のように沢山あると、その場で見比べできるので、「高いものはこんなとこが違う」とわかります。一度比べてしまえれば、後は単品でみてもどっちか判断つきやすいです。ちゃんとしたものが高いことを納得できる時間です。 (買えるかは別。やっぱり、高いんだなぁと思うしかない物も)
今回、なんとなく、大手チェーン店系のバーゲンと類似してたので、この合併、この店の持つ味を壊すんじゃないかと一抹の不安。 成人式や結婚式以外で着物を着る人が減少の一途を辿っているこのご時世、式服じゃない着物に力を入れる店はきついのだと思います。 ちょっと様子見な状況です。
|
|
|