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2016/11/26(土)
夏は暑くて、冬は寒い
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「夏は暑くて、冬は寒い衣服」ってどうだろうか? 企業の制服であったりして、「あー、制服って面倒」と思った記憶もあるが、最近、「夏服は暑いし、冬服は寒いのよね」という話を聞いたのは、なんと、着物のこと。 私は、着物は夏は涼しいし、冬はあったかくてサイコーって思っているが、夏の涼しいは結構説明しづらい。一方、冬は「着こめるんだから暖かいって判り易いよね」と思っていた。 ところがだ、「腕が寒いって言うんで、アーム・ウォーマー作ってみたんです、試してくれませんか?」という。 着物の袖からそういうのが出てるって、私のイメージでは「おばあちゃん」って感じなんだけど、この店のターゲットって若い子の着物促進よね、と。
さて、なんでこんな違いが起きるのだろうか? 考えてみた。 まず私と初心者さんは着方が違う。 優妃は、夏は襟元は開け気味、冬は締め気味にする。 夏は熱気がこもらないように、冬は熱気が逃げないようにする。
次に素材が違う。 初心者さんは、化繊の着物には化繊の襦袢を着る。 優妃は麻の襦袢である。更に、肌着とステテコも麻の楊柳地。 昨今普通な重ねガーゼ地の肌襦袢は実は冬仕様。 夏な通年用のさらしか、盛夏は楊柳地(綿楊柳か麻楊柳)である。 「そんな高級品ならね」と言われそうだが、麻楊柳の下着は オッサン用オバサン用には夏の下着の定番なのである。 着物用の麻肌着は高級だが、洋服用の肌着は最低価格の下着より少し高い程度である。 冬はウールの長じゅばん。案外と安価である。 チェーン店にはないことが多いが、小売り店だと柄の選択肢はともかく、何がしかのはある。洋服用の冬用高機能肌着も。 イマドキ、ユ○黒さんだと、冬モノ定番が「あったか仕様」だったりする。
冬は戸外散策なら、正絹着物を二枚重ね。昔の人は3枚重ねとかしている。これは絶対あったかい。 「持っている人はね」と店員に言われたが、下の着物は下着みたいなものだ。リサイクル屋の安い正絹でも十分。
トドメに居住まいが違う。 着付けでも「空気の流れ」にこだわっていた。 冬は袖のたもとの後を折るようにして、袖をふさぐ。 これで袖の中を冷気が駆け抜けること防ぐ。 脇は余り広げないようにして身八つ口も開かないようにする。 夏は逆、これらの着物の開きから空気を逃がす。
これは装束の下衣である白小袖の遺物(?)を見て気づいた。 冬ものは綿(当時は真綿)が入っているのは当然として、袖口が狭く、身八つ口も綴じている。夏物は生絹(すずし)という夏物生地もさることながら、袖は広口である。 試してみた。ホント、暖かい。
素人さんが知らないのはともかく、キモノ屋さんが知らないでアーム・ウォーマーの開発とはね。
厳冬には羽織着てコート着れば、手袋だって不要な筈なんだけどね。まさか「帯付じゃ寒いんですぅ」じゃないとは思いたい。 それって「ワンピでクリスマスの街歩くのって寒いよね」と同義よ。オシャレなコートが冬の必携なのは、洋服も着物も同じ。
どっちかというと、寒いのは重ね着できない足袋。 靴の皮すらないから、洋服よりもここは寒いわけよ。 足元ホッカイロとかあるなら、足袋用開発してくれるといいのに。
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