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2015/09/23(水)
麹町二婆二娘孫一人
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シルバー・ウィークも過ぎると気候は秋まっしぐら。 もう薄手の長袖が普通になる時期です。 着物は絽や紗から透けない単衣に代わります。 単衣大島、単衣縮緬などを見かけるようになりました。
ここのところ、本といえば、学術本か時代劇ノベルかという状態だったのが、発作買い。いや、この本も某書店の「時代モノ」コーナーにあったんですが。 「時代モノ」といっても幕末以前ではなく、戦前というところでしょうか。麹町に居を構える猪年生まれの女性達の話。 私も母と大伯母で同じ干支なので、その辺も共感した点でしょうか。 そして、何より、この本で登場人物が徘徊する場所が、私が徘徊する場所と何故にこうも同じなのか? 麹町、有楽町、新宿、原宿、神楽坂に江戸川橋。よーく知っています。
時間軸と共に語られるのは当時の事件。「あった、あった、この事件」と懐かしくなります。二婆達だと関東大震災、皇太子のご成婚、地下鉄サリン事件も出てきました。神谷町駅下車で通勤してた彼女はよく被害に遭わなかったものです。最後は3.11東北大震災。自宅の門が崩れ、母屋にも屋根破損が出てしまったので、続編が出るとなるとどうなることか。
トドメに、この作者が想像しえなかった点として、私がどの世代のファッションにも通じていること。 『二婆』の着物、『二娘』のビジネス・ファッション、『孫一人』のロリータ物、厳密な好みに差こそあれ、これ全部、時と場合を変えて着ています。 そういう意味では「ファッションの記述のツメが甘いなぁ」と思ったりして。この話ではそこを詳細に描くことにさして意味はないのだとは思いますが。書いたら「なんとなくクリスタル」ばりに説明が必要になることでしょう。 着物は花柄メインな小紋かしら、江戸粋な縞じゃないわねとか、 二娘は大学時代はコムサで、今はミッチかな、とか ロリータ服はBabyにするか、少し抑えてAnq RougeかLisLizaか。
気になったのは、どうみても、お嬢様達は私立女子校で、ねえやのその娘は都立だと思うのに、中学高校時代が描かれないこと。 気になって作者のプロフィール見たら、千葉の公立卒。 偏見かもしれないけど、県立卒で大卒の場合、思い出は大学になります。一方、私立卒の場合は、これが中高時代になります。 日本全国で言えば、お嬢様私立卒よりも県立卒が圧倒的に多いのだから、その辺にこだわらなくても良いのでしょうけど、祖母である富子さんの最終学歴は女学校であろうと思うと、彼女には女学校の思い出を語って欲しかったと思う次第。 舞台の麹町近辺はお嬢様女子校が密集した地域の一つ。 大妻、麹町学園、千代田、女子学院 東京家政学院、白百合、三輪田に和洋九段、雙葉。 家の主義は今一つはっきりしないですが、古風ならば大妻か和洋九段、家政学院。親が海外向きな職業ならば、フランス語の白百合、英語の女子学院。合理的な娘は大妻か三輪田、孫は破天荒なので女子学院かなぁ、なんてね。 各人、行った学校が違うので、感性に差がでて、言動を掴みづらいところがあるという設定もいいなと。 現在進行形で女子校にいるとおぼしき孫の交友関係が出てこないのは気になる次第。
この作品のスピンオフ作品はないのかな。アニメやゲーム。ラノベだと同人誌が出るのですが、この作品じゃ無理かな。
こういう女所帯で宝塚の話が一切出てこなかったのは気になること至極。
ふわんとした感覚で読めてしまう作品でした。
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