優妃 讃良の着物についておもうこと
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2014/08/15(金) 戦が嫌いな日本人
本日は盆の中日であり、終戦記念日である。
日本人は戦を嫌う哲学を持った民族らしい。
それが証拠に「天下が平定」されると、途端に武人は武人でなくなる。
中国にも「狡兎死して走狗烹らる」のことわざはあるが、それは軍隊の撤廃を意味するものではなく、政権をとってかわりそうな疑いを為政者側が持った相手を駆逐する意味である。
ところが、日本の場合、武人が消えてしまう。
蝦夷と呼ばれていた東北が平定されると、坂上田村麿が率いていた筈の軍隊はいなくなってしまった。
朝廷には近衛、兵衛、衛門と武人を表す役職があるのに、彼らのしていることは、門番とお供と舞楽になってしまう。
武官装束の背の矢なぞ、みてくれ重視で飛ばすことなどできないものであったり、綺麗に飾る故に即戦的に抜くこともできないのもある。
そうすると、市中取り締まりや外門警備に「北面の武士」などを使うようになり、それが「武士の台頭」を促してしまう。

そして、その鎌倉幕府をやっと覆したのは、鎌倉幕府を支える御家人に数えられることのなかった「悪党」と者達。
つくづくと、権力を手にした者は己の手を血に染めることを嫌う。
そして、悪党を従えていた筈の後醍醐天皇は武力の行使を忌避し、戦局は泥沼化する。

戦国の世を終わらせたのも、また同じ「武士とかぞえられなかった者達」だった。津島神社の門前という商業地区のあがりを元手に、次男以下の者や武士以外の出自のものを重用した織田信長。
それをついだ豊臣秀吉により、「総無事令」が出され、「紛争の解決手段としての武力の行使」が禁じられた。
そして、江戸幕府の安定期、紛争の解決手段は、まさに「書状を書いて、訴訟を起こす」ことに代わる。
刀を取るのではなく、筆を執るのである。
まさに「ペンは剣よりも強し」の時代、百姓町人に至るまで読み書きが普及した理由の一つがここにある。
「法を守らねば、町人よりも大名の方が有罪」にもなりうる法治体制はおそらく欧州ではこの時点では成立してはいない。
(1600年頃、欧州は大航海時代。欧州国家間も国境線争いのまっただなか。領主配下の庶民になんら権限はなかった)

幕末に、剣をとったのも「武士」ではなく「武士ではない者」達だった。多摩の農民であった近藤や土方率いる新撰組、庄内の郷士である清川八郎、そして、坂本龍馬は、武士にこそ数えられるものの下士といういわゆる「武士」である上士とは別格な者。

幕末から第二次世界大戦まで、欧州の真似をするが如くに国際紛争に参加したものの、最終的に敗者となり、戦争放棄を憲法として「押しつけ」られる。
が、どうのこうの言いながら、平和憲法をタテに「戦争はしない」と言い続けたのは、やっぱり「しなくて済むなら戦争はしないでいたい」というお国柄ではないのだろうか?

狩りをして獣をかり、手を血に染めてはじめて食物を得る騎馬民族に対して、地が戦に荒らされ、森が燃え、川が血に染まれば作物が育たなくなるという農耕民族とでは、考え方が異なるのも道理。

地方に行くと、養豚業者などを低く見ているのにびっくりする。
悪気なくサクっと下に見ているのである。
「生き物を殺して売っている商売だから」だという。
極論するとメスを握る外科医すら「褒められた商売ではない」という。
それくらい「血を出す」ことを嫌う。

そういう意識を綿々と受け継いできた民。
太平洋戦争といえば、国内は被害者的語りで満る。
みな「やらされた、強いられた行為」なのだと。
たぶん、実際そうで、「他国を蹂躙すること、自ら返り血を浴びて人を殺すこと」に賛成していた人ではなかったのだろう。

嫌いなのだから。己の手を血に染めることが。
己の手を血に染めてまで為さねばならぬことなどないと思うのだから。


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