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2013/09/21(土)
風俗を作る
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何そ、このタイトルは?と思われましょう。 普通なら、「風俗」は作るものではなく、調べたり、合わせたりするものでしょう。
何かというと、ゲームやアニメの二次創作品の話です。
元作品のストーリーに描かれていなかった時点を書くわけですから、まずは「元作品で描かれた風俗」を理解し把握することから始まります。 平安時代や戦国時代を想定した作品の場合には、補完資料として、歴史文献にもあたります。
とはいえ、史実の特定時点を想定したものではなく、「のような世界」の場合、史実だけを追うわけにはいきません。 そこは史実とは異なる世界であり、そこにはそこだけの「風俗」が存在するのです。
そして、このような二次創作の場合、いかに、元作品に語られなかった風俗を描きだせるかが、作家の力量になります。
戦国BASARAだと、日本の戦国時代をイメージしてはいますが、生まれた歳が極端に異なる人間が交錯し、当時ない筈の「湯呑に玄米茶」が登場する。安宅船に対するは、西洋式の船舶を乗り回す輩。 衣服も「南蛮衣装」ですら説明のつかないもの。 はては、「ザビー教」なる異国の宗教まで登場。ザビエルを想定しているわけですが、「日本に来て、『愛』に目覚めた」という新興宗教の教祖として描かれるので、元の宗教教義とは異なるわけです。そこに、史実ではキリスト教にならなかった大名までもが入信する設定。
そうなると、この部分にふれるストーリーを書くためには、この「ザビー教」を定義しなくてはならないわけです。 それは、入信した大名達が、どのような点でその宗教に救いを求めたかを考えなくてはなりません。 とすると、その前に「その人物はどのような状態におかれていたのか、それはこの世界において、『大名』という立場にある者には共通の状態なのか?」と追求は進みます。
とみると、戦国BASARAの世界では、『武将』達の意識は、史実の戦国時代の武将とは異なっていることが見えてきます。
・家臣を「仲間」と呼び、共にに自由を追う者 ・領民どころか家臣すらいないようにしか見えない者 ・電動や、複雑な動力機関の設計にかかりっきりな者
こんな武将がいるかと思えば、史実に近い
・お家のために己を殺して主君たろうとする者 ・ただ己の領地をひっそりと守る者
などもいます。 その間に、はっきりと、日本全国全てをその手中におさめようとする者もあり。 信長と秀吉、家康は当然として、「生まれてきた時期が遅すぎて天下を狙えなかった」伊達正宗もそこに参戦しています。
そして、何より、史実ではありえない、遠隔交流。
これらを成り立たせる世界設定は、史実とはずいぶんと違うわけです。
この「風俗を作る」作業は結構面白いです。 特に「ザビー教」の奥義や儀式を定義するのは好きです。 元作品では『愛』を謳いつつも、金集めに貪欲である教祖。 それをある作家は「昨今もよくある金集めの新興宗教」と定義しました。はたまた『愛』から「性秘儀」をメインとしてR18に走る者。 でも、単なる「金集め」や「性欲望」だけではその宗教に走らないでしょう。それは今の新興宗教でも同じ。 彼らはそこに惹かれたのか?在来の宗教とは何が違ったからなのか? 私の書いている二次創作の定義の中では、ザビー教は、それを求めた者を不幸にはしない設定にしています。 もちろん、「ザビーは金集めに汚い」も守ってます。 それは両立すると思っているので。
そうやって作り上げた「世界」と「風俗」はこの現実とも史実とも異なるもの。
普段は何を着ているの? どんな食べ物をどんな作法で食べているの?
こんなことを考えると楽しいです。
私の定義した毛利元就は、普段は狩衣姿です。 (人によっては、着流しや長着に羽織姿もいます。)
そして、座り方は楽坐(らくざ)。これを元就の座り方の特徴としています。他の武将は胡坐(あぐら)というか、武者座り。
ごはんは一人お膳です。一人で、もしくは愛する人とはさし向かいにお膳を置いて食事をします。
緑茶はありますが、湯呑ではなく、お味噌汁椀のような漆塗りの椀で飲みます。 甘いもの大好きの元就は和三盆の乾菓子や練り切りを常備。
と、微妙に史実とは異なるちゃんぽん設定。 当時の武将は普段は肩衣という裃の元になった衣服か直垂を着ていました。史実の元就も直垂姿で描かれています。 座り方は元就だと武者座りでしょう。今川義元だと楽坐の可能性がありますが。 ごはんは一人でします。妻や側室と食事は共にしません。 煎茶が一般化するのは江戸時代。この時期はお抹茶。 甘味としては干し柿と南蛮渡来の金平糖。饅頭はあったでしょうが、和菓子は現在のように洗練されてはいないです。和三盆糖も江戸時代に登場したものです。
違うとわかってても、元就には和三盆の練り切を食べさせたいなと思う。
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