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2013/03/08(金)
おじゃるおじゃるの軍団
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「女信長」のFacebookが始まり、メイキングや撮影ショットが公開され始めました。 時代劇の史実とのすりあわせをするのが「時代考証」という立場です。衣装に関しては別途「衣装考察」とか「風俗考察」という方が担当されることもあるとか。 衣装は、「予算的に調達が難しい」「見栄えというものもある 」ということもあって、割と、確信犯的に違うことが多いです。 特に著しいのが、公家の衣装。真面目にやると、帝の前に並ぶのは真っ黒けの束帯のカラスの軍団。地味な上に、ドラマ用の貸衣装にそう何着もないらしいです。 しかし、どうして、本来ありえない筈の衣装ならわんさかあるのかについては疑問。
さて、この写真、どういうランクの人物達を撮ったのあと考えてみました。 まず、場面は「信長が帝に拝謁したとき」とのこと。 これが、どの時点のことかで、信長の座った場所が違ってきます。「女信長」で最初に拝謁したと出てくるのは、美濃攻略前。けんもほろろな待遇にぶぅ垂れる。この時点、尾張守も自称に過ぎない信長の扱いは、「地下(じげ)」つまり、庭先の砂利の上がいる場所となります。その後、段々と位階を上げ、右大臣、前右大臣まで行きます。 右大臣だと、御簾のすぐ前が位置になります。
ちなみに、この「御簾の向こう」なんですが、この写真から見ると、「廂の間」ではないかと思うのですが、実際はいかに? 「廂の間」の奥に「母屋(もや)」と呼ぶエリアがあり、帝は母屋の方にいる筈です。なので、少し端近(はしぢか)に居過ぎではないかと思う。
で、縁に座る人物達。頭には垂エイ冠なので、文官ですね。 そして縁に座れるのだから5位以上。 でも、文官なのに、太刀を佩いています。征夷大将軍など、武家の場合は、文官と兼任していても、太刀を佩きますので、武家の想定かもしれません。 背中に白い紐が巻かれているのは平緒の後ろ部分でしょうか? 平緒の紐は見えないようにするんですが。(見えないからこそ、緒でなく、細紐でごまかしていいわけで) そして、公家だろうが、武家だろうが、柄モノの生地は間違い。 社長の前に行くときの背広がダーク系じゃないのと同じくらいの間違いです。 御簾に近い方から位順に並ぶので、御簾に近い方から黒、赤、紺になります。これ以下は建物の外です。黒と赤は地紋がありますがTVではまず映りません。
これは余りによくある間違いなので、諦めの境地。
ああ、右大臣の黒の束帯の下に緋の単を着た天海さんの信長を見たいな。さぞかし美しかろう。
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