|
2012/03/04(日)
着物の裄
|
|
|
先日、娘の着物の採寸で「1尺9寸5分の裄はないだろ!」と騒いだのであるが、着物雑誌の某会合に出ていた着姿の写真を何気なく見たら、下げた腕が手首まですっぽり覆う程の着姿があった。それも一人二人ではない。しかも、若い子だけではない。着物歴はわからないが、そこそこ年配の人でもそんな裄である。 あんなポーズを取れば、私の着物はどれも、にょっきりと腕が出る。
いつから、そうなっていたのだろうか? この着物雑誌を見始めた頃はそうではなかったように思う。 その頃は茶髪に合わせる着物もなかったし、レースやラメをあしらうこともなかった10年程前のことだが。
そういえば、女性モノの反物にも1尺5分や1尺2寸といった広幅の反物をよくみかけるようになった。逆に柄幅を8寸しかとっていない手紬絣は稀にすらみかけなくなった。
流行は変遷する。 着物がかつて「小袖」と呼ばれた頃は、肘下程度の袖だったことが、戦国時代や安土桃山の絵画からは見て取れる。 京都の時代祭りの衣装でも、その辺りの小そではちゃんと短めに仕立てている。 これが段々と長くなってきたのだ。その延長に今の裄があると思えば、そうおかしな変遷ではない。
で、私が、それに合わせて裄を長くするかというと、それはまた別の話。裄や袖丈は、慣れというものがあり、普段と違う長さにすると、ひっかけたり、袖をとりそこねたりする。 「慣れている」からこそ、変えるのはマズい。
お姫さんも、もう並寸の裄に慣れている。 彼女が、老年となる頃には「えー、そんな短いの着てるの?」となるかもしれない。
|
|
|