優妃 讃良の着物についておもうこと
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2012/12/16(日) 女だって武術はOKよ
『女信長』のツッコミは続く。
今度は、武術。
原作では、体格、体力が男性に劣る、女性である信長は、剣は振るえないわ、弓はへなへな、槍を持てばヨロヨロ。馬を乗り回せば、太腿は紫に腫れあがるなど、「日頃から鍛えてますか?」と怠慢ぶりを感じる記述がされています。

史実では、京都風というか、公家風の微妙な薄味は不得手で、田舎臭い濃い味付けを好んだとされ、この理由として「日頃から武道の鍛錬を欠かさず、日々、汗を流す習慣から、塩分糖分を多く必要とする体質となっており、これが濃い味好みとなった」と解釈されています。
というわけで、天下人となってからも、汗っかき体質というか、汗かくようなことを日々やってたことが窺われます。

まして、産まれたときから男子とされ、2歳で那古野城の城主とされた信長です。当然に武術を教え込まれている。
史実では、剣、弓、鉄砲、兵法はしかるべき師についたとされています。

日々、これらの鍛錬を怠ったとは思えません。

んで、問題なのは「でも、所詮、女なんだから、男が普通に鍛錬して程度にも叶わないんじゃない?」という点。
これは、経験者が教えてくれました。

剣道部所属女性曰く「日本刀は身体全体で振る。無用な筋肉はいらない」
渡辺多恵子の「風光る」で、ヒロインが、兄の形見の日本刀を扱いかねて「やっぱり女じゃ駄目なんだ」と思うところを、沖田が、身長に合わせた短く、また樋を入れることで軽量化した刀で思う存分活躍できるようになる。
つまりが、「体格にあわせた長さと重量にすればno problemよ」と。

弓道部所属女性曰く「アーチェリーと違い、和弓は力がなくとも射ることができるように改良されて、あの形状になっている。遠くに飛ばすには強弓が必要だが、30m(現在の近的)60m(現在の遠的)程度なら、マッチョの必要は全くない」
実際、男子だと、弓の張りの強い、15kgから20kgが平均で、女子の場合は、12kgから15kg位が平均であり、わが娘に至っては、いまだ11kgという弱いものを使っているわけですが「当たるかどうかに差はない」とのこと。

槍はどうだが知らないですが、女性の武道にそもそも「薙刀」があるわけで、これも、力強い男性の筋力を必要とはしなさそう。
太平洋戦争では、本土上陸にあたって、女性に竹やりの訓練をさせた位なので、比較的簡単に上達する武器ですね。
もちろん、三国志をはじめとする、中国武将の「振り回した槍に雑兵が数人まとめてふっとんだ」なんてのは、強力の為せる技ですが。

火縄銃に至っては、現在のライフル射撃競技に女性も活躍しているのをみれば「男でなければ銃は撃てない」ってことはない。

馬術部所属女性曰く「男女差?ないわよ」

「相撲で勝負だぁ!」と言われたら、上背のある筋肉男には叶わないでしょうが、武器をとるなら、女性であることは、そうマイナス点ではないです。

まして、信長は、最初から「武将格」。策略こそ、真骨頂。
ここは河惣 益巳の『サラディナーサ』を引きましょうか。
フィクションですが、スペイン王家の血を引くヒロインは、男性も顔負けの策略家です。

優妃の場合も、新人配属の時点で、所属の係長から「目線は営業本部長辺りがどう考えるかで見てみろ」と言われ、その目線でビジネスの判断をする癖をつけさせられました。
女性の場合は、こういうレベルの目線で見るような指導をされることは少ないし、まして任されることも少ないわけですが、信長は最初からその目線で見るように鍛えられている筈。

どっちかというと、気になるのは、「いつ、己が女だと意識したんですか」という方。そして「女だと楽なのに」と思ったのはいつか?
原作では「二人目の子供が男児だった土田御前は、男児を偽っていた女児の信長を廃嫡するように迫るが、夫はそれを聞き入れず、名児耶城につれていき、城主としてしまう」と。
二歳児が性別をどうのこうの感じる筈もなく、守役もそれには言及しない筈。元服は12歳。当時だと初潮も迎えていない筈。
男児でも声替わりが17,8歳だった時代、美濃から妻を迎えたときに高い声のままでも、誰もいぶからなかったでしょう。

そして、戦国の世「女の方が楽」なんて、絶対に思えません。
当時の結婚は政略結婚。恋愛結婚は男女共にありえない。
そして、女性は人質として他家に赴くのが基本。
その一方、昨今の研究により、留守居を守るのは正妻の役目であり、戦役で討ち死にした者もいます。
「戦争で妻の役目は炊き出しよ」なんて銃後の役割どころか、戦線にも出ていたわけです。
「のぼうの城」の甲斐姫は、江戸の読み本では真田幸村相手に薙刀をふるっての丁々発止。その義母は大田道灌の孫の面目躍如か謀略を奮う。城主なき忍城の女性達はこんなにも元気です。

なので「女に戻れたら楽になるか?」と自問しても
「やらざるをえないことに変わりはないか」となるのが戦国の世。
「女とばらせば、あなたに安らぐ場はなくなる」という光秀の言葉も意外。逆に、隠し事がなくなって自由になれたのではと思う。
井伊直正の先代である井伊直虎や立花道雪の娘、立花_藺紊覆鼻⊇_C任△襪海箸魍屬垢海箸覆Q汎弔魴僂い声圓ト瓜タ紊砲い襪錣韻任垢C蕁」

西洋の「騎士道精神」は「姫君・奥方を守ること」を「主に仕えることと」と並んで重要視しますが、「武士道精神」には主への忠誠はあっても、その細君への意識は皆無。
この辺、東西で価値観が異なるところでしょうね。


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