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2012/11/04(日)
「のぼうの城」
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11/3公開の「のぼうの城」を早速見に行ってきました。 なんか、地元民には「1000円で見られる券」が配布されておりまして、はい、前売り券より安いです。 そのせいなのか、何なのか、熊谷の上映館は、その回「全席満席」でありました。 ここんとこ「真ん中の数席だけ人がいる」なんてのばっかだったので、満員なんて、シネコンで初めてです。
お衣装は、染め結城に紺袴。袴下の帯は萌黄木綿の独鈷柄。
で、肝心の映画ですが、久々に、「いい娯楽映画」に出会えたと思いました。 TVフレームもどきのアップの連続とかもほとんどないし、CGはすんなり画面に溶け込んでいる。 役者は達者な演技でいい味出してるし。
瑣末な所作が「おお、戦国!」という感じなのは、歴女をくすぐりたいためなのか? もっとも、装束的にはツッコミ満載でしたが。 戦国の女性の衣類は、今の着物よりも身幅が広く、逆に袖は短いのです。この広い身幅があればこそ、ガラシャ夫人やお市の方の絵図にあるように、女性も胡坐で座ることが可能に。 身幅が細い、今回の衣装では、姫様は正座するしかない。
「歴女なら気付いて」なポイントはコレ 1)右脇に置いていた刀を「開戦」といった瞬間に左に置き換える。右で抜くので、右手にあるということは「抜かない」ということを意味します。逆に「左に持ち替えた」ということは、「いつでも抜ける」つまり、戦をするという意味になります。 2)キンチョウ:えい、漢字が出ないゾ。刀を腰に挿したまま、1寸程抜き「チン」と音を立てて挿しなおします。 これは「武士の誓い」で二言はない固い誓いを意味します。
って、1)は漫画「風光る」に登場、2)は「あさぎ色の伝説」に登場と、新撰組の漫画で知った知識です。 実写で見ると、「チョーかっこいい!!!!」
そういうとこをカッコよく見せてるってとこが、この映画の「娯楽映画」たるとこらしい。
アクションシーンは「レッド・クリフ」もかくやのできばえ。 原作シナリオでも、柴崎和泉と正木丹波がカッコ良く立ち回るのですが、その通りにバッチリきめてくれました。 酒巻は「イケメンの若手」なんですが、原作以上にオチャメに決めてくれました。 そして、主役ののぼう様は「野村万斎なら、こう演るかな」と思った通りにいい感じ。狂言師ならではのうまい間の外し方、口調の急展開、そして、所作の滑らかなる美しさ。 甲斐姫でなくとも、ホレてしまいますわ。
そして、「昨年9月公開を一年延期」にした原因の水攻めシーンの迫力。津波を彷彿とさせるシーンは、昨年公開は辛い。 それ位、迫力に満ちており、そこから逃げ惑う農民達の恐怖、逃れた後の朦朧とした様子は、津波の避難民をイメージしました。
そして、その1年があったからこそ、入れ替えたというエンディング・ロールの背景。 最初は、「石田堤の現在。現代人が行きかう。」それは「あのときの興亡も時が過ぎれば、残るものはこの堤ばかりなり」というメッセージ。それに「桜満開の丸墓山古墳に幼稚園児の遠足」と「早苗の田んぼを行きかう小学生の下校列」が加われば、「あの戦で荒れ果てた場所も、時が経てば、かく回復する」という庶民のささやかな幸福が回復したことを指し示します。 一つカットが増えただけで、メッセージはかくも変わるとは、なにか、映画論、演劇論を見る思いです。
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