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2011/09/17(土)
歌舞伎うつし
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大体、この時期まで残暑で暑いと相場が決まっているが、今年はひときわ暑いように思う。 「暑いなかにもさわやかな風が秋を感じさせる」のがこの頃なのに、確かに、秋風は感じるが、夏の熱波のパワーいまだ衰えずといった風情。
そんな中、「歌舞伎の衣装の意匠をうつした作品を持ってきてますので」という呉服屋のお誘いに、つい見にいってしまいました。 「うつし」といっても、実際に歌舞伎の舞台衣装を用立てておられるお店のもの。「染めは東京でもしますが、織りは京都ですぅ」となんとなくはんなり口調の職人さん。 染めだと思っていた着物の大半が織りでできていました。 舞台では着物に使われている生地を帯にしての提供。 「同じもんです」というのやら「同じ柄を色を換えて」というのやら。 弁慶格子は配色が決め事だそうですが、それを帯にすると、「あらぁ、粋な江戸のおネェさん」という感じ。江戸時代「奢侈禁制」で「鼠とか茶を着ろ」と言われた、その濃い鼠や茶の上で帯が映えます。
が、自分がそういう「小またの切れ上がった粋なタイプ」じゃないことはよーくわかりました。「はんなり」には、そこここ自身があったんだけど、「粋な」はまた違いますね。手持ちにそっち系がない(着慣れてない)し、なんか、今更、そっちに手を出す根性もない。
サェないオバさんが、墨色の万毛筋に、先の弁慶格子やらをあてたら、「粋な姐さん」に変身!いや、びっくりとはこのこと。 その人はふんわり、はんなりの京都系より、キリっと江戸っ子系の似合う方だったようです。 着ていた洋服が薄い色系だったので、ピンぼけたような印象に。 洋服でも、この人は濃い色が合うタイプかと。 (って、何、人の観賞を。いや、それくらい、バッチリ似合ってたんですよ。この衝撃を何と表現しようと言うほどに)
十二単姿の静御前だったかな、の表着の生地を帯にしたものは、さすが、こだわりの有職もの。舞台なのに、金糸を使わない。「これの濃い色とかいいのに」と舞台の濃色(古代紫)の方が良いと言ったら「いまぁ、墨色で織ってますぅ」墨色もよさそう。が、値札みたら、お値段も大層良いものでした。 普通の有職紋の生地を織って貰った方が安いわ 当然、「歌舞伎柄」と「単なる有職紋柄」の差はまさにキャラクター・ブランドと言うべき。
江戸時代の当時でも、歌舞伎うつしの着物や帯を締めた人が人目とひいたと言いますが、あたてみて、納得した次第。
しばし、江戸の気分。
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