優妃 讃良の着物についておもうこと
ご感想は掲示板 http://bbs1.fc2.com/cgi-bin/e.cgi/12019/まで
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2011年10月
前の月 次の月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
最新の絵日記ダイジェスト
2017/01/22 着物買うのに、いくら以上だと「高い」?
2016/11/27 着物を頼むなら呉服屋で
2016/11/26 夏は暑くて、冬は寒い
2016/07/10 はいからさんが通る の 時代の袴
2016/07/09 はいからさんが通る

直接移動: 20171 月  201611 7 6 5 3 月  20159 8 7 月  20149 8 7 6 1 月  20139 8 7 6 3 2 1 月  201212 11 5 3 2 月  201112 11 10 9 8 7 5 月  201012 11 10 9 8 6 5 2 1 月  200912 10 5 3 月  20085 4 3 2 1 月  200712 10 9 8 7 6 5 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200312 11 10 9 月 

2011/10/28(金) 実際に売れている振袖は何?
あいかわらずにお姫さん宛てに振袖屋からはダイレクト・メールが来る。
しっかし、本当にこういう着物をこういうコーディネートで着ているのだろうか?
金髪に近い茶髪をふわふわと綿飴のようにふくらませ、ゴスロリっぽいレースやラインストーンをあしらった髪飾りを飾る。
着物の方も、半襟にはレースやラインストーンが付き、帯揚げの代りにレースをふんわりと結び、ネックレスのような帯飾りを垂らす。帯留めの代りにあるのは大輪の造花。
指先は「意匠をあわせたつけ爪」を長く。

それどころか、振袖の生地そのものにもラメをふんだんに用い、ラインストーンもここかしこで煌く。

その格好で婀娜ぽいポーズでフレームにおさまる。

グラビアとしては、なかなかいい感じである。
が、「これ、買う人いるの?」
と思う。

頭が古いのかもしれないが、成人式の着物といえば、成人式への出席はもとより、祖父母や親族のもとに挨拶に回り「今年、成人しました。今後は大人として、よろしくお願いします」と言うのにも使う。昨今なら年賀状に用いることも多い。

それに使う写真がコレ?

ちなみに、私が最近、見た成人式の写真は、3年程前で、
知り合いの知人の娘さん。
美容学校に通うというその娘さんの振袖写真は、実際、そういうゴスロリ系の写真だった。自分でヘアメイクまでやったというこだわりのセンスが良くでていた。コーディネートもばっちり。
写真もありふれたお見合い写真風でなく、グラビアっぽく。
「まぁ、美容師になるんだし、こんなのもアリか」と。
ありふれた庶民である。その写真が格式高いおうちへお見合い写真として渡される可能性は皆無だ。

その前は、夫の親戚の娘。
家の玄関前で撮った写真が年賀状についてきた。
山形県の農村地帯に家を構える家の娘らしく、従来通りの範囲のモダン柄の振袖に日本髪風に髪を上げて。
こちらも、実は、当時メイクアップ・スクールに通い、現在はデパートの化粧品売り場の店員。普段は結構ぶっとんだヘアメイクをしているのだが、成人式は別らしい。

「所詮、グラビアだよね。買うのはきっともっとオーソドックスなタイプだよね」と思うのだが、グラビアどころか、店頭に飾られたマネキンがそんな格好をしたのばっかりの店が結構あって、「もしかして、こういう方が売れてたりするのかな?」
と思ったりもする。

しかし、その着物、成人式が終わったら、どうなるのだろう?
どこかに着ていける着物という気がしない。
「独身のうちは披露宴に」というが、並みの振袖ならいざしらず、ああいうラインストーンとレースをあしらう着物ななんとなく出席者的には派手過ぎる気がする。
「自分の挙式のお色直し」にはいいだろうけど。
少なくとも、「お年始にお宮参り」する着物ではなさそうだ。
何十万もかけて、着用機会が1,2回とは実にもったいない。

あ、だからレンタルなのか。とびっきり派手にして、一回こっきり。

娘の成人式には会場についていって、振袖観察としたいと思ってたりする。皆が何を着てくるのか。

今住んでいる自治体も関東屈指の農村地帯の一つなせいか、成人式の女性の振袖率は高いらしい。

ちなみに、この辺で縁日の浴衣率は上がっている。
ラメやラインストーン、レースを着物の小物やヘッドドレスにあしらう子も結構いるし、「をを!」って位トータルにバッチリ決めてる子もいる。それ位の比率で成人式もそんなコーディネートの子がいるのだろうか?

個人的には縁日はOKだけど、成人式や親戚周りにはNGだと思っている。

2011/10/23(日) 昨今着物の採寸事情
先日、着物のセールの際にお姫さんの気に入る反物があった。
大島だが、よくある絣柄ではなく、縦横に格子に糸を配した柄。
絣を作りには、大島の場合なら、一度絣用織り込みをした上で染める。それを解いて、機(はた)にかけていく。
だいたい、絣がなく、先染めの糸だけで無地、縦縞、格子を織り出す場合だと、価格はざくっと半額になる。
結城や白鷹お召しも今は精緻な絣柄を特長とするが、江戸時代、結城といえば、店の手代が着た様な手軽な着物である。当時は縦縞などがメインだったらしい。

残念ながら、そういう絣柄のないものを捜すのは至難の技である。販売数量の少ない、昨今は、少しでも高いものを扱いたいと思うからなのかどうか知らないが。

とはいえ、こんな風に「お値打ち品をお手頃価格で」という催しの際にはみかけることがある。

今回の反物もそんなわけでお姫さんの目についた次第。

「成人式の着物をどうしようか?」と思って、実家に相談したら「どうせ、振袖なんか、成人式にしか着ないのだから、もったいない。よく着る着物を買え、そうだ、大島がいい」
と、愛用着物は大島な母は言った。そんな矢先。

しかし、その先は難航した。
地味な大島の裏八掛は明るい色が良い。
と思うのだが、何故に明るい赤がない?
これも、昨今の流行なのか?

他の業者の見本などをとりよせてもらって、やっと選んだ。

そして、今日、採寸という段取りとなった。

採寸に都合のよいように、娘に着物を着せた。
10歳のときに作った着物で、今は肩上げを外して着ているもの。
そんなにサイズに問題はない。

何故、着物を着るかというと、以前、私が別の店で洋服で採寸した寸法は、とんでもなく合わないサイズで仕立てられてきたからだ。裄も丈も10cmは長かった。着物は腰上げで調整できるが、長襦袢はそれでは困る。
次の機会には着物で行って採寸してもらった。着物の襟を基本に測った裄や着丈はぴったりのサイズに仕上がった。
痩せているせいと腰紐の位置が低いせいで、身長から割り出すサイズに比べて身丈も着丈も短いのだ。

というわけで、店に到着。
私の担当は「この子は、採寸のプロですから」と店長太鼓判。
「まずは基本サイズをはかりますね」
身長、胸周り、胴回りと手際よく測っていく。
そして、問題の着物の寸法である。
まずは裄。
手を斜めにした状態で測る。昔は手を真横にして竹尺で測った寸法だったが、今はメジャーで腕を斜めでが一般的だ。
でも、なんとなく45度より下目な気がする。
「1尺9寸5分」
店員が寸法を読み上げた。

  ちょーっと、待てぇ。何なんだ、その非常識な寸法は?

身長168cmを誇る私の寸法だって訪問着1尺8寸5分、普段着1尺7寸5分である。
148cmで洋服は女モノのSサイズの娘が、そんな尺幅の反物で仕立てられないような寸法の筈がない。

「今着てる着物と同じ位でいいのよ」
というと
「この着物では、こんなに腕が出てしまいますよ」
と、娘の腕を真下に下げて示した。10mばかり腕が出ている。

着物では、腕を真下に下げれば、腕が出るのは当然である。
だから、人様の前では腕をだらんと下げないようにするのが立ち居というものである。

「これで腕が出るのは当然でしょ」
というと店員は
「??」
という顔をした。なにやら、話がかみあわない。
が、向こうは、うちの寸法はそういうものだという風に考えることに切替えたようだ。
手を真横にした状態で裄を測りなおした。1尺6寸5分。
身丈は、襟から測って着丈を出し、そこにお端折の2倍を足した。ぴったり4尺。
並寸よりも若干小さめといったところだ。
身長からしても、当時の女性の平均よりチョッと小さめなのだから、辻褄も合う。
そして、褄下。腰紐の位置が低い場合、褄下は短くなる。腰紐位置で決まるのである。ここまで襟がきていないと着崩れやすい。といって、お端折りからはみでると間抜け。結構重要な寸法である。
そして最後に、仕立て師が判断して寸法を替えて良い場所とこちらの言った寸法を優先する場所の確認。
裄や身丈、褄下は依頼寸法優先とした。
「腰紐位置は低い」と書き添えるように依頼した。

普通なら、身長、胸周り、腰周り、首から裾までの長さ、首から手首までの長さで仕立て師に依頼するらしい。
昨今は仕立て師も大変なことだ。
仕立て師の某相談サイトに、寸法に関する相談が出ているが、さもありなん。
尺幅の大島の反物に「裄1尺9寸5分で、身長148cmの娘さんです」とあれば、仕立て師は頭を抱えるに違いない。

それとも、昨今は、長身の女性も多いので、長大な着物を仕立てることには慣れっこになっているのだろうか。

が、もし、採寸について知らない女性が、初めて着物を誂えるのだとしたら、不幸である。1尺9寸5分では、仕立てられる着物に制限ができてしまうからだ。
通常の反物は1尺幅。ここから仕立て可能なのは最大1尺9寸。余裕を持つなら1尺8寸5分が望ましい。
伝統的な染めや織りであればあるほど、両端の「ミミ」と呼ばれる縫い代にしかできない部分は広く、手織りなどでは、極端な場合、内側は9尺弱しかないということもあるのだ。
これ以上の裄を必要とする場合は、1尺5分とか1尺2寸という若干広幅の反物を用いる。さもなくば、お相撲さんのように足し布をして幅をとる(お相撲さんの場合は、足し布がないとみっともないとかで、小柄でも足し布をする)

某サイトで「私は普通の反物では仕立てられないんです」と言う女性がいたと書かれていたが、うちの娘まで、そんな目に遭うところだった。

2011/10/05(水) 歴女以上研究者未満
「歴女」という言葉がある。
歴史を題材にした物語の登場人物のファンを指すらしい。
「らしい」というのは、書かれているものによってその造詣の深さに差があるからである。

浅い定義なら「特定の歴史系のストーリーのキャラのファン」であって、そのキャラが史実ではどういう人間かは追及しない。
そのストーリーでそのキャラが出没する場所は見に行くが、史実での縁の場所には興味がない。
「xxの嫁になりたい」等と口走るタイプが多い。

単純に言えば、J-Popのアイドルをそのキャラに置き換えただけと思えば良い。

学者から見ると「ホントの彼って、そういう人じゃないのだけどね」と、この浅いレベルで定義される「歴女」の行動を嘆くらしい。

一方、深いレベルの場合は、そのキャラや関連する人物の史実での足跡、生活場所、活動範囲(各戦場など)、衣服、食事メニューにまで追求していく。

こちらの問題は、どこかで、研究論文にいきついてしまうこと。
学者のご高説を賜りたいとこなのだが、その欲求の源がゲームキャラからの発したものである場合、どうも嫌な顔をされてしまう。

ここで、きっぱりと割り切って、発端がゲームだなどとオクビにも出さなければ良いのかもしれないが、それは端々に散見されるに違いない。学者にとって、それは不愉快なことなのだ。

しかし、ここ数年で「歴女」という言葉がはびこるようになったが、私が中学生であった時、それは私のいた中学では普通にあった。文化祭で大賞を取る展示といえば、決まって、日本史の誰かを研究したものだった。関連書籍を読み、縁の地を訪れて、その人となりを追う。ゲームキャラこそいなかったが、少女マンガに登場したのがキッカケであったなぞ、普通のことだった。

とはいえ、かつての少女マンガの場合は、マンガ家が資料を集め切れなかったことによる史実の誤差や、マンガであるがゆえの美形化に過ぎなかった。
多分、今のゲームキャラ等が駄目なのは、わかっているのに、あえて、設定を違えていることによるのかもしれない。
どう転んでも会ってもいない筈の二人が出会うとか、それが年代的に「片方はもうその時期死んでるから」といったズレとか。
デザイン効果を狙ったが故に、史実ではありえない服を着てるとか。

そういうのがきっと、嫌いなんだろうなぁと思う。

装束など、様々な関係者が入り乱れているが故に、敷居の高いことこの上ない。
現在の振袖とは大きく異なる、この衣類は、着て、動いて初めてその各所の構成や着付け手法、所作の意図に気付く。

だが、そんな体験のできる場所は滅多に存在しない。
それを望む人の中で偶然にその機会を得られたものは実に幸運と言わねばならない。

しかし、そこで、気付いたことを誰かに問う術が、又、ないのだった。

2011/10/04(火) 装束を研究するものは誰か
本屋に行く
大きな本屋に行った場合、必ず「装束」に関する本を探す。

問題は、その本がどのジャンルに置かれているかだ。
装束は、実に多方面から研究されており、そのせいで、研究者が所属する分野に本は置かれてしまうのである。

まず一つが、「日本史」のジャンル。
細かくは「風俗」「生活史」「服飾史」として各時代毎に研究され、そのジャンルで上がる。
女房装束や束帯などのメインは平安時代だが、その後すたれたわけではなく、武家時代(鎌倉、室町、戦国、江戸)と伝えられ、将軍の奥方の最上正装はやっぱり女房装束だったりする。
更に明治以降にまた変化を迎える。

「地域史」などは、特に注意である。とっくに廃れたような習慣を、とある集落のあるばぁちゃんが伝えていたりする。

次の一つが「日本文学」のジャンル。文学の中で、登場人物は何を着ていたかを記述したものを追う研究者がいる。
日記は実録なので、「文学」と言うのか疑問だが、筆者がどのようなものを良いとし、悪いとしているかから、変遷をみてとれる。

そして「美術」。衣類そのものは、繊維を織ったものであるが故に一部の奉納装束を除いて消え果てしまっているが、仏像や仏画にその意匠を見出すことができる。案外と、描いた当時の最新流行の(ただし、だらしな系ではない)格好をしている。
絵巻物も同様。源氏物語なども、描かれた時期で挿絵の服装に差異がある。(既存の絵巻のモチーフを真似たことで、中途半端に古い時点の服装なものもあったりする)

そして「デザイン」。「服飾史」は厳密には、この「ファッション史」に入る。もっとも、本屋でこのカテゴリがない店も多い。
ここでは、文様や色といった単体についての本もある。

そして、「和裁・洋裁」。
はたまた「着物の着付け、着こなし」
着物のルーツをたどれば、装束に行くので、ここから研究に入る人もいる。
実際、平泉の藤原三代のミイラにかけられていた衣類の復元は、日本史の研究者の手ではなく、和裁の研究者によって、いとも簡単に解き明かされた。「着物の形状」「生活祭事の習慣」から考えた場合、意外にも現在と大きなが差異がないことに気付かされる。
着付け学校の上級コースでは、「様々な時代の衣類」として、装束の着付けを学ぶコースがわりと普通にある。

専門の機関としては「衣紋道」を伝える機関によるものがある。
以前は、皇室の着付けの奉仕のみで、一般に情報公開してこなかったのだが、最近は、どのようなもくろみなのか、公開講座がある。

そして「皇室」。彼らは無形文化財的に装束文化を伝える人々とも言える。宮中三殿と呼ばれる神を祭る場所に奉仕する典侍、掌侍と呼ばれる女性達の衣類や習慣も要チェック。
私がこの本を見つけ出したのは「女性マナー」のカテゴリだった。

そして、呉服屋そのものにも情報は存在する。
「有職紋」と呼ばれて、礼装用に着物の意匠として用いられている。
色無地でも、有職紋の地紋入りがある。
そして、帯。京都で装束を織る店は、大抵、着物用のものも織っている。装束用の生地は固いので、着物にする場合は、帯になる。
昨年は、生絹(すずし)の有職紋入りの反物が出て、のどから手が出るほど欲しかった。

最後は、「お雛様」と「お雛様用生地」
お雛様は、江戸時代の姫君の婚礼衣装を模したものであるがゆえに、装束である。「派手優先」なものも多い中で「有職雛」と呼ばれるタイプは、忠実なつくり(といいたいところが、「有職生地使用」と「有職雛」と両方あるので要注意)

この「有職雛」を作るための雛サイズの生地が、売っている場所がある。東京なら浅草橋の雛人形問屋街、そして、織物の里、桐生。お雛様を作る人は、やはり、ちゃんと研究している。

お雛様の写真集とかも見逃せない。

最後は、ゲームの攻略本コーナー。
昨今は歴史系ゲーム用に史実を記した本も発行されている。
平安時代風の時代設定だった「遥かなる時空の中で」の資料は、ダイジェスト的にはかなりまともな上にとっつきやすい。

文庫本や新書本でそういうのが出ると、探すのは著しく困難である。そう思いながら、背表紙をさらーっと眺めていく。


というわけで、どこで、装束のキーワードにひっかかるかわからないので、大きな本屋を巡るのは、結構時間がかかる。

お姫さんが、中学のときに、卒論に装束を取上げたので、ついでに家と図書館にある文献の一覧を作ったら、結構な量だった。
郡を抜いた参考文献の数の多さは、担当教師をビビらせたらしい。
知らない人は知らないが、探せば、結構な数があるのが、装束の本である。


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.