優妃 讃良の着物についておもうこと
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2010/06/05(土) いつものように呉服屋で
ただいま、GWの代休中
久々に、ちょっと離れたショッピング・モールに行ってみました。
ここ数年のうちに、この近辺のショッピング・モールに入店している呉服屋さんは急激に減りました。大方、チェーン店系で、振袖と留袖とユカタがメインのお店でした。ユカタは今やスーパーでも夏の売り場を大きく占める程で、撤退したモールでも、夏場だけユカタ特設会場ができる程です。
ってことは、減ったのは振袖なんでしょうかねぇ。

そんな店でもないと足袋とか肌襦袢といった消耗品すら買えなくなってしまうので困るのです。
ときを同じくして、某衣料品系ディスカウント・ショップから足袋や裾よけ、肌襦袢など着物小物のコーナーが消えてくれました。

さて、今日行ったモールは、そういった呉服屋撤退の嵐の中で、未だ店舗を保っている呉服屋さんのあるとこ。チェーン店系なんですが、自力で仕立てられる方が買いにこられるとかで、八掛け胴裏の在庫も持ち、新モスという普段着用着物の裏地も扱っている店です。

って、久々に行くと、なじみの店員さんが消えていました。チェーン店系は店員の移り変わりが早いのです。
見知らぬ中年の店員が、「今日は何かあったのですか?」とお定まりの質問を投げかけてきました。

本日は、白地に緑で夏草を描いた紋紗小紋風のセオαに、ユカタ用の臙脂のオーガンジーに白レースをあしらった兵児帯、紺地に桜の花びらが刺繍で飛び散る袴。襦袢は薄水色の不均等幅の絽地。なので、着物の緑ぼかしの部分がよりしっかり見えて来る。白襦袢だと「白に緑柄」ですが、水色襦袢だと「全体に薄緑っぽい」印象になります。

装束で言えば「卯の花」イメージで、この時期っぽいと自画自賛のコーディネート。

先ほどの質問に「単なる買い物ですよ」とすげなく応える。
だって、本当だもん。ケンタッキーでお昼して、その後、ここへ来たんだから。
どうも、普通の人が、着物着てたら「お茶会とかお稽古の帰り」とか「観劇の帰り」って考えちゃうようです。
私は、モールクラスかデパートの買い物だと「化繊の小紋」と決めているので、他の人よりはめかしてることになっちゃうからでもありますが。もっとも、同じ格好で映画もお芝居も行きます。

「お背が高いですね、おいくつですか?」
「168cmです」
そういいつつ、次の言葉が来るのを封じます。
「でも、仕立上がりなら、Mサイズですから」と。
さもないと「お仕立上がりでは合うのを探すのが難しいでしょう」とか始まるので。某チェーン店の標準サイズ表では、身長168cmの女性の裄は76cmで、尺幅といわれる幅1尺(38cm)では仕立てられず、ワイド幅(40cm)とか、尺二幅(一尺2寸幅)を使えとされています。

「えー、ホントですか?」
ああ、なんて、予想通りなリアクションなんでしょう。
いけませんね、これを楽しんでいる私は。
でも、そう言っておかないと、仕立済みの吊るしの着物やユカタの物色を阻まれちゃいますから。
他の日の日記に書いているとおり、私の着物の裄はユカタや化繊の小紋クラスなら、66cmで十分です。嘘ついているわけではありません。

今年のユカタ用の半幅帯はラメ遣いがポイントのようです。柄も星とかハートとか洋服系のキュートな柄で。
伊勢丹の品揃えでは「今年は、藍染回帰」とかで、プリントものも、紺地がメインになると言っていましたが、こちらはラメラメ路線のよう。

今回は、好みの柄がなかったので、そのままバイ。

2010/06/04(金) 帯しろ裸
本日、「ムシの日」です。はみがき週間という言い方もある。
私が小学校のときはこの日、朝礼で「はみがき体操」というのをしました。保健委員は前で例になるので、放課後の保健室当番時などに、これを練習してました。
ある日、某TV局に、その練習風景を撮影されてしまったことがあります。祖母が見たのですが、ビデオなどない当時のこと、私はそれを見ることができませんでした。

って、今日は本の話。
「母の衣替え」安田房子著

著者は、由紀さおりさんと、安田祥子さんのお母様です。
ステージママとして、長年お二人を支えてきたそうですが、そのいでたちは着物姿だったとか。後年、「目立つから」と洋服に替えたそうですが、逆にずっと着物だったんですね。

着付けを習ったのも後年のことなので、ご自身の着付けは親譲りと推測します。
早替わりにも等しい舞台の着物姿の由紀さおりさんが、綺麗に着付けておられたのは、お母様の着付け術のなせる業であったと。

タイトルは「母の衣替え」で章のタイトルも「振袖」「小紋」「結城」と着物の単語が並びますが、1章の「緋の袴」以外には、その単語に関わる逸話は読み取れませんでした。

著者は緋の袴で小学校に通っていたそうです。時は関東大震災の翌年の四月。赤坂にある小学校です。同じクラスの子の中では裕福な方に入っていたようです。級友は「帯しろ裸」という、帯をしないつけ紐だけの着物姿の子が多かったとか。

夫の母の小学校でも「普段から袴の子、着物だけの子」と色々いたそうですから、似たような感じなのだろうと思われます。

帯をしないつけ紐だけの着姿は、竹宮恵子さんの「紅にほふ」の冒頭で、満州の妓楼を経営するおかみに買われた2人の少女の着姿として出てきます。

つけ紐があるのは、子供の着物だけですが、「帯しろ裸」の場合は、後ろでリボン結びできる位に長い紐をつけます。
室町時代の子供を描いた扇面図などにも似たような姿を見ることができるので、古くからある子供の着付け形態のようです。
もっとも、お公家さんの場合は5才辺りで「袴着」といって、以後、男女共に袴を着用するようになるので、「帯しろ裸」姿はそれ以前の幼い姿に限られます。一方、庶民は成人まで、その格好のまんまいっちゃいます。この習慣が、昭和戦前までは普通にあったのだと思われます。

今でも、七五三の三つのお祝いで被布を着る場合、下の着物はつけ紐だけで帯や兵児帯は不要といわれています。
この姿だと、帯の重さや苦しさがないので、3歳児には向いているなと思ったものです。

んで「帯しろ裸」こんな着方で出歩く人がいないので、死語なんですが、「帯しろ」は「帯をしろよ(=帯をしていない)」という意味と推測しますが、「裸」とは?
お寺さんや、お宮さんで、白小袖だけ(お宮さんだと、切袴プラス)を「裸」と言うことがあります。
着物きているのに「いやー、裸ですみません」と出てくるお寺さんの言葉に、来訪者の方がビックリするとか。
上に法衣や狩衣を着てできあがりなので、白小袖姿はいわば下着姿。白の下着シャツにステテコ姿で人前に出るとしたら「裸ですんません」と言うでしょうね。お寺さんやお宮さんだと、それが白小袖姿という訳。

というののと同じ語源の「裸」なのかな、と。

そういう私は、昨日、自宅で白小袖に伊達締めだけしてゴロゴロしてたら、宅配便がきちゃったので、その格好で応対しました。
「相手が寝巻きで出てきても、動じるな」とは業界どこででも言われていることらしく、そのオジサンも顔色一つ変えずに去っていきました。頭の中では何を考えたやら。

洋服の白シャツ下着もそうですが、白一色の単衣仕立ものって、確かに「下着」っぽいイメージがあります。
同じものでも、色柄つけば、洋服ならTシャツとなり、和服ならユカタ」って思えるんですけどねぇ。

2010/06/03(木) よそゆき
「よそゆき」ってもしかして、死語なのか?と思う日。

私の子供の頃の衣服区分はこうだった。
普段着:学校に行く、友達と遊ぶなど。
内着: 室内で着用。家から出るときは着替える。
    お客様が来訪されるときも着替える。
外着: 子供の場合は普段着と同じ。近所の買い物とか、郵便局、市役所とかに行くときの服
よそゆき: デパートに行く、映画、観劇、親戚や人様の家を訪問するときの服
一張羅: 結婚式とか、空港へのお見送りなど。大人ならスーツに帽子、女児はワンピースに帽子、エナメルの靴。普通1セットしかない。

祖母の着物で言うと、内着は、家事をするときは、腰下位の短い着物にもんぺ、それ以外だとウールの長着に半幅帯を貝の口に締めて。
買い物に行くとなると、着替えて、着用回数の少ないウールに変えます。帯は木綿だか紬だかのを小さいお太鼓にして。
洋服で言うなら、Gパンにシャツとかの感じ。

昨今の人なら、このランクの服で、デパートでも、映画でもいっちゃいますね。

私の子供の頃だと、デパートとか映画館ってよそゆき着ていくとこでした。
着物で言うなら、小紋や更紗クラス。帯は軽い格の名古屋帯をお太鼓に締めて、帯締めも大仰でない、細めのスッキリしたものを。父親は背広にネクタイです。

これ話すと、私の世代でも格差があって「ウチもそうだったよ」という人もいれば「えー、そんなカッコつけてったの?」という人もあり。どうやら分岐点な時期だったようです。

「近所の買い物の際に衣服に気をつけるか」も割れるところ。
田んぼが広がるこの近辺では、エプロンや洋風割烹着をしたままくる人も珍しくありません。下の衣類も家事してたままの格好と思われます。
ウチも殿の家も、エプロンつけたまま買い物には行きません。
来客の際にもエプロンは外す。この辺偶然にも同じでした。
もちろん、「買い物行くよ」といって着替えが始まるのも同じ。
優妃は、家では白小袖に袴なので、買い物に行くときには、絶対に着替えが必要なんですが、親で慣れている殿はちゃんと待ってくれます。

よそゆきってカテゴリがなくなったのは何故なのでしょう。
デパートや映画館というのが、人にとって「気合を入れていく貴重なイベント」という風に捉えられなくなり、「単なるショッピング先。スーパーと同列」ってなっちゃったのか。
そろそろ「歌舞伎や能を見に行くのにユカタでも良い?」という質問が着物サイトのどこかに出る時節です。特にドレスコードをしていない場合、それで十分であり、海外からの招聘オペラのA席で周りが全てイブニング・ドレスとタキシードでも、ドレスコード指定のない限り、入場拒否されることはありません。

でも、そういう「イブニング・ドレス おっけぇ」な機会には、イブニングドレスや訪問着を着て行きたいと思う私は死語の世界の人なのでしょう。

2010/06/02(水) 和服の仕立寸法
先日、仕立てて貰う着物の寸法だしをしてきた話をしましたが、久々に和裁のサイトに行ってみました。

んで、思ったんですが、呉服屋さんは、「身長と腰周り」とか「裄と身丈」だけで注文受けて仕立さんに回してくるのが一般化してるのか、仕立寸法に関わる質問って結構多いのです。

「サイズの異なる姉妹で共用したい」は結構ですが、その二人の身長と腰周りだとか、裄と身丈をそれぞれ書いて「よろしくね」では、和裁士さんも困るしかないのではないかと。どう仕立てるかは、窓口(呉服屋さんとか)で決めて出すべきではと思う次第。

私の場合は、裄と身丈だけでは自分に合ったサイズにならないことを知っているので、必ず、マイサイズ指定は襟付けカーブまで行います。

「肩幅9寸、裾幅7寸5分って、どう細めて縫えばよい?」という質問も、以前出ていました。
私のマイサイズでは、肩から袖付けまではまっすぐで、ここから腰骨位置にかけて一気に8寸にまで狭めます。
ここは帯が隠す場所なので、脇線が斜めでも問題ないのです。
腰骨位置から裾まではあと5分狭めるだけですから、柄合わせに影響しないようにするのは和裁士としては、そんなに難しいことではありません。

さて、普段なら、身長と腰周りか裄と身丈しか回ってこない呉服屋から備考欄まで一杯の寸法表が送られてきた和裁士さんは、どう思うのでしょうか?
「あら、厄介なのがきたわ」
なのか
「あちこちの寸法を考えなくて良いので楽だわ」
なのか。

仕立てる際には、全て必要な寸法ですが、普通の仕立寸法とはかなり異なるので、「え、何?これ?」「そんなのありぃ?」って思うかなと。

和裁仕立てをしていた祖母の出した寸法ですし、その後、その寸法で色々な和裁師さんが仕立ててくれているので、問題がないようではありますが。
ただし、某店では、ミシン仕立なのに、中国縫製に出せず、国内縫製したという店がありました。
今は、中国縫製も細かい注文を受けられるし、品質も上がってきていますが、数年前だと、そんなこともあったようです。

2010/06/01(火) 更衣
衣替えです。
例年、この日以前に7月後半並みの猛暑を記録しまくり、昨今では、5月の休み明けか、半ば越えで、制服も「冬服でも夏服でも良し」という移行期間に移ります。
が、今年は寒い日が多かったですねぇ。
昨日も、「4月初旬の気候」だったそうで。

って、私の記憶だと、冬服と夏服の間に「合いの服」って合ったんですよ。制服でも。5月の休み明けから5月一杯はこの合いの服の期間。セーラー服だと、夏服の長袖版、男子の詰襟はサマーウールか何かでしょうか、薄手のグレーとかの生地に。
これが入っていれば、こういう時期も無理がありません。
お姫さんの学校でも、例年なら、移行期間は半袖ですが、今年は長袖ブラウスに夏服のスカートとベストの組み合わせです。
冬服は冬生地の三つ揃いですから、そっちじゃ暑いですからね。
それでも寒い子は「異服届け」を出して、冬服用の長袖セーターを羽織っています。制服でも季節をちゃんぽんにすると「異服」とはこれいかに。

まぁ、「合いの服」は1ヶ月弱しか着られないので、もったいない衣服です。だから消えちゃったのかな。

着物だと、セルという生地がこの5月限定の生地だったそうです。ウールより薄く、サマーウールよりは厚手なこの生地、やはり「合いの衣服」の生地だったようで、当時でも贅沢な反物だったようです。
幸田文の「きもの」の中にもこのセルの着物が出てきます。
暑がりだったらしい主人公は、暑いのと、蒸れて匂うウールの匂いで嫌がったという場面が出てきます。
同じ5月でも、暑い日だと着れない。短い期間の着物です。


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