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2010/06/07(月)
格付け
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梅雨前のお天気です。
さて、夏になると、お茶のお稽古などで、着用する着物にお教室によって、差がでてくるようになりました。
着物の格や季節にこだわるのの筆頭は、やはりお茶道だと思っています。 舞踏系も発表会や昇級試験の際の着るものにはこだわるようですが、普段は浴衣というところは多いようです。 それに比べると、お茶は、毎回のお稽古には、月次(つきなみ)のお茶席は、なんとかのお茶席は、と時節と会の趣旨に合った着物が必要になる分、結構大変だなと。
といっても、お教室によっては、または、まだそんなに上級(?って言うのかな)に進んでいない場合は、厳密でなくても良いという処もあるようです。 知人の通っていたところは、ものすごくこだわる先生で、月次の茶席は、従来通りの厳格な決め事に従っていました。 この友人は、季節に合わせてさまざまな花柄の着物をいくつも持っていました。 別の知人の通っている処は、びっくりする程大らかで、「夏の茶会は浴衣にしましょう」と浴衣の茶会があったりしました。
それでも、区分しにくい着物が最近は、いくつもでてきました。 例えば、紬の絵羽。先染めの糸で柄を描き、絵羽になるように配分して織ったもの。普通の絣紬よりも手間がかかりますから、当然高額品です。絵羽ということもあって「訪問着として使えます」と謳うところもあるわけですが、人によって評価はわかれるところ。昨今は「パーティ等では、訪問着と等価とみなして良い」位の認知はされましたが、お茶や舞踏では難しいところでしょう。個人的には、柄付けがどうであれ、紬は布地として硬いので、袖の取り回しが縮緬や綸子とは違いがでてきます。その辺から、やっぱり「違う」なのかなと。 お茶で紬を使わない理由は「生地が硬いので、道具にあたったりする」という話を聞いたことがあります。
紬系は「先染め」が基本なのですが、昨今は「後染め」のものも出てきました。白生地に織って、これを縮緬などと同様に染めるわけです。織りの絵絣に比べれば染めは安価です。 白生地の大島紬に後染めしたものなど、業者さんは「後染めだから、縮緬の染めたのと同格だよ」と言いますが、うーむ。 手触りはやはり大島紬。私的には「絵柄の良い大島紬」だなぁと。
そして、装束地のような織り柄生地。京都の帯屋さんは、装束用の反物も手がけていますから、その延長なのでしょうか、稀に出てきます。西陣では、「風通お召し」というのがあり、本来絣糸で描く図柄を装束で使われる二倍織物の手法を使って糸の浮き沈みで描きます。織り柄生地は、二倍織物ではなく、装束の単衣や五衣に使う無地の先染めもしくは後染めの淡色ものです。 「紋意匠縮緬」に近いんですが、さて、そうみちゃっていいものか? 手元にあるソレは、先染めモノで、横糸でグラデーションして「影かな」と思う位淡い差異で薄紫と薄紅の横だんになっています。 買わなかったけど、薄花田の夏用の紗に3cmほどの丸紋の織られた生地も「色無地扱い可能」と店で言われました。この店の場合は、踊りの方やお茶の方も多くこられる店なので、信用しても良いのかなとは思いますが。(チェーン店系の場合は、その辺疑ってしまう私) お召しクラスかなか。
というお召しの格付けもなぞなのですよね。 絣、縞、無地とありますが、無地か、無地に見える程こまかい縦縞モノは絣よりも格上とも聞きます。 夏の無地お召しは無地紗と同格という話も聞きます。冬ものと異なり、夏着物では、夏お召しも無地紗も張りのある透ける生地です。ちょっと目、区別のつきにくい生地です。それこそ、先染めか後染めかの違いで、しかもそれが生地質にほとんど差異を与えない。仕立てた着物で区別できる人っているんでしょうか? って、だから、同格なのか? 無地紗は、冬の縮緬や綸子の色無地と同格の夏の生地です。 ってことは、夏お召しは色無地と同格ってこと?
結構、こういう区別に迷う着物って、色々とあります。
でも、誰の言葉を信用する、信用しない、じゃないんですよね。 結局、「一緒に集まる人がどう思う?」とか、「お茶の先生がどう思う?」で決まるのかと。 お茶の会なら、お茶の先生か、先輩のお弟子さんに確認すればよく、結婚式なら、主催者に。 観劇なら、流派の能楽堂なら、ばっちり合わせの方が気分も出るけど、市民ホールで開催される能や歌舞伎の地方巡業なら、気候と自分の感性で格決めても良いかなと。
熊谷会館の夏の歌舞伎巡業だと、着物姿はさまざま。 浴衣に文庫結びがいる一方で、絵羽の訪問着に夏袋帯まで。 熊谷会館なら、どっちもありで良いかなと。 勿論、染めの大島だろうが、絵羽の絣紬だろうがOKで。
今は歌舞伎座でも、某能楽堂でも、夏の浴衣もOKだし、冬の木綿着物や絣に半幅帯の文庫もいるそうです。 そりゃ、洋服だと、めかした人の隣はGパンだったりしますからね。
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