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2010/06/03(木)
よそゆき
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「よそゆき」ってもしかして、死語なのか?と思う日。
私の子供の頃の衣服区分はこうだった。 普段着:学校に行く、友達と遊ぶなど。 内着: 室内で着用。家から出るときは着替える。 お客様が来訪されるときも着替える。 外着: 子供の場合は普段着と同じ。近所の買い物とか、郵便局、市役所とかに行くときの服 よそゆき: デパートに行く、映画、観劇、親戚や人様の家を訪問するときの服 一張羅: 結婚式とか、空港へのお見送りなど。大人ならスーツに帽子、女児はワンピースに帽子、エナメルの靴。普通1セットしかない。
祖母の着物で言うと、内着は、家事をするときは、腰下位の短い着物にもんぺ、それ以外だとウールの長着に半幅帯を貝の口に締めて。 買い物に行くとなると、着替えて、着用回数の少ないウールに変えます。帯は木綿だか紬だかのを小さいお太鼓にして。 洋服で言うなら、Gパンにシャツとかの感じ。
昨今の人なら、このランクの服で、デパートでも、映画でもいっちゃいますね。
私の子供の頃だと、デパートとか映画館ってよそゆき着ていくとこでした。 着物で言うなら、小紋や更紗クラス。帯は軽い格の名古屋帯をお太鼓に締めて、帯締めも大仰でない、細めのスッキリしたものを。父親は背広にネクタイです。
これ話すと、私の世代でも格差があって「ウチもそうだったよ」という人もいれば「えー、そんなカッコつけてったの?」という人もあり。どうやら分岐点な時期だったようです。
「近所の買い物の際に衣服に気をつけるか」も割れるところ。 田んぼが広がるこの近辺では、エプロンや洋風割烹着をしたままくる人も珍しくありません。下の衣類も家事してたままの格好と思われます。 ウチも殿の家も、エプロンつけたまま買い物には行きません。 来客の際にもエプロンは外す。この辺偶然にも同じでした。 もちろん、「買い物行くよ」といって着替えが始まるのも同じ。 優妃は、家では白小袖に袴なので、買い物に行くときには、絶対に着替えが必要なんですが、親で慣れている殿はちゃんと待ってくれます。
よそゆきってカテゴリがなくなったのは何故なのでしょう。 デパートや映画館というのが、人にとって「気合を入れていく貴重なイベント」という風に捉えられなくなり、「単なるショッピング先。スーパーと同列」ってなっちゃったのか。 そろそろ「歌舞伎や能を見に行くのにユカタでも良い?」という質問が着物サイトのどこかに出る時節です。特にドレスコードをしていない場合、それで十分であり、海外からの招聘オペラのA席で周りが全てイブニング・ドレスとタキシードでも、ドレスコード指定のない限り、入場拒否されることはありません。
でも、そういう「イブニング・ドレス おっけぇ」な機会には、イブニングドレスや訪問着を着て行きたいと思う私は死語の世界の人なのでしょう。
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