優妃 讃良の着物についておもうこと
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2010/06/10(木) 宝塚(仮想空間)へ
宝塚観劇の際に先月の公演「虞美人」のDVDを買ってきました。
「虞美人」は宝塚初の一本立て作品だったそうで、初演時に史上空前の観客動員数を記録したと言います。
作・演出の白井鐵造は、パリ留学後に、宝塚にレビューとオペレッタを持ち込んで「白井ミュージカル」を確立させた人。
私の知っているのは、鳳蘭の項羽で再演されたときのもの。
ツレちゃん(鳳蘭)の項羽がカッコ良いのは、『大漢風』の胡軍の項羽の比じゃありません。

今回は、この白井版ではなく、作・演出。音楽に至るまで新しく書き下ろしたものとのこと。

全体の傾向として、「スカーレット・ピンパーネル」で見られた演出傾向が見られました。歌が多く、会話の大半も歌。かなり脇の役までスポットが当たり、ソロ・シーンがあります。
同線としては、奥行きを活かした舞台奥からの縦方向の動きをよく活かしています。宝塚の誇る周り舞台とセリという舞台機構と大道具さんが動かすセットのスピーディな動きで転換もスムーズ。欧米ミュージカル上演の為に培ったノウハウを全部門使いまくっている。

項羽と虞美人がトップなのは同じく、劉邦が二番手男役に割り当てられました。脇役の演ずる重厚な劉邦からうって代わって、ぶっとびにノーテンキで女好きなお軽いキャラに変転しました。見目はイケメンの若手。「蒼天航路」の劉備を若手イケメンがしてるイメージ。
なので、韓信は三番手に。架空の殷桃娘も韓信の相手役として健全。
昔はそんなに絡む機会のなかった范増(項羽の軍師)と張良(劉邦の軍師)が師弟の間柄となって、二人の場面をいくつも持っています。范増は組長の夏美ようが演じているのですが、なんとソロまであります。組長がここまでやるのは、かつての舞台ではなかったことです。
もっとも、周りにこれだけの熱演の機会を与えた分、項羽の出番は減っているわけで、ちょっと影が薄い感じがしました。
お姫さん曰く「この項羽、強そうじゃないね」とな。
線が細い印象ですから、さもありなん。鳳蘭のだとまだ勇壮なんでが、「大漢風」で胡軍の項羽見ているお姫さんとしては「頼りがいのない、細っこい奴」と見えるのはしかたないことか。
今回は、「勇壮」よりも「ナイーブ」な面の方がクローズ・アップでしたし。「四面楚歌」のシーンは綺麗でした。あの「すい行かば・・」を謳うのです。そして「虞よ虞よ君を如何にせん」は、白井版と同じ主題歌で。あの歌が過去のファンとをつなぐ縁(よすが)とするものですが、完全に様変わりした展開の中でこの歌がすんなり入り込めるのには、当時の作曲家の能力に脱帽。
歌詞は「史記」に残される漢詩にある通りですが、このメロディを新たにおこすのは案外至難かも。この主題歌は名曲の一つです。

いつから、宝塚のオリジナル作品が、このように様変わりしたのかはわかりません。2005年辺りにはまだ従来の傾向だったように思います。少なくとも、今後の演出傾向になるとみます。

「虞美人」の作者 白井鐵造は「白井ミュージカル」を完成させ、一つの様式を打ち立てました。それを次に改定したのが植田 紳爾と長谷川一夫で、「ベルサイユのばら」に始まる、様式を打ち立てました。私の見ていた頃はこの全盛。戦闘シーンやフィナーレのトップのデュエットなどは良きマンネリでした。

この「虞美人」はそれを更に変える演出形式になるでしょうか。
これが始まりではないにしろ、ここで見た形式が今後の宝塚の傾向となるとすれば、また一つの飛躍をしたということでしょう。
それを「虞美人」でやったとは、また、なんというか・・・
新作版も公演記録を打ち立ててるというので、この変化は認められたわけです。

満員でチケットが取り辛いのは困るけど、閑古鳥でスカスカだと、存続が危うくなるのでもっと困りモノ。
家でのゲームでも、DVDでもなく、TVでもなく、ネットでもなく、はたまた、劇場で見る映画でもなく、宝塚を見る。
宝塚歌劇の競争先は増える一方。最近は劇団四季も強い。ディズニーランドのショーとパレードはかなり手ごわい強敵でしょう。
その中で、多くの劇団が消えました。宝塚と雄(^^)を競った松竹歌劇も消え、東宝が抱えていた日劇ミュージック・ホールのメンバーも消えました。東宝ミュージカルは帝国劇場に移ったけど、東宝歌舞伎は?芸術座で公演してた分は?
実物を舞台で見ることは必ずしも望まれなくなっています。
そんな中で、オーケストラをオケボックスに詰め込んで、生オケで常時公演してるなんて、日本じゃクラシックのコンサートになって望めないこと。ウィーンでは国立歌劇場とフォルクス・オパーが毎日上演してますが、宝塚はそれに匹敵するわけで。
それってすごくない?

着物と違って、お姫さんは、あの「宝塚調」にドン引きで、こっちには乗ってくれません。しくしく・・・


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