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2009/12/12(土)
鼻緒の挿げ替え
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履きなれた焼き桐の右近下駄を履こうと、めずらしくも、じっくりと見たところ、鼻緒の先の「ツボ」と呼ばれる前を押さえている布が伸びていた。「引っ張り直してもらうか」と思ったが、その布が妙に細くなっている。
以前、某下駄屋で下駄を買ったときに「鼻緒よりツボが先に痛むんだよ。そんときは、ツボだけ換えればいい」と聞いた。
これがその状態なのかもしれない。 台は随分と履きこんで普段履き状態まで小傷が入って痛んでいるが、壊れてはいない。鼻緒本体も問題ない。これは「ツボ交換」だ!
と出かけてきたのは、熊谷の駅の側にある下駄屋さん。 草履も扱っているので、どっちも買える便利な店だ。 もちろん、すげなおしも、鼻緒を選んですげてもらうのもOK。
この右近下駄はこの店で買ったものではないが、そういうことを気にしないでくれるのも嬉しい。
「で、この下駄なんですが、ツボんとこが伸びちゃって、切れそうなので」とお願いする。
ツボはヤワに見えるが、表布の中に針金や木綿糸が何本も入っていて、そうそう簡単には切れたりはしない。が「4割位が切れちゃってるとこかな」ということ。伸びた原因は、桐下駄は、すげ元のとこがどんどん窪んで来るのだそうな。だから、履き込んで行けばいく程、きつくひっぱっていかないといけないのだそうな。 「さーて、左右同じにできたかな?」 新品の鼻緒を挿げるときには言わない言葉である。 「減り方って、左右で違うんだよ。それ加減して、外を同じに仕上げないといけないからね。」 と言いながら、一発でキメてくれた。
優妃の挿げ加減は、一般の人向けに比べて、ものすごーくキツ目である。下駄や草履といった鼻緒モノに慣れた足は「下駄足」という親指と人差し指の間に隙間のあいた形状になる。更に、鼻緒の通る辺りが窪んでいるようなのだ。ズレない一方でその分締め加減でないといけない。 「昔の人だと、こんくらいだったけどねぇ」と言いながら、挿げていく。つまりが、着物を着なれ、履物を履きなれた人なら当たり前な程度ということ。
他人様には全く貸せない。どの人が履いても、確実に「ものすごーく、きつく挿げてある」という状態になる。 例外は、うちの御姫さん。あれも、既に下駄足娘。
ちなみに、ツボすげなおしは、1800円位。 (一緒に正月用のエナメル草履も買ったのでオマケしてもらったが) 鼻緒の緩んだのを直してもらうのは500円。
高いと思うか安いと思うか。
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