優妃 讃良の着物についておもうこと
ご感想は掲示板 http://bbs1.fc2.com/cgi-bin/e.cgi/12019/まで
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2007年8月
前の月 次の月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新の絵日記ダイジェスト
2017/01/22 着物買うのに、いくら以上だと「高い」?
2016/11/27 着物を頼むなら呉服屋で
2016/11/26 夏は暑くて、冬は寒い
2016/07/10 はいからさんが通る の 時代の袴
2016/07/09 はいからさんが通る

直接移動: 20171 月  201611 7 6 5 3 月  20159 8 7 月  20149 8 7 6 1 月  20139 8 7 6 3 2 1 月  201212 11 5 3 2 月  201112 11 10 9 8 7 5 月  201012 11 10 9 8 6 5 2 1 月  200912 10 5 3 月  20085 4 3 2 1 月  200712 10 9 8 7 6 5 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200312 11 10 9 月 

2007/08/28(火) 暑いから着物を着られない
まもなく8月も終わり。
お店には、秋のファッションが並んだり、秋味ビールが並んだりと秋がひたひたと。
とはいえ、お子様方は夏休みの終盤。
宿題を全て完了して遊びまくるのやら、どたんば泥縄したるやら。
東北地方など比較的涼しい地方では既に始業式のあったところもあったとか。

今年の夏は、短かったけど、その分なのか、パワフルに暑かったです。うちの辺だと盆の週辺りでは連日40度を前後していました。

そんなだからか、着物好きさんも「暑くて浴衣もリタイア」と洋服になっちゃった人も多かったようです。

そんな中で私は逆に「あつぅーい!洋服なんか着たくない」と浴衣でデレデレと過しておりました。

絽や紗の絹モノをきっちりと着込むには確かに暑かったです。
とはいえ、普段着の浴衣までリタイアしちゃった多くの人と私の違いは何なのか?

ま、推測なんですが、いくつか考えてみました。

★朝一番にシャワー
着物を着る前にはシャワーを浴びます。
その後、安物浴衣で汗ぬきして、汗の収まったところで、着物に。
★綿楊柳か綿麻楊柳のシャツを着る。
肌襦袢の楊柳地のでも良いのですが、毎日洗濯に回す枚数を確保するには高いので、洋服用の下着です。うちの辺はオジサン向けオバサン向けが大量=安価に出回るので便利です。
「着ない方が涼しい」というのは、30度までの話。
これを越える場合は、正しく着た方が涼しいのです。
まずは汗を吸収する下着をきちんと着ること。
★シャツと同素材のステテコをはく。
太ももをしたたり落ちる汗の感触は、もうそれだけで暑苦しいです。膝丈のステテコでこれを防止。
★腹におぼろタオル(ガーゼ製のバスタオル)の水通ししたものを巻く。色々やってみましたが、タオルよりガーゼ製の方が良いようです。厚みも丁度良いっていうか。
腹の発汗をきちんと吸湿すると、感覚的に暑く感じません。
★座っているときは、お端折りをのばして、足もすっかり包み込む。36度を越えたときの対処でした。
★必携:扇子、団扇、扇風機
なぜか、洋服ではぬるい風を送ってくるだけな存在のこれらが、着物の場合は、涼風をはこんできます。衿や身八ツ口から風が入るからなんでしょう。
★衿はゆるゆる、戦国頃の屏風絵風
冬はきっちり着込んで体温を逃がさないようにしますが、夏は、風が通るようにゆったりと着付けます。
ま、グラビアからは程遠い姿です。
★襦袢を着るなら絶対麻かシルック!
外には着崩れたようにしか見えない格好で出るわけにいきませnから、それなりの着物姿。
このときは、襦袢がポイント。
麻はやっぱり涼しいです。紋紗の麻がベスト。絹の絽や紗、夏お召しでも使えます。
今年は、袖がシルック絽の二部式襦袢も買ったんですが、これも○でした。
★帯だって麻
袴下用に麻100%の角帯を買いました。やはりざっくりと織った麻はダンチに涼しいです。

人と違うとすれば、これくらいでしょうか。
同じ場所にいる娘が半パン、半袖シャツという薄着でうだっていました。炎天下を歩いて手足は日焼けしてたし。
暑いからと上半身すっぱだかな殿の背からは絶え間なく汗が滝のように流れて。少なくとも、シャツ一枚でこの異常ともいえる発汗現象は普通の発汗に落ち着きました。
少なくとも、今年の暑さは「着た方がマシ」状態と見ました。
こういうときこそ、ゆったりと全身を覆える着物です。

2007/08/27(月) 着物の着てどこにいく
着物を着ていると、このテの話になることはよくあります。
大方の人は、決まって「着たいけど、着ていくところがないからねぇ」となります。
私もたまに、この言葉を口にします。
といっても私の場合は「黒留袖いかがですか?」とか、「これは滅多にみられない袋帯(丸帯でも良い)ですよ」なんてのを薦められたときです。
さすがにいくら着物好きでも、黒留袖が着られる機会は限られており、私の場合は、ここ当分しばらくは無縁です。

とはいえ、着物そのものとして「着ていくところがない」とは私は思わないのですが、多くの人がそう思うのは、やっぱり「着物=フォーマル衣装」だからなのだと思います。
昨今は着物をお持ちの方といっても、持っているものは留袖や訪問着、付け下げといったフォーマル用途なものばかりという方も少なくありません。こういう方の手持ちの着物の着用機会となれば、やはり「ないわねぇ」と言わざるをえないのです。

もっとも、逆に、「着ていくところ作ろう」と、歌舞伎座への観劇、料亭の和室で会食など、いかにも着物の相応しい場所におめかしして出かけるという人達もいます。
でも、これらは所詮「お高い着物」の世界。「高尚な趣味」といったところでしょうか。
でも、着物には、そういった「細雪(ささめゆき)」ごっこなものとは全く異なる、庶民のものもあります。
だって、昔はみーんな着物だったんですもの。
大家の奥様が観劇におでかけになるのも着物なら、裏小路のおばちゃんが大根を買いに行くのも着物だったんです。

「家でゴロゴロする」「家事をする」「買い物に行く」「学校や幼稚園に子供を迎えに行く」「図書館に行く」日常に洋服でしていることは、なんでも着物でできます。
もちろん、こんな目的で着ている洋服は雑駁な普段着。下手するとコーディネートなんて考えないで適当に引っかぶってることも多くはありませんか?こういうとこで着物を着る場合も、やっぱり同じ。雑駁な普段着が向いています。
木綿、ウール、化繊。普段着着物の素材は洋服のソレと同じです。
普段着の洋服には絹製なんて使わないでしょ。(洗える絹のタンクトップ位は使うとしても)着物でも同じ。

着物の業界や、着物好きの人の中には、化繊を卑下する人も結構いますが、「洗える」「皺になりにくい」って便利です。
安い洋服だと、ウール100%でなく化繊100%やら、混紡やら普通なのに、着物となると何故にああも化繊を避けていくのか。
「冬は寒いし、夏は暑い」とも言われますが、それだって洋服と同じ。着物の生地がとりたてて顕著なわけではありません。

といっても、かつての化繊は随分レベルの低いものでした。
もちろん洋服用の化繊も同様なんですが、洋服生地は使われるだけに、いちはやく改良がなされたため、着物用の生地の対応は想定的には遅れていたようです。
古い着物の中には「離れてみても化繊と丸バレ」なんてのがあります。ところが、昨今は生地の風合い、プリント技術の発達で「2m離れていたら、呉服屋でも区別は難しい」位まできています。シルックなど高級化繊ともなると「触らないと判らない」のもあります。「精緻な絣とおもいきや、寄ってみればプリントなり」とか。着崩れ易いという欠点も改良されています。
保温性、吸湿性といった点も絹に近づいてきました。
昔、悪い印象をもっちゃった人は、食わずキライになっているフシがあります。

当然、お値段は破格に安いですから、気楽に着用できます。
万が一、雨に降られようが、食べこぼそうが、おこちゃまに抱きつかれようが何の心配もいりません。

昨今の和ブームも手伝ってか、浴衣売り場は大賑わい。縁日だけでなく、お台場の夕刻のそぞろ歩きや夕食にも着られています。
同じこと、なぜ、冬になるとやらないのでしょう?
呉服屋さんは、浴衣に匹敵する、手軽な着物を売らないからです。寒くなるから、襦袢や足袋が必要になりますが、あとは防寒用の羽織とショール位で十分。帯なんざ半幅でOK。
そういうのが出たら、もっと着る人増えそうな気がするんですけどね。どうなんでしょうか。

私の普段着はそんなもんです。夏なら浴衣、冬なら化繊の着物。
家なら、角帯締めて、外へはその上に袴はいて。
いーかげんに着ています。

2007/08/24(金) 読みきったぞ、夏の課題
なんてタイトルだ。
先週の週末に図書館で借りてきた本に全て目を通しました。
何を急いでいるかというと、お姫さんの夏の宿題の中に「卒業論文2章まで完成、3,4章下書き」というのがあるから。
夥しい参考書から、参考書として使える書籍をピックアップしていた次第。
「子供の宿題の手伝い?」
いえいえ、「指導」と言ってください。
あんなわけのわからん、しかも複数のジャンル(その上、本屋と図書館でジャンルが違う)に渡るとこから書籍を探し出すなんて、私でもやっとのこと。
概略はできてるんですが、その裏づけとなる記録類のピックアップがね。

「服装の変遷」なんて、高校の学習範囲にないので、教師の指導に頼るわけにはいかないのです。だいたい、付いている担当教師が「美術」の教師だし、しかも、故あって、1学期で退任してしまって、2学期に別の新任教師が来るそうな。
空白の夏休み。

幸い、土壇場の県立浦和図書館の所蔵で、いい本にめぐり合えました。最後の1週間が卒論用にキープされている期間。
週末は泥縄船をこねる日です。

卒論用には直接関連しないもので面白い文献もあったので、その辺はゆるりと。

2007/08/20(月) 反物回収
早上がりできたので、帰りがけに、呉服屋さんによりました。
夏前の展示会でみつくろった反物の湯のしがそろそろ届くのではないかと。
案の定できていました。
今回の反物は2点。桜の紋織り西陣お召しとまさに「江戸紫」という印象の青味の勝った紫地の兔のとび柄小紋。

江戸小紋は単の大袖仕立にする予定。一見、桜の紋織りだけに見えますが、遠めには色のグラデーションもちゃんと見える微妙な色遣いなので、布の配置にはちょっと緊張しそう。
担当さんが、いい色の八掛けを見繕ってくれていたんだけど、大袖はボカシの八掛けではダメなのよね。あれは小袖用に染めてるので、袖の分が全くないのだった。私が着物用の反物から裁つ場合は、一色染めの八掛けから配置します。袖と衿に色が入るので、丁度八掛け2点分が必要です。

さて、単の季節まであと少し。急がなくちゃ。

他人様のものは縫えませんが、自分の位ならどうにかなる優妃です。

2007/08/19(日) 県立図書館 フルコンプ!(2)
使えそうかそうでないかをチェックし、今回どうしても持ち帰りたいものを抱えて開架書庫のチェック終了。
次は閉架書庫です。
出庫依頼票に書き込んでカウンターに提出。
依頼票を抱えたお姉さんは、そこにはあると気づかなかった階段を降りて下に消えました。そういえば、ほぼ全エリア開架エリアにしか見えないんですが、どこに閉架書庫があるのでしょう?
カウンターに残っている職員さんに質問すると、閉架書庫は、建物のあちこち、つまり隙間のような場所に分散してあるのだそうです。だから、異なるエリアにある本の出庫を依頼すると結構大変なんだとか。収蔵本が増えてしまったので、そんな事態になったとか。
しばらくすると先ほどのお姉さんが手ぶらで帰ってきました。
と思ったら、階段同様にそんなとこにあるとは気づかなかった物搬用エレベータを操作して、ワゴンを引き出しました。
本と共になんか、すっごい巨大な箱が乗っています。そういえば、中に「大型本」があったっけ?
「残り二冊は後でお届けします」とワゴンを閲覧席まで引いてきてくれました。そして、お姉さんは閲覧席の奥に消えました。
どうやら残り二冊はそっちの方の閉架書庫にあるのでしょう。

研究書っぽい厚さ色々のB5版のハードカバーあり、文庫本あり、和綴じ本あり、トドメに巨大な布貼りの箱。その数10冊
今日は土曜日で5時までなので、さーて、全部チェック終わるでしょうか?

大型本のは写真図絵。見たことのある絵や像の写真ですが、印刷が良いのか、大きいからか、細部まで鮮明です。
多くの本で白黒版にしかなっていないものも、こちらではカラーのもありました。思わず、全頁見てしまって、時間を消費。まずいまずい!
和綴じ本は、木版摺りで図は多色摺り。装束の紋様は現在のドット合成な印刷より、木版の重ね摺りの方が鮮明かつ「らしく」でます。明治期の本なんですが、殿の話だと、当時の市販本はかなり和綴じ木版本だったんだそうな。殿の祖母の産婆のおばあちゃんの産婆資格取得に使ったという本は皆和綴じだそうな。大正期の頃。
「和綴じ木版本=江戸かそれ以前」って思っちゃうんですが、それよりももうちょっと最近まで和綴じ本って普通にあったんですね。
手間のかかりそうなのを片付けて、次はハードカバーの研究本。
う、昭和ヒトケタの出版本はハードカバーでもかなり傷んでいます。うっかりすると分解しそう。これでも、貸し出し可なんですか?って感じ。表紙と本体は製本用の布で、頁の間は糸で補修した跡が見え隠れ。
おっとあと15分。借りていく本と返す本を仕分けてカウンターへ。
「貸し出しできるのはあと2冊ですね」
う、借りたいのは3冊。しかも厳選でこれ以上減らしたくない。
開架書庫の分で先に貸し出し処理しておいたものから1冊諦めて返却。それでも、B5版ハードカバー本を5冊バッグに入れて、退出。わかっちゃいるが、ああ、重い。

2007/08/18(土) 県立図書館 フルコンプ!
なんてタイトルでしょうか。
埼玉県には、3つの県立図書館があります。
浦和、熊谷、久喜
この3拠点に分野を分けて本を収蔵しています。
この3箇所を全て踏破したって話です。

勿論、最寄の図書館でリクエストカードを書けば、取り寄せて貰えるのですが、セレンディピティ(2007/0809参照)したい私は、現地でチェックもしたい次第。
それに、禁持ち出し本の中でも和綴じや巻物の場合は、「取り寄せ不可」なものもあるので、そういうのは行くしかありません。

装束について書かれた本は、過去にも書いたように、複数のジャンルに渡り、埼玉県の県立図書館の区分の場合、見事に3拠点に分散してしまっているのです。
文学関連は久喜図書館。源氏物語や枕草子に絡めての書籍はこちらに収蔵されています。
歴史関連は熊谷図書館。平安時代を歴史として語る書籍はこちら。
そして、最大規模を誇る中央機能を持つのが県庁に近接する浦和図書館。風俗・民俗学・と和綴じ等の古文献はここの管轄です。
図書館学的な分類で言うと「衣類」ひいては「服飾史」は風俗・民俗学に属します。このカテゴリには、衣食住から祭や民話・伝承、妖怪といったものまでを扱い、しかも日本のみならず世界各国の風俗・民俗を対象とします。
タイトルだけでは、どの国の話なのか判らないものもあります。
「文学」っていうと、古今東西しかも各ジャンルがあるというのと同じように、結構広いカテゴリです。

というわけで、やってきました。浦和駅。
ここ一週間の最高気温40度だなんだというのが、朝方の一雨でストンと切れて、30度をちょっと切った位でしょうか、随分涼しく感じます。
京都からこればっかりな、シルック絽を袖に使った二部式襦袢に夏大島モドキの木綿の着物に袴を穿いて、足袋に草履。
気分なのか、気温差のせいか、ちょっと涼しい程。
夏大島モドキは一度洗濯したので、ハリが消えてちょっとしんなり。アイロン程度では汗でくたってしまうようです。
かるーく糊でもつけた方がソレっぽくハリが出るでしょうか。

昭和30年代に建てられたという浦和図書館は埼玉会館の隣。
今日はホールでお子様向けのステージでもあるらしく、埼玉会館の前には、プリキュアの服着た子なんかを含めた親子連れが行列していました。
その横を通り抜けて、図書館へ。
一階が児童室、二階以上が大人向けです。
風俗・民俗関連のエリアを館内マップで探すと、三階の奥です。
示されたエリアに行ってビックリ!
メインの開架書庫は、普通の天井の高さの建物部分にあるのですが、ここは、中二階構造になっています。壁の部分だけ狭い通路が走っており、壁部分だけは書棚が二階建て。
入り口からは、その輪になった中二階部分も見渡せるので、圧巻な眺め!!風俗・民俗はその中二階部分の一角にありました。
といっても、書棚数にしてかなりな数があります。これは開架書庫分だけですから、閉架書庫もかなりな分量があると推測されます。なんせ、事前にチェックしてきたリストの大半は閉架書庫分。
さて、端からチェックです。ありそうな場所は、リストアップしてきた分の分類記号から判断。
おー、あるある、リストアップ時には気づかなかった本の中にも参考になる記述がありました。逆に「いかにもらしい」タイトルの本が別の国のソレだったり、「記載はあるが、この程度は既に別文献でチェック済み」なのがあったり。
問題なのは、このエリアは「全て貸し出し可能」な分。現在、数冊借りている状態なので、闇雲に抱えると危険です。
しかも、まだ閉架書庫を未チェックです。閉架書庫分でも貸し出し可能なものが沢山あるので、セーブせねば

2007/08/03(金) 足袋屋を見つけた
健康診断でひっかかってしまって、二次健診です。
先日出かけた銀座の医院にまたお出かけ。
健康診断は午前中、二次健診は午後です。
というわけで、昼過ぎの銀座の3丁目辺りを晴海に向ってトコトコ。

今日は着物姿。先日、銀座で買った綿絽の着物に蘇芳の無地絽の袴、縞の足袋にエナメル草履。

前回は、朝の出勤風景でしたが、今回は、昼食時間も過ぎているので、人の流れはあっちこっちと不ぞろい。
前回は開いてなかった店も当然開いていて、「あら、こんな店が」なんて見つけたり。

という中に、「あら、足袋屋だわ」

間口は2間でしょうか。両側に小さなガラスの飾り棚(ショーウィンドウなんて横文字は似合わない)があって、真ん中の1間がガラスの引違い扉。昭和の初めから建っていたんじゃないかって風情の外見です。お客様がいるのが見えました。
こちらも、医者が先。帰りに寄ることにしました。

健診を終えて店に。
今度は、誰もいませんでした。
「がらら」ガラス戸は懐かしい音を立てて、それでも軽やかに開きました。
「ごめんください」
その声に
「はい」
と右脇の引っ込んだところにいた男性が出てきました。
ひっこんだところにはテーブルがあって、向かい合わせに工業用の黒いミシンが置いてあり、脇に裁断済みの白足袋の生地が積み上げられていました。
歳の頃は70歳?80歳?歳はいっていそうですが、矍鑠(かくしゃく)としています。いかにも「職人さん」という感じ。

入ったところの細長い半畳程が土間、ガラスのショーケースをはさんで、その向こうは板の間。正面の壁は一面の引き出し。
中にサイズ別、種類別に足袋が入っているのでしょう。

「足袋が欲しいのですが」

足袋屋に足袋以外を買いに来る客がいるわけありませんが、なんと言ったら良いのかわからないので。

「はい、サイズはおいくつですか?」

マヌケに見えたかもしれない私を笑いもせずに、普通に応対。
ここでサイズが問題。何故か知りませんが、メーカーによって合うサイズが異なるのです。小さいとこでは22.5cm, 大きい方は24cmです。
ここでのサイズも見てもらうことにしました。

まず、23cmの試し履きの足袋をはくことにしました。
履いている足袋を脱いで、履きます。こはぜが留まりません。
「んじゃ、こっち、反対で悪いけど」
何故か、一つサイズ上の足袋が反対足の分できました。
仕方がないので、反対の足袋を脱いで履き替え。

すぅっととすいつくようにぴったりと収まります。
これはきっと良い足袋です。
5枚こはぜのキャラコのを2足買い求めました。
ネル裏もあるようなので、冬になったら、ネル裏を買いにきましょう。
デパートや呉服屋では、4枚こはぜのキャラコしか売っていないことが非常に多いです。5枚こはぜやネル裏はまず滅多扱っていません。

親が用意してくれていた足袋がネル裏の5枚こはぜだったので、どうも「勝負どきの足袋」というと、ネル裏の5枚こはぜが履きたいんですね。

「5枚こはぜ好みは関西に多い」とか「踊りの人は5枚こはぜが好み」「お茶の人は4枚こはぜ好み」「足元を綺麗に見せたい人はネル裏」とか聞きますが、よくはわかりません。

ここは歌舞伎座に近い、銀座の裏手。役者さんや踊りの方がご贔屓にされている店かもしれません。

なんて、帰って、着物のムックなどを漁ってみたら、日舞を習われている方がお師匠さんの縁でここで足袋を誂えたという話がでてきました。

きゃー、やっぱり、日舞の人が使うお店だったのね!
足袋の脱ぎ方、履き方、脱いだ足袋の置き方、変じゃなかったかしら。いや、きっと変だったに違いないわ!
きゃー、いやー、恥ずかしいー!

って、どう格好つけたって、本当に踊りや着物の仕草になれたおくろうとサンに匹敵するわけありません。(ひらきなおり)
そんな辺りから「おや、単なる着物好きさんだね」って思ってくれて、それなりの対応をしてくれたのでしょう。

お値段は一足3千円もしませんでした。デパートよりは安い。

お店の名前は「むさしや足袋店」
銀座4丁目といっても、東銀座というか三原橋の近く。

2007/08/02(木) 綿絽を着てみる
さて、買ってきた綿絽です。
手持ちの綿絽は全てお下がり品。コーマ地でしょうか、比較的厚手な木綿地に地白の藍染めなとこまでおんなじな二枚があります。

今回のは、それよりずっと薄手。見た目は夏塩沢。

家で広げてみました。

うぉ!

予想通りにスケスケです。襦袢なしで着たら、下着なんか「透ける」どころか「丸見え」って位に。
京都で買ってきた水色の袖のついた半襦袢だと、袖の下の水色がほわぁ〜んと透けて、胴部より青っぽい感じになります。
これ、本気で「浴衣」で売っていたんでしょうか?
浴衣スリップ位じゃ気が引けます。
衿着き袖なし半襦袢位でも個人的にはギリギリNG気分。

私は、「夏着物」として、襦袢着て着る気だったので別にイイんですけどね。そういうのを知らないお嬢さんが「普通のプリント浴衣とは違う、古典風でシャレてるわ」なんて、買って行って、浴衣として着ちゃうんじゃないかって。

こちらとしての問題は、「夏塩沢『風』に見えてるかなぁ」って方。本物に見えてなくてもいいんですが、それと同格に見えてくれていないと、他の小間物の釣り合いを考えなおさないといけないから。

うん、「夏お召し」か「上布」か「明石縮み」かって感じに見えています。普通の紗紬にプリントすると、シナっとしてしまうのですが、薄手木綿なのでハリがあるので、麻とか生絹(すずし)で織ったハリのある生地のイメージがあります。
勿論、木綿だから「涼しい!」

昔は、木綿をこんなに薄手に織り上げる技術って、きっとなかったんでしょうね。
これを「ただの浴衣ランク」とするには、ちょっともったいなさ過ぎます。織物系の夏着物と同格位には見ても良いような気がします。

けど、コレ洗ったら、どうなるんだろう?
新品のときだけの価値かしら。

2007/08/01(水) 八朔
一日は「朔日」とも呼びます。八月は「八朔」です。
柑橘類で「はっさく」ってありますけど、さて、同じものやら。

気象庁的には、梅雨明け宣言はまだということですが、29日の夕刻に雷雨も降りましたし、梅雨明けゲージの立葵も頂上まで咲ききりました。トドメに蝉も鳴いています。
我が家では、「梅雨明け」と判断しました。

この日、京都の祇園さんなどでは、芸妓さん、舞妓さんが、黒紋付の裾模様の正装で、お茶屋さんやお師匠さんの処をご挨拶に回る日だそうです。一度みてみたいものですが、なかなか機会がありません。なんせ、一日こっきりのことですから。

さて、昨日、着物を買いました。
綿の縦絽ですが、普通の綿絽に比べるとずーっと薄い生地です。
イマドキの「プリントのプレタ浴衣」の仲間です。
とはいえ、このシリーズはちょっと大人向けな地味な色柄で揃えられています。パっと見は、夏塩沢とか明石縮み、夏芭蕉の雰囲気です。
生地の薄さと透け加減に柄付けは明らかにこの辺の夏の織物系着物を意識していると思われます。

そのうちの一枚が気に入ったので、買い求めました。

店員「たとう紙はごいりようですか?」
私「はい、お願いします」
店員「畳み方はご存知ですか?」
私「・・・・・はい」

会社帰りの洋服姿。着物を着られるかどうかはこの格好からでは全く想像がつかないでしょう。そういう人の中には畳めない人も当然いるんでしょうね。

店員「帯はどのようなものをされるご予定ですか?」
私「そうねぇ、黒の絽か、紗献上辺りをお太鼓に結ぼうかと」
店員「ああ、それは良い組み合わせですねぇ」

ここは「ご一緒にポテトもいかがですか?」戦術でしょうか。
シックな柄行きなので、普通の浴衣用の半幅ではカジュアルっぽ過ぎな感じです。店員さんは「持っていない」方に賭けたようにも見えましたが、残念ハズレです。

店員「こちらのですと、襦袢を重ねて着物のようにお召しになることも可能ですよ」
私「そのつもりでいましたの。麻の紗の襦袢がありますので、これを合わせようかと思っております」

おっとりと会話は進みますが、「ご一緒にポテト」並みの追加品はなかなか出てこない。そりゃ、一式持っていますからね。
絽の夏帯は白と黒の二本、紗献上は薄蘇芳と薄花田の二本。お出かけには絽の帯、完全カジュアルなら紗献上。大体この4本でことは足ります。

シック系のこのチェーン店は比較的敷居が高い印象なんですが、それでも、「何も持っていない初心者」も浴衣などは買って行くことがあるようです。
「何か後で、聞かれたら困る」とでも思っているのか、徹底して、「初心者確認」が続きます。

店員「こちらのチケットは、この浴衣をお持ちいただくと、千円でお洗濯をさせていただくチケットです」
私「家で洗えないものですか?木綿100ですよね。」
店員「いえ、普通に洗っていただいて構いませんが、干す場所とかアイロンが大変でございましょう?」

浴衣の洗濯チケットって、「アイロンかけ」ができないから、頼んじゃおうって人のためのものだったんですね。
正藍のは2回程は色留めも兼ねて業者さんにお願いしましたが、それだって、その後は家で洗濯しています。
他のものと一緒に洗濯して色落ちの心配すら不要なプリント浴衣をなんで千円もかけてクリーニングに出すのかと思ってた。

個人的には、着物って、四角でまったいらになるので、襞があって立体裁断な洋服なんかよりよっぽどアイロンはかけやすいと思ってるんですが、世間じゃ、あの広さに辟易してるのかも。

店員「お着物はよくお召しになるんですか?」

あら、急に初心者確認から、飛びました。
質問の回答をまとめれば「初めて浴衣を着る」んじゃない事くらいわかるわけで、次に来るのは「他の着物も売り込めるのでは?」という魂胆でしょう。

私「家では、大概着物ですのよ」
店員「こちらのお店でお買い物になったことは」
私「伯母が以前、こちらの別の店に勤めておりましたので、その頃に色々と揃えていただきました」

「伯母が」ってのは真実。実際に成人式の訪問着などそのツテで購入しましたし、大伯母からのお下がりにもこの伯母から買ったものが含まれていました。

店員「展示会などにお出かけにはなりませんか?」
私「必要なものは、十分に誂えていただきましたので、もう十分にございますのよ」

さりげなーく、行かないョって意思表明。
だって、このチェーン店、化繊の反物ないんだもん。
今回、こんないい柄の木綿着物が目につかなければ、「いつものように」素通りする筈でした。

さーて、しばらくは展示会攻撃が来るかしらね。


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.