優妃 讃良の着物についておもうこと
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2007/07/09(月) 通過儀礼のありやなしや
「通過儀礼」、人が成長するに従って、ある一定年齢を越えたことを祝う儀式。
幼児死亡率の高さを物語るのが幼児期の通過儀礼。
「お七夜」「五十日(いか)の祝い」、一つの祝い、三つの祝い。
生まれてすぐに死んじゃう子、1歳まで生き抜けない子。昔は当たり前のようにいたらしい。次のハードルは3歳。「3歳までは神様のもの」という言い方もある。

五歳辺りからは、「人間として社会に交わる儀式」が増えてくる
。「袴着」といった衣類から「文初め」という勉強の話、成人としての準備を整えていく始まりを祝う儀式となる。

地方によっては、地元の子供会から青年会に移る祭がある。京都のどこだったかの町内のお祭りなんかそう。
15歳位で、この日から、地元では大人の会合に参加できるようになる。この日の衣服は、お子チャマな肩上げ腰上げの服から、大人の着流しに羽織を着た姿になるという。

江戸時代の商家の丁稚奉公でも、元服して「手代」になると着流しと羽織なので、商業地の「オトナの姿」ってこうなのかもしれない。京都の舞妓さんも、昔は12,3で店出しし、16,7歳で「衿かえ」といって芸妓さんになった。舞妓は「お子ちゃま」で「見習い」なのだから、芸妓こそが「オトナ」で「本職」という位置づけになる。(今は中学を卒業してから「仕込み」に入るので、店出し自体が16,7歳になってる。)
元服は人によって違ったらしい。15歳前後が最も多かったらしい。

というわけで、成人式に至るまでの儀式は、基本的に家庭内、親族内の「内輪の行事」になっている。
元服は、そこからオトナとして「勤務」することになるので、公の席の祝会もあるけど、家や一族でそれを祝うパートもあった。

今のどこの自治体でも成人式をするようだけど、あの位置づけは何か辺だなぁと思う。農村の自治会が、今まで「お子ちゃま」だった子達を一人前の男として、会合に参加を許す初回を「祝い」とするのはわかる。同じように商業地や職人の世界でもあったと思う。いわば入社式のようなものだ。
けど、そういった共同体でもないただ「住民票を置いていた場所」の成人式ってなんなんだろうかと。

案外とビックリするのが、七五三にしろ、成人式にしろ、「家(一族)での祝いの儀式」がない家があるって事実。

最初は「怠けてる家だなぁー」と思ったが、日本全国儀礼が統一だったものなどない。とすれば、全階層において七五三や成人式があったと思う方が変だ。ちょっと探して出てくるこれらのルーツは、皆、公家や武家の習慣。
七五三で親族と親しいご近所に親と共に千歳飴を配り、成人式には自力で親族宅を回って菓子折りを配らされた我が家の先祖はしがないながらも武家の筋。

商家で丁稚が手代になるのは、店の主人の判断だし、丁稚の衣類も手代の衣類も店の支給だ。それを祝って宴を張ってくれたのは親親族よりも店であったろう。もちろん、七五三の祝い着を用意できたとは思えない。
前に書いたが、武家や公家は人口の1割、商業職人で1割。残りの8割が農林水産業者だったのが江戸時代の割合。
9割弱には、七五三も成人式のお振袖も無縁だったわけだ。

「なにもしない」
案外と、それは「由緒正しい習慣」なのかもしれない。

「晴れ着を着て、お宮参り」だけを真似るのって、「七五三だね」と言われるのはさもありなん。


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