優妃 讃良の着物についておもうこと
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2007/06/05(火) 展示会ー源氏物語
週末、呉服屋さんの特別展示会に行ってきました。
昨年のテーマは「ルーブル美術館の美」でしたが、今回は「源氏物語千年プロジェクト協賛」とのこと。
源氏物語をテーマにデザインした着物が並ぶのでしょう。

この日のキモノは、白地に黒の変わり矢絣お召し風にプリントした化繊の紗紬透けないタイプ。袴は松葉、頭はハイカラさん風な上半分を結んで、後ろに垂らした髪型。既に腰まである。

この呉服屋さんの展示会の場合、担当は並行して複数のお得意様を面倒見るので、別途お客様一人ひとりには系列別店舗からの助っ人さんが付きます。
過去の助っ人さん達は、どーもいまひとつピンとこない人たちでした。
若い女性で「大島紬で水仕事する」という方
年配女性で、知識もそこそこ良いけど、趣味が私と全然異なるのか、ピントはずれなキモノばかり紹介してくれる人

今回のは、見た瞬間に「こりゃー、外れだわね」と思ってしまいました。先日倒産した某呉服屋チェーン店にいそうな、イケ面の若いにーちゃん。「顔が良い=無能」と決め付けちゃいけないとは思いつつ、なんかね。(某キモノチェーンの功罪大!)

入ってすぐに飾ってあったのは、やはり、十二単で使う二倍織物の表着でした。青地(グリーン)に唐花の丸紋の。仕立が悪いのか、保管が悪いのか裏地がたるんで、袖口のおめりなんかナミナミしています。唐花の二倍織物の糸が浮いてるのが散見されるのは、扱いが悪いのかそもそも織りとして糸を長く引きすぎなのか。って両方だわね。色も妙に派手派手しい。
大手装束屋とか、有職織物で有名な喜多川先生のとこのじゃないとみた。

その前で、イケメンにーちゃんは
「昔は、こういったキモノを12枚も着ていたんですよ」
とやりはじめました。
私も無視すればいいのに、言い返しちゃったわ
私「あら、5枚よ。」
彼「源氏物語の頃は12枚だったんですよ」
おや、イケメン君、どこでそんな知識を仕入れてきたの?
私「いえいえ、5枚に決めたのは、藤原道長、まさに源氏物語の縁の人よ」
彼「でも、これを5枚だと、やっぱり重かったんですよ。動けなかったらしいですから」
おーや、どうやら、栄花物語の女房の逸話だけは知っているって感じなんでしょうか。
私「これって、女房だって着ていたのよ。その格好で、御簾を動かしたりしてたのよ。『20枚も着て動けなかった』ってのは、ある宴会でのおバカな女房達の話よ。
それに、当時の絹は今の小石丸のような細い糸の蚕なので、同じ広さに織っても6割位の重さにしかならないの。ずっと軽かったのよ」
あーあ、私ってば、おもいっきり力説しちゃった。
彼「でも、袴も長いし、こんな格好では動くのって大変だったんですよ」
だーかーらー、どーして「断定」できるわけ??
私「着慣れれば、大したことないわよ。普通に歩けるわ。当時は部屋だって広かったんだから」
年に数回は着ている私の方はまさに、実体験に基づく感想。
彼「あの、どういった方なんですか?」
多分、この会場に来るお客さんで、装束についてこんなにも詳細に知っている人って多分他にはいないと思う。
いても、きっと私みたいにムキに反論しないで「知らない人って、こういうのが常なのよねー、ほほほ」と心の中だけで思ってるだけに違いないから。

でもねー、装束を着たり、縫ったりしている人間としては、こんなにぶっとんだ勘違いは看過できないのよ。
着物の誤解だって、反論しちゃうでしょ。私の場合はそれが装束でもそうだってこと。

しかも、ツネヒゴロの知識に加えて、今年は更に、お姫さんの卒論指導で愛読の本達も繰り返し読みこんでいるので、「装束の重ねの枚数が5枚に確定するのは、道長の言葉」なんて詳細情報までソラんじちゃってる状態。そう彼は時期が悪かった。

しっかし、「源氏物語」をテーマに展示会を開いて、装束を飾るんだったら、それに関わる説明内容位、店員に回してやれば良いのに。他の人には「こんなのを12枚も着ていて、身動きもままならなかった」なんて説明してたかと思うとね。
出来れば、今回のテーマに使った源氏の女性達がどんなキャラなのかも知ってて欲しい。物語全体では多いけど、それだけなら、たかが8人分だ。

「やっぱり、イケメンはダメねー」口には出さないが、入り口エリアを通過。

(続く)


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