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2007/06/04(月)
キモノは夏に暑い?
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本日、「虫歯の日」です。いや「歯の日」なのかな。 「6月4日」で「ムシ」だからという。 小学校の頃には、全校で朝礼に「歯磨き体操」なるものをやりました。保健委員は見本で前に立つので、事前に保健室で練習してたりしました。2年間保健委員した私は、なんか覚えている日です。
さて、本日は「夏の着物」の話。
冬に着物を着る人は結構います。 普段着物もやはり袷の着物から広まります。 夏の浴衣はそれ以上の広がりをしているようですが、長襦袢を着て足袋を履くという「夏着物」の方は第一段階としては手を出さない人は多いようです。
そもそも親の世代だって「夏の着物は汗になって、始末も大変だから着ない」と言い切るのだっています。(ウチの親だよ)
でも、そんなに言う程、夏着物は夏に着られない程のものなのでしょうか? だって、ほとんどの人が着物だった時代ってあったわけで。 何か夏着物を着るコツってあったんじゃないでしょうか。
というわけで、コツのいくつか マズは昔は今のような肉布団のような補正は花嫁さん位でした。 いっくら夏専用の生地を使っても、あんなに下ごしらえしたら、暑い筈。 灯心草など涼しくて汗取り機能のある素材をつめた補正具もあります。夏の補正には、やはり夏用のモノが良いです。 (でも、滅多見ない。夏でも普通のタオルやガーゼ補正をアドバイスしている本もある)
★着る枚数を減らす 祖母から譲られた夏の絽とか紗には変なものがついていました。 袖に絽の襦袢もどき、衿に襦袢衿もどき。肌襦袢と裾よけの上にいきなり着物を着ちゃってたんだそうな。 この方法は着物毎に袖を付けておかないといけないので、ちょっと面倒。 逆に二部式襦袢なら、肌襦袢と裾よけを使わずに、素肌に二部式襦袢の上下を着用する形で同じ形態になります。 胴はおぼろガーゼ、脇は汗取りパッドで発汗を吸収。
★紅梅とか麻縮みって夏着物にも 綿紅梅、絹紅梅、小千谷縮などの麻縮みに綿縮み、綿絽って、私は「夏着物」だと思ってたんですが、昨今の「浴衣着ようよ」って特集だと「浴衣」扱いいなってて、「あれれ?」って思うんだけど、読んでいくと、ちゃんと「襦袢と足袋を着用して着物として着る方法」も載っています。
★仕立て下ろしの浴衣は外出着 「浴衣」と一言でいっちゃうと、問題なのですが、私が子供の頃だと、年配のおばーちゃん方って、夏は浴衣を着て電車にも乗っていました。これはは上で言う紅梅とかじゃなくて浴衣の定番コーマ地のなんかでも。 但し、電車に乗るポイントは「裾よけをつけている」「肌襦袢か半襦袢をつけている」こと。夕涼みのように「下着なし」では乗らない。昼日中は、明るいので、着物の中が透けます。だからなんでしょう。トドメは「仕立て下ろしか翌年の糊付け分のこと」。コーマ地は洗いを重ねるとふわふわと柔らかくなります。 仕立て下ろしとは同じ生地とは思えない位柔らかくなります。 寝巻きとか幼児の産着、オシメには最適ですが、オデカケにはちょっと。というわけで、「洗う迄」か「一回洗った」位までかと。その後の浴衣は勿論、普段着に使います。
★帯板、帯枕も涼感素材 昔の人はそもそも帯板しませんでしたが、今の人は帯板なしのくちゃっとした形態は好みじゃない人が多い筈。 これも冬の布+ダンボールのでなくメッシュの夏専用品を使うと、どーんと涼しいです。 衿芯使う人は普通の樹脂でなくメッシュが夏専用。 帯枕も「ヘチマを手頃なサイズに切って使う」のが夏のテク。
★夏は着物のドレスコードが変わる。 冬は礼装といえば、「縮緬に友禅染め」に代表される「染物」が礼装用で、織物はほぼ対象外です。 ところが、夏着物の場合、無地や無地っぽい縞の夏大島や夏塩沢は「無地着物」と同格になるんだそうです。 昨年、いきつけの着物屋さんで聞いて「へーーーーーーー」 「夏の礼装って絽か紗に限るんだよね」と思ってた私は目がまんまる。 「夏召し」の方に属する紋紗の仲間も「織紋アリの無地着物」と同格品になります。(装束では 同等の織物を「顕紋紗(けんもんしゃ)」といって、夏の正装用生地です)
礼装の仲間に入らないと思っていたこれらの着物達は、染物系に属する絽や紗より更に涼しいです。 シャキっとしてハリがあるので、肌につきにくく、織目の隙間が大きいので涼しいのです。
★昔は生絹や上布が夏の礼装。 「生絹」と書いて「すずし」と読みます。やっぱり「涼しい」からなんでしょうか? 絹糸を練らないで生糸のまま織ったものです。練らない生糸はハリがあり、それで織った生地はオーガンジーのようにスケスケでハリがあります。当然ですが、涼しいです。 装束の更衣では、冬は練絹、夏は生絹を用います。 自宅の室内では、緋袴(もちろん、こちらも生絹地)に生絹の単一枚なんて格好だったらしいことが、源氏物語にも出てきます。
一方、武家の世界では、夏の正装は「上布」でした。 一般庶民の衣類素材としては、麻は長い歴史がありますが、「上布」という洗練された上等な生地になるのは、武家の興隆と同期しています。武家の女性は、夏場は上布を着用していました。 冬場は打ち掛けとして羽織る衣類も、夏場は(当然夏用生地なんですが)、「腰巻」といって、昨今の腰にトレーナー巻いているみたいに巻きつけてただけ。
★庶民の家事着の実態はびっくら! 「昭和の着物」とか「庶民の着物」とかを読むと、夏場に、庶民が家事をする際にどんな格好をしていたかが書かれていたりするんですが、これが「長襦袢だけ」とか「腰巻だけで、上はすっぱだか」とかびっくりするような格好で家事をしていたというのです。 洋服で考えれば、下着に色がついただけと言えるタンクトップに、柄のついたステテコと差異のない木綿の五分丈パンツって、つまりが下着姿と等価ですよね。 昔の普段着用の襦袢や裾よけは今のような白や薄ピンクじゃありませんし。
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