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2007/02/22(木)
袴の種類と腰紐の結び方
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袴には色々な種類があります。似たようなもんなんですが、腰の紐の結び方って、ちょっとづつ違います。
まず、男物。 仙台平とか無地紬で作られる男袴。これは、武家の袴から来ています。前腰の左右に紐があって、これを後ろに回して、帯の上で交差させ、前に回して、前でも交差、再度後ろに回して、蝶結び。後ろの腰板の左右についた紐を前に回して結びきりにして、結び目を紐の中に挟み込むか、十字に飾り結びします。 袴の形状では「馬乗り型」と呼びます。
商人などでは、これを行灯袴に仕立てたものも着用します。 子供は、「裳袴(もばかま)」といって、こちらの「行灯型」を着用していましたから、七五三の袴は行灯型が一般的です。 腰の紐の付き方と結び方は、馬乗り型と同じです。
お公家さんの穿く指貫袴(さしぬきはかま)(奴袴(やっこはかま)とも呼びます)は、現在の形状では、武家袴とほぼ同じです。 違うのは、前で結ぶ結び目が蝶結びなこと。もちろん、紐の中に折り込んでしまいますから、そうとは見えない仕上がりになります。古い形態では、後ろ腰についた紐も前紐同様に長く、前で結ばずに、前で交差させて、後ろで結んだんだそうです。
束帯の下に穿く、下袴と表袴の場合は形状が違ってきます。 紐は前と後ろが脇でつながっている一本構成です。 下袴は左脇で結び、表袴は右脇で結びます。同じ方で結ぶと片方だけ結び目が重なってモコモコになっちゃいますから。 結び目は、一種の縦結びの蝶結び。紐端、長めの輪、短めの輪と重ねて揃えます。
江戸末期頃には、差袴(さしこ)といって、指貫袴の裾を裾丈に切って、括らないタイプを普段は穿いていたそうです。これが、今の神職さんの袴として一般的な袴でもあります。 腰の部分は、指貫と同じです。
さて、女性の袴。 まずは、装束の袴。これも束帯の袴のように一本構成です。 右脇で結びます。男性のと大きく異なるのは、片結びなこと。 輪は折らずに胸元に立てるか、胸元中心に向けて斜めにします。 端は二本揃えて、垂らします。
巫女さんや女性神職さんの穿いている袴は、差袴と同じか、同じに見える行灯袴です。これは、差袴の紐の結び方と同じです。 女性神職さんにだけある「ねじ襠(まち)式袴」という、馬乗り型のものは、装束の女袴と同じ右脇で片結びにします。
さて、女性のはく袴で一番一般的な行灯型の学生袴 これは、前紐、後ろ紐の二本式です。結び方は男性の武家袴と同じです。 但し、前の結び目は正面でふっくらと「いかにもリボン」に蝶結びします。このリボン結びを若干左脇に寄せるやり方もあります。
女性の穿く袴には、裳袴(もばかま)があります。これは、公家の装束の系統にあって、簡略化の一形状です。 形態は学生袴の行灯袴と同じです。但し、学生袴がウールサージを本義とするのに対して、こちらは正絹が本義です。
華族女学校の制服として下田歌子氏が考案したとされる「学生用の袴」ですが、元々、公家に仕える女房達の裳袴をウールサージ地にしたものです。生地は違えど同じ形態なのは当然です。
区別はもう一つ。裳袴は、装束の女袴の簡略形ですから、腰の紐の結び方は、右脇に片結びにします。学生袴とはこの点が見た目にも異なる部分です。
私の手持ちの袴は、行灯袴とねじ襠式袴です。 どちらも、右脇で片結びにしています。
だって、装束の切袴の簡略形のつもりですから。
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