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2007/02/19(月)
江戸時代 士農工商の比率
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優妃のご先祖はお武家さんです。といっても、地方のショボい外様大名に仕える、下級武士だから、大したことないと思ってるんですが、知人との会話から、「武家って意外と少ないんだよね」と。 私の親の時代は、そういったことにこだわりましたから、私の親の親族は揃ってお武家の末裔です。現代は、サラリーマンが多いです。武家ってのは「自力生産をせず、管理をすることで俸禄をいただく。宮中や徳川直参を「国営企業勤務」とすると、大名への勤務は私企業勤務のようなもの。一応、父方では足利家から分家して、ずっと誰ぞ(しかも負け組君主が多い)に仕えていたようです。 つまりが、「室町時代からの『由緒正しき』サラリーマン」というわけです。(ケラケラ)
自分の縁戚はお武家の末裔だらけなんで、「武家の末裔」なんて、ゴロゴロいるんじゃないかと思ってたんですが、上のように意外と少ないらしいとわかってきたので、調べてみました。
江戸時代の士農工商の比率は、 武士(公家、僧侶・神職を含む)が一割 町人(工と商、つまり町に住む庶民)が一割 農民(農業、漁業、林業などなど、村に住む庶民全般)が8割強
なんだそうです。 「士」の区分には帝や将軍も含まれるし、外様大名の下っ端武士もいれば、お寺の小僧さんもいるわけです。大きいお寺さんは、沢山の僧侶が集まっていましたから、これも、結構な人数いたんじゃないかと思います。 意外なのが、町民です。商人だとか、職人だとかって、意外に少ないんですね。厳密には「士」よりも「工商」は少ない。 そして残る8割がいわゆる生産人口です。
通りですれ違う人の5人に4人は「農」を先祖に持つ人ということになります。「士」とか「工、商」に合う方がレアですね。
なーんとなくですが、同じ「農」に属する場合、土地が離れていても、習慣って極端には違わなかったり、似通っている部分が随分あったりします。 殿の母方は山形県酒田市郊外、父方は群馬の山奥の山村とかなり違う場所なんですが、お寺の宗派は同じだし、年中行事の守り方にも同じ部分が多いです。
「士」は「公家」「お寺さん」「お宮さん」「大名家クラス」「下級武士」で習慣に差異がありそうですが、「下級武士同士」だと、やっぱり遠く離れた土地の出身でも通じ合う習慣があります。私の父方は、秋田の下級武士、母方の父方は東京近郊、母方の母方は四国の徳島ですが、こんだけ離れてても、やはり宗派は同じであり、年中行事の守り方の基本も同じです。
こんな話してても、実際には、若い世代がデートするときには、まーったく意識する必要はありません。 私と殿だって、結婚しようと思ってからですら、それが譲歩もできないような事項を隠しているなんて考えもつきませんでした。 「士」と「農」は、年中行事の守り方とか、着物に対する考え方が、ぶっとびに違うんです。
例えば正月の元旦の守り方 「士」の例: 晴れ着を新調し、正装して祝い膳を囲んで、新年を寿ぐ 準備は事前事前に行い、12/31の朝には全て準備万端のこと。 門松は12/13頃からポツポツと立て始め、12/25頃には揃う。 「一夜飾りは厳禁」で、12/31は飾りを売る店もなくなる。 「農」の例: 普段着で祝い膳を囲む。年に数度の貴重な休養日。 準備は12/31の午後から行い、1/1の祝い膳までに仕上げる 門松は12/31の夕方5時位迄を目処に立てる。
ざくっと言うと「士」における元旦は「儀式の日」であり、「農」における元旦は「休養の日」です。 着るものや過ごし方に大差があるのは当然でしょう。
最近では、個々の年中行事に対する儀礼を守ること、ハレの献立を守ることが、どこでも崩壊しつつあると言います。 でも「8割が農を先祖に持つ」と考えるなら、それは「一時的には、士とか商、工の習慣を真似てみたけど、やっぱり、本来の習慣がいいわぁ」って戻っただけなのかもしれません。 元々、「農」は生産人口ですから、折々の年中行事も、収穫と先祖供養に関わるものを除けば「士」程は多くありません。
「正月に着物を着ない人が増えた」と和装業界は嘆きます。 でも、人口の8割である「農」は、殿の実家が今もそうであるように、元旦に晴れ着なんか着なかったんだと思います。 明治になって「四民平等」ということで、「お公家さんのように長い着物を着てもいいんだ」という発想が庶民が晴れ着を誂える起爆剤となりました。 でも、それは、洋服という楽な着用物で代用できるようになると、「着物にこだわる必要はない」となっていったのではないかと。 和装業界のお客様は、今も昔も人口の一割なのかもしれません。
※ちょっと、気になって、士農工商の比率を調べてみたら、武士って、すっごい少ない割合なんだなってビックリしたこと。 もしかして、「世間一般の習慣」って、8割の「農」の習慣なんじゃないかって勘繰ってみた話です。
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