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2006/09/27(水)
七五三の準備
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まもなく袷の季節です。 袷の季節には、祝い事も多いですよね。 例えば、七五三。 本来は、子供の成長の節目を祝う儀式で、これを期に着るものの形態が変わりました。 今でも「成長を祝う」ことには変わりはありませんが、着物自体を着ることがなくなっているので、「着物の形状が変わる」という意識は恐らくなくなっているのではないかと思われます。
だからでしょうか、伝統的な格好ではなく、男児なら水干や直垂や狩衣、童直衣、果ては鎧兜、女児ならハイカラさんな袴姿や十二単やミニ花嫁さんな打ち掛け姿等も見られます。洋装でのタキシードやお姫様ドレス姿もそういった一つですね。
記念写真として残すのに、伝統的な格好とは別にそういったコスプレ的な格好もあっても良いとは思います。最近の写真館にはそういった貸衣装が充実していますし、親の言うなりにそんなものを着てくれるのは七五三位まででしょうから。
もちろん、お家の習慣で「我が家は5つの祝いには男児は初めて甲冑を着用する機会とする」とか「3つの祝いには袴姿で祝う」というのがある場合は別です。それはそれで、おうちの大事な習慣ですから。 お公家さんやお武家さんの場合、そういった習慣をきちんと伝えている家も存在します。今の一般的な七五三スタイルの方がよっぽど新しい着用習慣です。
でも、コスプレも行き過ぎは禁物。 まず、相手は幼い子供だということを忘れてはなりません。 着慣れない格好は、伝統的な着物も含めて、長丁場は辛い。 短時間でテキパキと済ませるか、日頃から木綿の着物と下駄などで着慣れさせておくなどの配慮が必要です。
また、洋装では、ウェディングドレスにベールといった大人風の子供サイズな格好をさせるケースもありますが、着物で白無垢だの角隠しだの果ては十二単におすべらかしだのってのは、どうも。 十二単は、成人式にあたる「裳着(もぎ)」という儀式をして、大人になったという意味で着用するようになる衣装です。
平安時代に七五三にあたる儀式は、3歳の髪置き、5歳の着袴、 3歳で儀式以降は髪を伸ばし始め、 5歳で袴を穿くようになります。 男児はこのとき、半尻(はんじり)という後ろ身頃の若干短い狩衣風の衣類、女児は、細長という袿ににたオクミのない着物を着用します。
本来これ位の格好しかしないのに、ごってりとお雛様のように着せこんだら、小さい子供は疲れてしまいます。
ハイカラさん風な行灯袴姿は、親の着付けの手間も、子供当人の楽さもあって、便利そうですが、注意するのは着物の種類。 ハイカラさんといえば矢絣で、貸衣装では、ピンクやオレンジの矢絣模様の着物とセットにしてあることも多いですが、袴姿の格は、袴下の着物の格で決まります。ですから、振袖のお嬢さん達と同格にするには、袴下の着物は、やっぱり振袖、紋付色無地、黒紋付などです。 着物には肩上げをします。袴が長い場合には、裾から10cm位の位置で折り上げをします。
明治以降、華族のお嬢様方はちょっとしたよそゆきにはこういった格好をしてようですが、成長の祝いの着用物は、各家に伝わる習慣に従った格好をしてようです。ですから「行灯袴で七五三」というのは、伝統的な習慣にはない形態です。 でも、着せてみると、結構カワイイし、今後、そういった格好が定着してもいいかなと思います。平安時代でも5歳で「着袴」で「袴を穿く」んですから。
我が家には、抱き合わせで買ってきた3歳児用らしき紫の袴があります。今は、お姫さんの三つ身の着物と共に人形が着ています。 こんな頃に袴はかせたら、さぞかし可愛かったでしょうねぇ。 装束仲間には、自分の娘とか姪っ子向けに子供用の袿を誂える人もいます。下は何着てても、すっごいカワイイらしい。 ウチのお姫さんの初装束は10歳のときの狩衣。 もう「殿上童」って感じです。
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