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2006/08/28(月)
【図書案内】「美しいきもの 秋号」
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今度は、着物季刊誌の双璧の一方「美しいきもの」です。 こちらは、正統派な掲載記事。 「TPOにあわせたナントカ」といっても、上は留袖、訪問着や振袖、下も、「パーティに絵羽紬を着てみる」といった格上ランクの話。 一応街着の記載もあったりするけど、大島など良いもの中心。 着こなしは、年代別のはあるけど、体型別には余り注力されていない。
私的には、「役に立つ情報」というより「着物の夢を満たす本」といった位置付けです。でも、「情報」よりは「夢」の方を毎号買うのよね。 夏の薄物を駆使した婚礼衣装の記事もステキだったけど、秋は、袷の本番。華やかなブライダル・シーズンでもあります。 色目、柄目も、山の紅葉や収穫物を反映して、色鮮やかにとりどりに描き競う着物は、春のふんわりイメージに対抗して良いものです。
源氏物語で「秋が良いか春が良いか」と春の御殿と秋の御殿で競う場面があります。某訳では、「秋のわびしい様が良い」などと付け足しているのもありましたが、京都の秋は、紅葉がぱぁっとした赤に橙に黄に萌黄に緑に色鮮やかに木々を染め、「侘しいなんて、どこの話?」という程、絢爛豪華な状態です。六条休息所は、華やかな人だと書かれていますが、娘の秋好中宮も母に似た秋の紅葉のように鮮やかに華やかな人をイメージされているのでしょう。
さて、今月号、「第一回きもの検定、模擬問題」が掲載されていました。着物としては、基本のキな問題が並びます。 しかし、「平安貴族の小袖に始まる着物」の記述は、やっぱりなぁ。 いや、確かに、庶民の小袖と並んで、平安貴族の下着として着用されていた小袖が着物のルーツ。現在の着物が絹なのも、貴族の小袖が絹だったというところから取りたいのかも。庶民の小袖は葛や藤でした。 貴族が小袖を着用するようになるのも、庶民の小袖を真似てのこと。 でも、着用習慣からすると、庶民から武家や町民が成り上がることによって、自らの衣類の生地を上等化し、今の着物に至るって方がソレっぽいと思っている次第。 平安時代の庶民の小袖は、既に現在の着物とほぼ同形状です。 既に襟もオクミも袖も現在の形です。反物の幅の変遷、裁断手法の変遷を経て、今の反物幅と縫製に至るわけですが、出来上がり形状が変わらないというのも、なかなか面白いと思っています。
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