優妃 讃良の着物についておもうこと
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2006/07/08(土) 「きもの文化検定公式教本」に思う
殿は土曜出勤日、姫は学校で期末試験の最終日。
所在無い休日の朝、氷をたっぷりと入れてキンキンに冷やしたアイスコーヒーを片手に、昨日購入した「きものの基本」を読みました。

なんですが、

記載に気になる点がいくつもありました。
ムック本でもこんなにひっかかりはしません。
ムック本だと、ひっかかるとしても、「まぁ、そういう説もあるわけだ」と思うだけなのですが、今回は「検定『公式』教本」です。「こんな説もある」で済ますのは気になります。

決して、検定自体が公的な資格保証をするわけではありませんが、獲得した人としては、「一介の私立の着付け学校の教えてることなら、いざしらず、『検定』なんだから、この説が『正しい』んでしょ」って思うでしょうから。

キモノは、土地により、家により、様々な習慣を持ってきました。しかもそれが時代と共に変遷したり、維持されたりしています。売る側のキモノ業界ですら、土地によって、店によって、呼び名も何も異なります。
こういった点は、ある意味不便で、新しい店を開拓した際には、店も客も色々とカンチガイを起こしたりする原因となっています。が、それを「統一」する権利も権威もこの「検定」にはないでしょう。(将来的に、「業界標準」になるかもしれませんが)

気になった点をいくつか挙げます。
◆ キモノ姿でテーブルに腕をつく
 冒頭は「気軽にキモノを楽しもう」とグラビアから始まります。「表参道を散策し、店を物色し、カフェでお茶する」いいですねぇ。問題は、その際の立ち居。説明はもっと先で良いのですが、そういった点に気を配った立ち居をして欲しいのです。
カフェの紅茶のポットとカップが乗った小さい丸テーブルに肘から下をつけて座っていました。
キモノは正絹でしょう。いや、正絹でなくても、こういうことはクセですから、木綿だろうが化繊だろうが、そういうクセをつけてはいけません。一張羅のキモノのときにもやらかして、とんでもないメに遭います。テーブルなんて、しかもテーブル・クロスも敷いてないとこなんて、どう汚れているか判ったものじゃありません。しかも乗っているのは紅茶のポット。ふとしたはずみに腕に力をかけてテーブルが傾いたら? 紅茶って、染物に使える位染色力が強いんですよ。あーコワ!

◆袋名古屋帯
名古屋帯の仕立て方や呼び方は様々です。同じ呼び方が全く別の仕立て方を指していることも少なくありません。
その一番危ない呼び名が「袋名古屋」。ここでは、8寸名古屋の地をお太鼓の部分を引き返して縫い代を取らずにかがることを指しています。
が、我が家では「名古屋帯を裏をつけて『袋帯』のように仕立てたもの」を指しました。これは「開き仕立て」とも呼ばれています」別の場所では「長さが名古屋帯の長さと同じ(つまり短い)袋帯」を指すこともあります。これは「京袋帯」とも呼ばれます。
ある呉服屋サイトで質問した際には「このように色々な呼び方がされているので、形状を明確にした言い方で話をするのが、カンチガイを起こさない方法」と言っていました。
縫い代を持つのが九寸名古屋、かがるので縫い代を持たないのが八寸名古屋。これが一番確実な呼び名でしょう。
◆羽織やコートを着る季節
この本では「紅葉が色づき始めた頃に羽織り、桜が満開になれば帯付き(帯の上に何も羽織らない姿)になる」と書いています。
あるお家、もしくは地方ではこうなのでしょう。でも世間一般的に、初夏から夏場に羽織を羽織るのは決め事に合わないことなのか?
女性の場合、コートも羽織も「防寒」の役目と共に「塵除け」の役目を持っています。ですから、四季を通じてそれなりの生地のものを羽織るのは決しておかしなことではありません。
◆ゆかた感覚できもののおしゃれを
「ゆかた感覚」という語彙が理解できないからかもしれない。
キモノを着慣れない人から見ると「キモノ」と「ゆかた」は別物位に違っているってことかもしれない。プレタ(仕立上がりのキモノ)の紹介の記事なのだけど。
「ゆかた」=「仕立上がり、すぐ着られる」って意味なのか
「ゆかた」=「普段的おしゃれ感覚」って意味なのか。
◆喪服は弔時の第一礼装
最近、チェーン店系を中心に女性の黒紋付を「喪服」と称している。確かに今じゃ喪服としてしか着用しないけど、このサブ題のような言い方にすると、何か変。「喪服」ってのは、やはり用途の呼び名だと思う。「色喪服」も用途名。「喪服に使える色無地」であって、専用じゃない。色や地紋によっては慶弔兼用できるんだし。「黒紋付は弔辞の第一礼装」って記述の方が好き。
◆十三参り -全国で行われていて、最近関東でも行われるようになった行事
おい、関東って「全国」に含まないわけ?
多分、校正したときに中途半端に添削しちゃったんだと思う。
京都の嵐山の法輪寺の行事に始まるらしい。意外なことに京都に永年住んでいる人でも東山界隈の人間だとそんな習慣知らなかったという位地域行事だったらしい。(京都にはすぐ近所の人間を対象とした成長の祝いはあちこちの寺社にある)
最近では関東をはじめ日本全国の虚空蔵菩薩のお寺、更にそうでない寺社に詣でる位に広まっては来ている。

なーんて、色々ひっかかっちゃった本です。
「キモノについて初心者なんですけど、いい本ありますか?」という人に「これがいいよ」と私が薦めるには憚られる本です。


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