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2006/07/14(金)
玉川屋呉服店
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2日間、ネットと離れておりました。 というのは2日間、仕事関係の講習会で職場とは別のとこに缶詰になっており、その場所が丁度、渋谷だったので、実家からの出勤にしたからという次第。 で、2日目の終了後、渋谷に来てるなら、玉川屋さんに行くっきゃありません。 渋谷駅からマークシティを抜けて道玄坂の中ほどに出ると、そこから少し坂を上った右手にあるのが、玉川屋呉服店。 いつ行っても、お客様がいるというのは、なかなか繁盛している証拠です。 お茶や踊りなど、お稽古事で着物を使う方が多く利用されているとかで、そういう方は頻繁に着物を誂えるからかもしれません。 しかし、そういう人が愛用理由といえば、
「自力買出し」
な点にあるでしょう。つい先日も、「来年の夏の着物の買い付けに新潟に行ってた」とか。夏物がソロソロ売りとしては終盤なこの時期、もう仕込みは来年なんですね。 京都にも足を運び、懇意の店に「こんな柄で」と気に入った描きをしてもらっているとか。この店独自の柄もなかなか。 織り物も現地で「こんなのを織って」と行って織ってもらっている反物はびっくりする程手頃な値段。
今日の店の中は夏物一色。 入ったすぐには浴衣の反物。ここは今はやりのプリント物よりも、中型藍染やコーマの注染めといった伝統的な手法のが主です。注染めは藍染めだけでなく、色物もあるのですが、プリントの色よりもなにやらほっとする感じなのは、何ででしょうね。
右手の展示コーナーには紋紗や紗紬。結構色々な種類があり、透け具合も随分と差があります。「透けの少ない紋紗や紗紬なら、単の季節からでも」という文章を着物の本に見ることがありますが、いやいや、本当に同じ手法とは思えないほど透け具合が異なります。 浴衣コーナーの後ろっ側にあるのが半幅帯のコーナー。 ありきたりじゃない半幅帯はどれもいい雰囲気です。 おや、横にあるのは、紗献上? 名古屋帯にする8寸幅のはよく見ますがこれは半幅。紗献上はいいですね。いかにも涼しげ。
なーんて、やりながら、奥の椅子のある席まで行くと、リクエストに応えて、棚から色々見せてくれます。
「こんなのどうですか?」 と見せてくれたのは、夏大島と夏塩沢。 あれ、こんな雰囲気だっけ。紗のようにも見えるけど、シャキっとしたハリのある生地はやっぱり大島や塩沢のもの。 わかりました。柄です。どちらも精緻な絣が最近の特徴。 これらの反物にはソレがありません。 夏大島は白糸と色糸を経緯共に縞に織り上げて無地に等しい格子柄。 夏塩沢は緯糸を白と黒とにした無地に見える縞柄。 絣を作るのはどこでも高度な技術です。その分お値段も張ります。それがない分、ものすごーくお買い得な値段に。 以前、ここで白鷹お召しを買ったときは、絣柄と縞柄では見事に値段が半分でした。絣ってそれくらい高いんです。
「夏は、冬と違って、こういったお召しや大島が、無地着物とほぼ同格に使えるんですよ」と女主人。 ほー、なるほどね。別に紗や絽である必要はないようです。 「法事などにも、これらなら十分に使えますよ」と。 殿の実家の方では法事が夏にあります。次の法事があるときには、こんな着物で行きたいもの。
「こんなのはどうです?」 次に出てきたのは白生地の紋紗。これから好きな色に染めてくれるという。流水なんかはそのまま着たくなるような雰囲気。 夏着物でも白じゃダメなんでしょうか。 萩はしっぶい二藍のすっごく薄い色か、挽き茶のすんごい薄いのをかけたい雰囲気。
「こんなのもありますよ」 今度は3本絽に両面染めの江戸小紋。表は漂(はなだ)色の極鮫で、裏は花か何かの錐彫りを影萌黄の薄い色で。 ひらっと裏返ったときに別の色が見えるなんてステキ。
「そうそう」と 後ろにつんであった、長方形に包んだ布は、麻地の襦袢生地でした。麻の紋紗といったイメージでしょうか。平織りの間に楓や桔梗、撫子の紋様を織り柄に。 楊柳のようにもこもこしていないので、絽や紗の下でも使えるとのこと。しかもお値段1万と5千円に税つけて。おー!
最後に見せてくれたのは、七宝つなぎの紗。萌黄の無地ですが、 実は、セッセと色挿ししてあるので、織りの濃淡以上の濃淡を実現。そうとは見せないあたり、色挿しも上物です。 これは、コートにしても綺麗です。そうすれば、3月から10月一杯位までの長い期間ずーっと着られます。 いや、こういった有職紋は、装束にすることも可能です。 夏生地だからか、ハリのある生地は、装束に使う生絹(すずし)と重ねても遜色ありません。 何を想定してるのか「3丈3寸」という長尺なのもうってつけ。 「もう数日で売り出しに入るので、コノ値段でいいですよ」と差し出す電卓に示された金額は「うっそぉ!」というお安い金額。 ああ、欲しいよぉ。でも即断する程はお安くありません。 一旦、帰宅して頭冷やしてから考えましょう。
というわけで、今日のお買い物は 水浅葱の紗献上の半幅帯 絽地に秋草の帯揚げ 桔梗の織り柄の麻紋紗の襦袢生地
これで、夏のボーナスの無駄遣いは終わりかなぁ。
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