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2006/06/02(金)
ぴったりな裄の話
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他のサイトで、裄の話題でいくつか書いてて、ヒョイと気づいた。 私の手持ちの一番長い裄の着物は、2尺と5分(約78cm) これは私の洋服のワイシャツの裄と同じ。 呉服屋に測って貰って算出したサイズ。(腕45度ってヤツ) たまたまワイド幅(1尺1寸42cm幅)だからできたこと。
普段のお誂えは1尺8寸5分(約70cm) これは私の着物をずっと仕立てていた祖母が算出したサイズ。 尺幅(1尺幅 38cm)の反物から常識的な縫い代を引いた最大サイズでもある。(無理すれば1尺9寸5分まで行くらしい)
お下がりや既成化繊は1尺7寸5分(約66cm)か1尺7寸(約64cm) 世間一般なサイズか?
洋服で考えれば、裄が10cmも違うものを同じように着られるなんて、あり得ないに違いない。 着物なら可能だ、と結論つけてしまうには早すぎる。 他の人は、どうやらそうではないようだから。
マイサイズな筈の1尺8寸5分の着物で、腕を横水平に伸ばしてみた。 あら、手首の骨がそっくり見える。実はこの寸法は「ぴったり」じゃないらしい。若干短めである。「私の身長にあわせた」じゃなくて「尺幅の反物で可能な裄」だったようだ。
では、今後は2尺と5分の裄でお誂えするか? そんなの真っ平御免である。 尺幅の反物が使えなくなると選択肢は途端に狭まる。バーゲン品もまずない。箪笥4棹分の着物が全て仕立て直しても着用不能なのも御免だ。 そも、1尺7寸の裄のを着てたって、「裄が短い」なんて言われたことはない。仕立てあがりの既製品をサラっと羽織って裄合わせしても「あら、ぴったりですね」とビックリさせたことしかない。 着付け師に着付けて貰ったときすら、何かを言われたりしていない。 自分自身でも、2尺の袖に比べて、とりたてて袖が短いと思わない。
当然、肘を曲げて袖を引き、手首と袖口が合うようにしているから、こう見えているわけなのだけど、大方の人はこれを「手を縮ぢこめているので疲れる、めんどくさい」という。だから裄の長いのが必要なのだと。着慣れていない上に着付けしてもらう若い人どころか、結構な年配で自分で着る人でもそういう。 最近でこそ、毎日のように着物を着ているが、独身時代には、正月の7日間の袷と、夏の縁日の浴衣しか着ていなかった。「七五三と成人式にしか着てない」という人に比べれば着ているが、着慣れてると言える頻度ではない筈。 それなのに、何故、気にならないのか?
一ついえるのは、「格好をつけないで済むときには、袖から腕がにょっきり出てても気にならない」ことかもしれない。 どんなに長い裄の着物を着ていても、テーブルの上で醤油を取ろうとすれば、袂を押さえて、手を伸ばす。自然に腕は袖口からにゅーっと出てくる。様々な仕草の中で、そういった事態は起こる。 で、写真を撮るとか、電車でチンと座るとか、はたまた、待ち合わせでどっかの街角で立ってるとかなんてときには袖口を引いておく。 ウェストから胸辺りに手が来るようにすれば、「手を縮める」なんて特殊な格好ではなく、単なる自然な腕の形。風呂敷包みを腕に抱いたら、自然にこの格好になる。椅子に座れば、膝の上に置いた風呂敷包みの上に手を置けば同様に。
腕は着物の袖口から出てきたり、ひっこんだりを繰り返す。 何故か慣れている私は、気にならずにこれを繰り返す。
写真のは、大伯母の江戸小紋の着物に自分の長羽織。 着物は1尺7寸、羽織は1尺7寸5分。
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