優妃 讃良の着物についておもうこと
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2006/06/19(月) 夏に袷を着てもいい?
梅雨である。
雨が降っていなくても、なーんとなく、空は重たく垂れ込めている。
ここ数年は4月の後半にもなれば、単を飛び越して盛夏の薄物を着たくなったものだが、今年は6月も後半だというのに、平気で単が着られる。「これが暦とおり」なのか「例年になく寒い」のかは、異常気象が続きすぎたので、よく判らない。

6月は着物の季では、「1週間毎に着るものが変わる月」なのだと言われている。
6月1日の更衣で袷から単に変わり、その後、1週間毎になんだか変わるらしい。
裏が絽で表が紗の紗袷は6月中旬だったかな。絽は6月後半から。
同じ絽でも縦絽とか7本横絽、9本横絽という透け難い絽は中旬から着られるとか実に細かい。
でも、一体、誰がこんな細かく決めたのだろうか?
「6月(初夏)から単、7,8月(盛夏)は透ける着物」位ならわかる。
洋服だって、衣替え当初は、冬モノのように厚ぼったい衣類はヤメにしても、ブラウスやワイシャツは長袖だったりする。
これが、7月にもなれば文句なく半袖、8月なら袖なしだ。9月はやはり長袖ブラウスだ。
これが「6月後半は半袖」「9月前半は半袖、後半は長袖」というのも、気候の変遷の実態に即した服装による。9月も前半は残暑をひきずり「いつまでも夏かよ」って気分なのに、15日を数日過ぎると、数日前のことがウソのように涼しくなり、肌寒さを感じ、10月になると、信じられないことにウールの冬服で暑っくるしく感じなくなる。

だから、6月と9月は「切り替わり」の時期なことは確かなのだけど、「何日から何を着なさい」という事細かな指示は、なにやらうそ臭い指南書を読んでいるような気分。
お茶道のお茶会に行く人は、それを守ることを楽しみにしてるのだからいいとして、街着や普段着に着る着物は「気候優先」でいきたい。

どんな気候にどの程度の着物で暑くないか寒くないかは、着て覚えるしかない。洋服の感覚とはちょっと違っている。
結構肌寒いといっても、着物では袷では暑かったりする。
単純なポリは蒸し暑いが、高機能なシルックやシルジェリー、セオαといった化繊は、かなり涼しいので、6月の着用は要注意。

そして、なにより要注意なのが「襦袢の袷、単、素材」。
着物の着心地は実際は長襦袢や半襦袢が半分以上担っている。
表の素材よりも襦袢の素材は先に薄くなる。
4月には表は袷でも襦袢は単に。6月の単には最初は単、暑くなれば、絽や麻、綿絽に。
汗ばむ時期には、化繊襦袢は最低最悪。表が並な化繊でも襦袢が綿絽、麻(奮発して洗える絹絽)なら、快適。

「でも、単って、所詮は1ヶ月着るか着ないかだから、誂えるのももったいなくて」という人も多い。季に従えば2週間程度。
でも、実際には、襦袢を普通の単や袷にして着れば4月位から着用でき、秋も11月位まで着られてしまう。昨今の温暖化状況では、意外と息の長い着用季刊を持つ。
いっそ、絽とか紗の方が息は短い。スケスケの紗はホントに学生の夏休みと同期する1ヶ月半位の命だ。

とはいえ、袷しか持っていない人にとっては、「いつまで着られる?」は切実な問題。昨今の無遠慮な冠婚葬祭は平気で夏場にご招待状を送ってくる。
大方の本では「差し支えないない」と書かれている。
が、夏服の参列者もいる中で、数名の冬物袷着物の人のためにかほどに涼しくしてくれるかは問題である。経験者によれば「結構暑かった」とか「ガーデン・ウェディングで披露宴も木陰あったので、死ぬかと思った」なんてのもある。

袷しか売れないと思っているのか、呉服屋は年柄年中、袷の着物を売っている。夏を前にして、気に入った着物を見つけてしまった人も不幸。
着たいよね。でも、袷の着物って「ビロードやベロアの服」や「夏場のバーゲンの毛皮」と一緒なのよ。いくらステキでも、その格好で外を歩くのは、現実的には辛いことなのよ。

いいか悪いかって、「何かに書いてあるから」とか「ダレソレに聞いたから」なんてより、実際に着てみて、ご近所でも一周してみると良い。
「暑くてたまらん」「寒くてたまらん」というなら、それはその時期に、その日の気候にあっていないってこと。一番大事なのは、そういうこと。

昔だって、日本は東西南北に広いんだ。更衣規定は江戸もしくは京都を基点とした季節感で定義された。江戸ッ子は庶民でもかなりマメに守ったらしい。江戸っ子らしい意地である。が、東北はどうたったか?九州はどうだったか?
神職の狩衣他の装束の夏と冬の切り替えも厳密なのは東京や京都の話。九州や東北は気候に合わせて臨機応変だそうな。


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