優妃 讃良の着物についておもうこと
ご感想は掲示板 http://bbs1.fc2.com/cgi-bin/e.cgi/12019/まで
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2006年5月
前の月 次の月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新の絵日記ダイジェスト
2017/01/22 着物買うのに、いくら以上だと「高い」?
2016/11/27 着物を頼むなら呉服屋で
2016/11/26 夏は暑くて、冬は寒い
2016/07/10 はいからさんが通る の 時代の袴
2016/07/09 はいからさんが通る

直接移動: 20171 月  201611 7 6 5 3 月  20159 8 7 月  20149 8 7 6 1 月  20139 8 7 6 3 2 1 月  201212 11 5 3 2 月  201112 11 10 9 8 7 5 月  201012 11 10 9 8 6 5 2 1 月  200912 10 5 3 月  20085 4 3 2 1 月  200712 10 9 8 7 6 5 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200312 11 10 9 月 

2006/05/31(水) 着物の仕草
着物を着たときには、「着物の仕草」がある。
いや、着る前からある。
脱ぐときだってある。

着ている間の動きは、無理のない動きにするには、洋服のときとは異なる筋肉の動きになるらしい。
これに慣れていないうちは「着物を着ると疲れる」ということになるようだ。普段の動きは制限される上に、普段使わない部分に動きがかかる。足元だって、靴と草履では力をかける場所も歩き方も違う。
その上に、「着物姿の仕草として美しい様」も追求するとなると、更にギクシャクギクシャク。

着るとき、着せてもらうとき、裄丈の合わない着物を使うと、「あら、短い着物ですね」なんてなるらしい。
私も既成の着物を見立ててると「裄が短いと思いますが」などと、(私にとっては)余計なことを言ってくれる店員がいる。見てるタグには「裄66cm Mサイズ」と書かれている。
単純計算的には、169cmの私は既製品ではLサイズと見られている。
ちょっと羽織ってみたりすると、「あらぁ、ぴったりですね」とな。
もちろん、お仕立てサイズ1尺8寸5分(約70cm)が、何もせずに「ぴったり」に見せられるわけはない。
羽織った後、両袖口を持って左右に偏らないようにひっぱる。そのまんま袖口から手首までだけ出すように肘を引く。胸元かウェストあたりに手を重ねる仕草は、着物姿ではサマになるポーズの一つ。
「手を縮こませている」と勘違いしている人が多いが、そんな窮屈な格好ではない。
ここで足をX脚ぎみに膝を曲げる。歌舞伎で背いのある女形がする仕草らしい。長着の着物は胴からまっすぐか、若干下細めに着付けるから、この足元の仕草は見えてはいない。

草履は、指に挟んだ部分に力を入れると、指の間がすれるし、歩いていても疲れる。一番怖いのは、このはき方は、前ツボに力がかかるので、ある日突然に鼻緒がすっぽ抜けるという危険があること。
鼻緒のすげを調整してもらって、指の上を通る鼻緒の方で足指全体をささえて、それで足と草履をつなげるようにする。
歩き方は、基本的には、踵から落とす歩き方だが、靴のように、爪先を大きく上げない。ほぼ同時に草履裏が全て接地するイメージ。
個人的には、お姫様ドレスのようなロングドレスの歩き方と同じだなと感じている。あれは、ハイヒールなのだけど、爪先と踵のヒールがほぼ同時に接地する歩き方なので、足首から上の動きは同じになる。

長着の場合は、歩き方は内股の方が意外にも歩幅をかせげる。
裾の動きに妨げられ難いから。
歩幅は細かく、コマコマ歩くことで速度を稼ぐ。

袴になると、かなり洋服的。歩幅も洋服並に広くできる。
草履でも靴でも足の動きは洋服と同様正面にまっすぐ足を出す式。
見栄え重視なら、わずかに外股気味のX字に歩く方が綺麗。

慣れてしまえばなんのことはない仕草。
洋服とは全然違う仕草。

ぐさぐさに着ていても、これは見につくようだ。お姫さんも一つ身からずっとなんらかの着物を四季折々に着てたら楽々に。
今風にジャージやTシャツも愛用してるのだけど、それはそれ、これはこれ。

昔、着物が一般的だった頃は、洋服と靴のしぐさになれない人達が「洋服なんて疲れる」とピーピー言っていたらしい。
今は着物になれない人達がピーピー言っている。

最近着付け教室では、ノッポさんの着付けは教えてくれないというか、仕草は「着付けの範囲」じゃないと思ってるのか、「サイズぴったりのものを着ましょう」なんて言ってるようだ。

着物には、着物のバランスもあるので、中途半端にどこか一部分だけ長くするのは変てこ。そして、そういったバランスのことは呉服屋が配慮してくれないのだな。
「袖丈1尺5寸ですか?独身向けにはそういう仕立てもしますが」
知ったかぶりな店員が言う。
裄ばっかり伸ばしたら、袖が四角になっちゃうじゃない。
大体、身長からみても、袖丈は並寸と比較すれば長くないと、同じような見た目になり得ない。
私の袖丈は、振袖の仕立ても請け負ったことのある祖母が、1つ身からずっと私の着物を仕立て、仕立て直ししてきた中で決めた長さ。
すっくと立つと。袖の長さは無理のないバランスの良い長さになる。

2006/05/29(月) 裄だとか身丈だとか
昔の人は平均的には小柄だった。
そのサイズにあわせて着物の反物はできている。
今は尺幅という鯨尺1尺(約38cm)のものが一般的。
その昔はそれよりも狭い、曲尺1尺の33cmとかもあったという。
今は尺ニ(鯨尺で1尺2寸=45cm)という幅広な生地を使う装束も、33cmの反物で作ってた時代もあったんだという。身幅がニ幅、袖が一幅半といっても、今ほどは大きくはなかったのかもしれない。

さて、昨今、日本人の身長はずんずん伸びている。
男性どころか、女性だって、170cmこしちゃうのがいくらでもいる。
背が高いということは、肩幅や腕の長さもそれ相応に長いということ。
また、テニスなど運動とかしている人は身長の割に肩も張るし、手足が長くなるらしい。
はたまた、バストサイズが大きいと、体の奥行きが大きくなるので、これは身丈に影響してくる。
そいういった意味で身長がさほどでなくても、裄の長い着物を必要とする人が登場している。

そんなこんなで、今までの反物では仕立てきれないようなサイズのものが要求されてきている。

問題点は他にもある。
裄の計り方。私は「二尺物差で背骨から手首の骨の手前まで」と祖母から習ったが、本などを見ると「手を45度に下げて」という。明らかに長くなる。この寸法は洋服の寸法と大差がない寸法になる。

更に、最近の人は着物の仕草に慣れていない人が多く、腕を下にだらんと下げていたりする。そもそも、サイズぴったりの着物でも、こうやれば腕はにょっきりと出てくる。着物というものは、「どういう格好でも腕がでない丈」のものではない。

身丈も、私は低めの腰紐で慣れてしまったのだけど、本だと「ウェスト
で腰紐を結び、余るようなら、更に上に」と。なんで、誂えサイズの着物が「余る」なの?
ウェストに腰紐で慣れてしまった人は、これはこれで、一番安定しているとなるので、もうどうしようもない。長い着物しか着られなくなる。
この位置だと、お端折りは20cmにはなるから、着丈+20cmは必要。
だいたいこれが「身丈=身長」といわれる由縁。

そのくせ、着物の用尺や幅は変わらない。一部にワイド幅といって、40cm、42cm、45cmの反物も存在するが、普通にみかける程はない。

とすると、何が起こるかというと、「ノッポ=着物の客じゃない」なんてこと。
特にリサイクル屋など、昔の人の着ていたものしかないのだから、「着られるモノないわよ」と門前払いを食わされたこともなんどもある。
ちょっと前の仕立てあがりの化繊をメインとする店でも、そうだった。
何せ、身長168cm、洋服のときにはハイヒールを好むので、更に高く見えている筈。洋服の袖は78cmだから、そんなとこも、サッサとチェックしているに違いない。
この身長で、着物の身丈は160cm、裄は66cmあれば十分なんて人は稀らしい。裄丈を言うと、必ず「えー!そんなサイズで着られるんですか?私だった、もっと大きい寸法ですよ」と私よりはかなり小柄な店員がビックリしたように言うのにも慣れっこになってきた。
私の場合、胸がそうないので、体の厚みに必要な分はいらない。腰紐は低いのでお端折り分も少ない。礼装でなければ、ちょっと短めに着るので、その分も短い。とかなんとかすると、身長より8cmほど短い丈で済む。裄は腕は長い方だが肩はそんなに筋骨隆々ではない。ガリガリ。
(訪問着や色無地など礼装はもう十分にあるので、そっちは不要。)
着物をきたら、肘を引いて、袖口=手首に調整しちゃうのも慣れっこ。
ノッポでなくても、肘を引くのは着物の所作の基本。
逆に裄のたっぷりな袖はすりそうで怖い。
黙って立ってるだけで済む黒紋付は2尺と5分。腕を下げてても全く腕は見えない。たまたま男物のワイド幅の生地から作ったので「裄たっぷりな袖って、どんなもんだろうか」と試しに。長すぎたところで、それでなにかをする着物ではない。黒紋付は礼装中の礼装。

でも、私はきっと稀なサイズ。多くのノッポさんは着物が着たくても、「サイズがなーい!反物から仕立てたって、サイズが足らなーい!」って嘆いているに違いない。

もし、ちょっと幅広の丈長の生地が手に入るなら、ノッポさんにはアドバイス。袖丈。袖幅を広く取る場合は、袖丈も普通の1尺3寸より長めのサイズにしましょう。でないと、横ばっかりひろがって、「着物の袖」らしくなくなってしまいます。身長があるのだから、袖は長い方がバランス良いですし。1尺5寸とかにします。
袖丈長くすると、意外にも尺を取ります。伸ばす丈の4倍いりますからね。普通の小紋用の反物だと12mとかで、必ず呉服屋さんから電話が入ってきます。「袖取ると、身丈取れないんですけど」って。
いつもの回答「身丈あるっきりで仕立ててください」。
私は身丈が短い方なので、こう答えることが可能なんですが、ホントのノッポさんは、身丈も譲れないのよね。だから「長い反物のときにね」って話。

夏の着物は普段着ならまして、裄が短い方が好き。
だって、暑いから、袖を肘まで落としてなんて、みっともないことも人から見えないときにはやってたりする。
襟もゆるーく開けるし、床上がりも短くするから、身丈も短くなる。

袴の下ならなおのこと。膝より上に端折る。寒いときは膝下、暑いときは膝上。袴は便利だ。寒暖調整が簡単にできる。
膝から下は素足と絽の袴だけ。しかも密着せず離れている。
すっずし〜
たっぷりの身丈はたっぷりのお端折り。暑いときには、膝丈対丈で切ってしまいたくなる。

2006/05/27(土) 彩玉オーディオクラブ発表会
またまた来ました、彩玉オーディオクラブの発表会。
前回は新年会を兼ねてなので、ホテルを使いましたが、今回は例会なので、久喜の市民ホールを借りての会合です。
ここで行う場合は、真空管やオーディオの業者が来たり、会員が手持ちの余り部品を頒布したりするので、それを狙ってくる人もいるとか。
私は会員ではないのですが、殿の依頼により、今回も受け付けを担当しました。

まだ5月ですが、いい陽気です。暑くなるかもしれません。
いやいや、雨という予報も出ています。油断なりません。
というわけで、紺地紗紬の透け難い生地に総柄小紋をプリントした化繊に松葉の化繊袴といういでたちにしました。
草履は先日調達したおニューのエナメル草履。
光線によって緑にも臙脂に見える玉虫な色の。

参加者は相変わらずに年配が多いので、着物姿には好意的。
常連の会員さんからは「ホントに着物好きなんだね」と。

終了後の懇親会は、前回久喜でやったときと同じ「レストラン ヴィラージュ」。個人のお店ですが、雰囲気も良いし、お料理も美味しい。
ワインは持ち込み。会員にワインの専門家がいるので、毎回彼の調達です。予算の関係で高いのが買えないので苦労しどころとか。
今回のは、白はフランス・ワイン、赤はスペイン・ワインでした。
値段の分若いワインなので、十分なコクはありませんが、日本の料理は西洋料理でもアッサリ目なので、これ位が丁度良い具合です。

今回の生演奏は、新年会にも呼んだジャズバンド。ノリの良いリズムがいい雰囲気。思わず足でステップ踏んでしまう。

「帰りは電車だから、終電までに帰るよ」と殿。
おっと、秩父線の終電は早いのです。
ジャズ演奏の後半が始まって、まだ皆は騒いでいるのですが、一足お先においとまです。

2006/05/26(金) 授業参観
今日はお姫さんの学校の授業参観の日。
午後からだから、ゆっくりなんて思っていたら、WEBで乗り換え検索したら、11時25分に乗らないとダメだと言うじゃありませんか。
着物を着て駅につくまで、もういくらも時間がありません。

って、駅についたら、電車は出ていた。
まぁ、少し位遅刻したって大丈夫でしょう。
来た電車に乗ります。

本日は、天気も良いので、無地紋紗に化繊の袴。化繊絽の襦袢に襟だけは塩瀬でまだ夏物前のフリ。
外を歩くと、なんか涼しい。思ったよりは暑くないようです。

といっても、学校まで着くと扇子が欲しい状態。
家より学校の方が都会寄りなので、気温が違うのかも。
着物ですから、もちろん、扇子必携。今年下ろしたての9寸男扇。

途中で「昨年のクラスで一緒だったxxです」とお母さんに挨拶される。着物姿は唯一なので、すぐにわかるようです。
会社時代の同期で、同い年の子供を持つ友人のお友達も声かけてきました。「今年は一緒のクラスなのね」と。こっちは息子さん。

授業の内容は、「20年後の私」という作文。
この学校では、中二で「20年後の履歴書」を書かせます。
履歴書なので「どこそこの大学を出て、そこそこに就職して、転職して」と書いていくわけです。将来の実現手段としての大学受験への明確化ということ。
まだ、ハッキリ進路を決めていないで、回りにつられて医者だの弁護士だのというのを書くのやら、妙に地道な地銀勤務、趣味優先な雑誌編集やライター志望やら。親の跡継ぐのは確実だけど面白みもない。
で、家族のことも書くんです「いつ結婚して、20年後だと子供が何歳で何人で」なんてね。
男子は大体25歳位で結婚、出産で、10歳前後の子供が2名ってのが大方のパターン。子煩悩に週末は子供と遊ぶ読み上げるのやら、妻にまかせっきりと書くのやら。女子のだと、どう書いてるかなと思ったら、その辺は想像希薄なのか、かるーく「2児の母」と書いてる子あり。
「専業主婦」なんてのはおらず、女子でも勤務継続中。大変なんだよー。

「これ書く前から、将来を考えてた人手を上げて」
何故か、うちのお姫さんが一人手をあげた。
だって、中学受験する際に、大言壮語ながら言ってましたから。
学校説明会でも特色として説明してたし、昨年の文化祭でも昨年の中二の発表として掲載されていて、微笑ましくみてきました。
だから、誰でも考えてると思ったんですけどねぇ。

「履歴書だから、住所も書くように、空けたままの人、提出までには書くように」と担任教師。
お姫さんも空欄でしたが、我が家では早速に「どこにしようか」と。
「去年、夏にいたアパートがいいな」とお姫さん
「大學には近いけど、34歳にもなって、あそこ?」(狭いんだ)
「もう少し北の方の住宅地にしようか。」と私。
「いや、中京よりのマンションもいいぞ」と殿。

本筋とはどうでも良い(でも書かないといけないとこ)に頭を悩ませて、その日は暮れていくのでした。

2006/05/22(月) 洋装はもう半袖
ぽーんと良い天気。
時期はあと数日で6月。
洋服は6月で「衣替え」。
今日辺りはもう随分と暑くて、ウールのジャンパースカートに白ブラウス、ウールのセーラーカラーのジャケットというこっくり暖かな格好で通学するお姫さんは、そろそろ愚痴垂れ気味。
「ジャケット脱いで通学していい学校っていいなぁ」
  (手に持ってるならマジメな方。学校がOKなら別にいいわけで)
「合いの制服ある学校っていいなぁ」(大方は夏服の長袖バージョン)
とグチグチ。
学校は既にクーラーガンガンにかけてるとか。非エコな学校だ。
夏服OKか、冬服でもジャケットは着なくて良いと言えば、まだクーラーは不要か、軽くて済む時節だとうのに。

私の通うオフィスは昨夏より「クールビズ実施」とかで、夏はネクタイしなくて良い代わりにクーラーの設定温度は背広必須のオフィスに比べて2度高め。
今年は何日からクールビスになるかと上司に聞いたら「暑くなったら、好きなときでいいよ」だと。
男性陣はここ数日、既に接客や訪問時を除くとノーネクタイが増えつつあり、女性陣はさっさと半袖夏服に鞍替え。

今年は夏日の記録するのがここ数年に比べて遅かったですが、とはいえ、やはり6月の声も近くなってくれば、やはり暑くなる。

今週26日は父兄参観&保護者総会。
その次の週には後援会総会。

この時期は着物の暦でいくと「単」なんですが、なんか単ではもう暑いのではないかという危惧。
とはいえ、昨年の後援会では、訪問着も鮫小紋も江戸小紋も皆、バッチリ単姿。そういう場所に絽にしちゃうと、自分が不愉快だしぃ。
(この会は、他人のマヌケな服装をあざ笑う程品の悪い人がいない。だから、何を着ていったって、指摘オバサンに遭うことはないのだけど)
ツバメの織り柄の紋紗なんか時期的にバッチリで、気候にもバッチリなんだけど、薄朽葉の無地だから地味かなぁ。
すんごい刺繍の絽の半襟入れて、濃きの絽袴にしてみようか。
袴はこの時期もう絽OKだからね。

襦袢は身頃綿楊柳か麻で袖は綿紗の半襦袢。下は綿麻混の楊柳ズボン下にして、涼しさ完全対応。お腹は汗対策におぼろのバスタオル。

2006/05/21(日) 初夏の表参道には
昨日の話:

「雨降るよ」
どんより曇った空を背景に殿は、そう言って出勤していった。
私の今日の予定は、表参道にある医者に定期通院。もう少し寝ていても良さそうだ。
といって出かける頃には、空は青空になりつつあった。雨降ると困るので、携帯雨傘を持参したが、これは日傘か晴雨兼用が良かった。
山手線の原宿駅を下りたときには、既にピーカンの炎天下が待ち構えていた。原宿駅から表参道駅に通じる「表参道」は、街路樹も豊富で影もたっぷりなのだが、明治通りを渡る交差点など交差点毎に木々のない場所を通る。容赦ない紫外線と赤外線の直撃を感じるような日差しを浴びせてくれる。

今日の衣装は、濃い抹茶のお召し縮緬。所々に赤色が緯糸で横走る。
袴は萌黄、帯は紫の竜胆襷の有職紋の浮き織り。足袋は白、草履はパール台に薄水色の鼻緒のエナメル。荷物は鴛鴦色の無地風呂敷。

病院に着くと、いつになく人が多い。空き椅子を探すどころか、立つ場所を探さなくてはいけない程。
しばらく待つうちに、事情が判って来た。この病院は滅多に付き添いがない。熱があるとか立っていられないとか、すぐに症状が悪化するというのとは無縁な病気が専門の病院。それが、夫婦連れ、恋人連れ、子供連れ、果ては子連れ+妹、父母同伴、だの友人同伴という大所帯までいた。
ピンときた。「表参道HILLS」だ。
原宿駅からここまで表参道を登って来る通りも、今までの倍も人通りがあった。この病院、大方の人間は年に一度の健康診断のような来院パターンである。で、病院行くついでに つい数ヶ月前にできたばかりの表参道HILLSを見に行こうとでも言うのではないだろうか。
折悪しく、気候は30度を記録しようかという夏日挑戦日。
待合室の収容人数を大幅に越えているのか、かかっているらしいエアコンはちっとも涼しくない。
それでも、午前の診察の最後の方である私が待っていると、段々に人が減ってきて、やっと涼しくなった。

さて、病院が終われば、私も原宿巡り。
といっても表参道HILLSは無視。私の行くところは別にある。
まずは、ANNIVERSAIREで遅めのランチ兼ティータイム。
ポットサービスの紅茶はアツアツで嬉しい。
アンチョビートーストは、アンチョビーとバジルをバターに交ぜたものをフランスパンに塗ってトーストしたもの。カリカリで美味しい。
ケーキはチョコレートのムース。ドームのような丸い外側に掛けたチョコレートが艶々と。今日の気候に見る間になよなよとしていく。
店の奥には、チャペルがある。塔の鐘が鳴り響くと新郎新婦のお出まし。参列者どころか、カフェのお客や通りの人にまで祝福されて二人はハイヤーの中に消える。天気がよくて良かったこと。先日ここで同じようにお茶した日は雨天で、手早くチャーチ・アテンダントがウェディング・ドレスに専用の雨コートをかけていたのを思い出す。

モリハナエビルを物色することもあるが、今日はパス。
まずは、河合楽器で楽譜を物色。
そこから表参道を原宿に向かって下る。
次はキディランド。その次は井門の鉄道模型。
明治通りとの交差点で表参道を横切り、少し登ると、地下にある「江戸ナントカ」というアンティーク着物屋さん。着物もあるけど、カンザシなんかの古いのも面白い店。
再度、交差点に戻って今度は明治通りを渡る。信用金庫の前は土日だけ古着屋さんが出没。品はいかにも「古着」だが、モスリンだかセルだかの襦袢が500円とか、かかえ帯が500円とか、消耗品とか別用途に使うものとかを物色する店。
なんて、やってたら、ポツ、ポツ、
ぽつぽつぽつぽつ
どーーーーーーーーーーー!
いきなり降ってきました。

まずは、ビルの入り口に避難。荷物をまとめて、傘を出します。
夕立のような降り方だから、おっつけ静かになるでしょう。
雨足が細くなってきたところで、傘をさして出ました。
ら、ビル風でしょうか、雨は少なくでも強い風に傘の中まで雨が吹き込んできます。
ぎゃーーー、次の目当ての竹下通りのアクセサリ屋にかけこみます。
あれ、長襦袢の袖が見えています。袖は合わせてきた筈なのに。
着物の袖をひっぱると、びろーーーん。吹き込んだ雨に濡れた袖口が縮んでしまったのです。でも、ひっぱると、びろーーんと伸びます。
とりあえず、ひっぱってみました。戻ったりはしないようです。
色が濃い色の上に生成りと濃抹茶のブチ状の織り柄だからか、雨シミ自体は気にならないようです。正絹着てきたのは失敗だわ。雨降るってわかってたのにね。一応、「雨降っても大丈夫なように化繊袴」にしてたのだけと、雨の方が上手で、傘の中まで雨を吹き込んできた。
竹下通りは30年来の行き着け。店自体は随分と変遷を繰り返し、消えた店あり増えた店あり。最後に寄るのは、何故かダイソー。なんでこんなとこに100円市の大手が。って、ここは100円でない品物を扱った最初の店の一つ。地下も含めて4階分ある広い店舗は、系列店の中でも筆頭の品揃え。ここでないと入手できないグッズもあるんだなぁ。
例えば、420円の緒踊り用番傘とか、和紙和綴じのノートとか。付け爪のラインナップも多いし。
って、山手線から中央線に乗り換えて東京駅に着く頃には雨も止んで、夕焼け空。

2006/05/20(土) 図書案内:きくちいま流 着物生活48のワザ 楽しく、正しく、美しく!
図書案内は「きくちいま流 着物生活48のワザ 楽しく、正しく、美しく! 」
著者:きくちいま
単行本: 144ページ
出版社: 実業之日本社 (2006/5/16)
価格: 1400円(税別)

昨日買ってきて、今日にはもうupしてるなんて、読みの早い。
って、きくちいまさんのサイト「いまっぺーじ」の掲示板でやりとりされた、色々な話題のうち48のネタにまとめて本にしたものです。

かつて、私がカキコしたのも載っていたりして、キャー恥ずかしい!
名前が載っているんじゃなくて、カキコした人の所在県が書いてあるだけなんだけど、当時のこととかも大体覚えてるから、「そうそう、xxさんがこう言ったんだっけ」って。

一つのネタに対しても全てのコメントを載せているわけではないのですが、何かの結論に偏るのではなく、「ああ言う人もいる、こう言う人もいる」と様々に載せているのが面白いです。
洗濯、臭い消しのノウハウも色々。
明らかな誤解はともかく、着物に関しては、各地各家で色々な習慣があるので、色々な説が並んで当然なんです。それを、まさに書いてくれたとこが、「今の着物着る人の現状ってこうなのよ」という感じ。

「業界への提言」は呉服屋さん、プレタ着物製作屋さんは、是非読んで欲しいです。折角の着物好きな気持ちを萎えさせてしまうような現在の実情をちょっと考慮して欲しいです。
「ノッポ用の着物がなーい」って出てきそうなのに、意外にも「Sサイズのプレタがないんです」とかね。

タイトルの「楽しく、正しく、美しく」は宝塚のモットー「清く 正しく、美しく」からですね。『楽しく』をもってきちゃったのがいまっぺさんならでは。やっぱり、楽しくなくちゃね。

2006/05/19(金) 雨に着物で
5月は「五月晴れ」な筈なのに、もう梅雨にでも入ったように連日。日のどこかで雨が降っています。

会社の最寄駅で降りたところ、着物姿のご婦人が二人、改札口に程近いところに佇んでおりました。待ち合わせでしょうか。
どちらも裾までのコートをお召しです。感じからすると単ですが、透けない生地です。
対丈のコートの裾丈は足袋の履き口がぎりぎり見えない位の短め。
着物自身はそれより短く着付けているのか、端折っているのか、全く見えません。

この駅は着物姿のご婦人を見かけることが多い駅なのですが、雨でもその数は不思議と減りません。もちろん、きちんとコートをお召しで、ときには傘と同生地なんておシャレな方を見ることもあります。

この駅からどちらに参られるのでしょうか。いつも不思議に思っています。

2006/05/18(木) 洗濯代が5万円!
週末、呉服屋さんに、洗いに出していた着物を引き取りにいきました。
留守番電話に入っていた洗濯代金は約5万円!これは、銀行に行ってからにしなくては。

こんなに金額がかさんだのは、今回は、洗いに出した着物の数が多かったからなんですけどね。しかも染み抜きアリアリで。
江戸小紋:袖におでんの汁をこぼして
付け下げ:袖にカップラーメンの汁をこぼして
夏絽訪問着:夏の汗シミ
夏絽女袴:裾に道行く泥はね
黒紋付:擦れたような(シミ?)、襟は汗シミで白っぽく
白襦袢:襟と袖口、裾が汗垢シミ

6点で5万円ですから、安いと言えば安いんですが、まとめて出してしまったので、ちょっとショックな額に。
夏のものは、サッサと秋に出してしまえば良かったんですが、ちょっとゴタゴタあって出し損ねて。

シミは綺麗に取れていました。この店が頼む悉皆屋さんの腕は最上です。江戸小紋の襟シミだけは、長年のものなので「これ以上やると、染めが落ちる」とかで、ちょっと白っぽく残っています。かけ襟のとこなので、そこだけ縫い直すとか考えてもいいですし。

汚れないように、そーっと車の後部座席に乗せて、家に帰ったら、即行で箪笥に納めました。

2006/05/17(水) 白生地からのおあつらえ(5)
今までのお話は、「無地染め」「型染め」でした。
おあつらえの上級編は「描き絵」。つまり、訪問着とか付け下げで「糊型置き」などもなく、描いてもらうパターン。
これも、既にデザインが出来ているのなら、型染めの類と同じようにお願いできます。
江戸時代には割と一般的だったのか「見本図集」などが出ています。
当時は出来合いの友禅はなくて、大方は依頼されてから作成されていたのかもしれません。
「柄は好きだけど、地色がちょっとね」なんてのも、依頼品なら自由自在に指定可能です。
最近は、こういった見本をコンピュータを使ってうまく見せてくれるとこもあって「地色をこの色にすると、こんな感じです」と判りやすくしてくれています。
裄や身丈が長くて、普通のサイズのままだと、柄行がうまくない場合も、配慮してくれます。
私も裄が長いので、訪問着や付け下げの肩の柄合わせ、袖に出る柄の按配に制限があったんですが、裄丈の長い仮絵羽で描いて貰えば、そんな心配もなくなります。

手描きはましてや、一品一品描くわけですから、まとめて描こうが、依頼されてから描こうが職人の手間に差はありません。
「裄丈違い」だと、ちょっと手間が増えますが、それとて「無理」って話でもなければ、「とんでもない手間」でもないわけです。

5月絵日記の続き


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.