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2006/04/13(木)
着物市
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最近のデパートは帰宅前にOLが寄るのを想定してか、閉店時間が遅くなっています。銀座松屋もご多分に漏れず夜8時までの営業。 銀座線の銀座駅で松屋寄りに乗っていた列車から降りて、一番北の改札から出てまっすぐ地下道を歩いたどんつきを右に折れると松屋銀座の地下1階につながります。勝手知ったる通路を抜けてエレベータ乗り場へ。8階迄直通のエレベータで会場へ。
いつものように、店員は、昔の松屋商標を染め抜いた半纏を着て営業。いつもの8畳程度の売り場から考えると「なんでこんなに店員がいるの?」という位に多くの店員が群れています。 松屋銀座の普段の売り場は「商品お引渡し所」に等しい位置付けで、商品は展示会や今回のようなセール、はたまた外商で扱われるのが大半なんじゃないかと思われます。 一見、誰にでも平等に見える「デパート」の中にあって、呉服売り場だけは、「お得意様」のためだけに存在する、不思議な売り場です。 勿論、誰でも望めばお得意様にはなれます。「知る人ぞ知る」というだけで。
その中でも、一番敷居の低い機会がこの「きもの市」。一般的な「バーゲンセール」と同じで、「気に入ったら買う」で済み「買わないと帰さないゾ」なんて怖い雰囲気は全くありません。 千円の帯揚げ・帯締めから1万円の反物と安価なモノも並ぶので、お財布の敷居も低い。 当然ですが「バーゲン・セール」なので「日頃、定価では買えないものも、値下げして提供」になっています。 「普段着着物」系では注目の「よきもの倶楽部」「蕪松庵」から、リサイクル店の「壱の蔵」まで広く出ています。
「あ、こんにちわ」 あら、いけません、担当に捕まってしまいました。 彼は、私の好きな染め屋さんの末息子さん。こういった機会には必ず販売員として売り場に立ちます。江戸小紋を中心としたこの染め屋のモノは色や柄がありきたりでなく、洋服や洋装のドレスと並んでも引き立つような不思議な印象を持ちます。型彫りの精緻さに至っては、知っている江戸小紋の型ではピカ一の。 最大の欠点は、ここの商品は高いんです。半額や叩き売りになっても手が出ない位高いんです。いつかは欲しいですが、まだその時期ではありません。 他のお客様のお相手をしていて、手が離せないのを良いことに、そそくさと彼から離れます。
草履は四谷三栄、組紐は江戸組紐の・・、足袋は白鹿、といつもの顔ぶれです。草履を持ってくれば鼻緒のすげ直しをして貰えたのに。失敗です。
「貸衣装販売」のコーナーでは、「仕立て上がり新品」も含めた着物を扱っていました。 「お背いがお高いわね。おいくつかしら。170はないわよね」 この問いかけはヤバイしるし。 次に来るのは「裄は身丈の長いのはないから」と続きかねないからです。 「身丈は・・4尺と・・・」 「4尺2寸です」 言葉をさえぎって言い返します。もちろん、にこやかに。 「あら、4尺4寸でも足らないでしょ。お端折りがなくなってしまうわ」 背の低い、そのくせ、ふっくらとした年配の着物を着た女性販売員は、自分でも4尺2寸では短い位だと言い張ります。 「体の厚みがないから、足りるんですよ。」 私の倍の厚みはありそうな、その女性に返します。 「ああ、なるほどね。それでしたら、こちらに合うお着物が沢山ございますよ」 納得したようです。「合うサイズもないのに、ひっくり返さないでね」と暗黙に文句垂れられるのは堪りませんから。
おや、夏の単もあるようです。あれ、この生地には見覚えが。 しゃれた織り紋の紋紗は、2月に某呉服屋の展示会で反物で出ていたもの。その一反を私がコートに仕立てて、ってのは、以前に話したこと。 私が買った分の色柄のがありません。あの反物が単の夏着物に仕立てられて?・・・・まさかね。 当然かもしれないけど、ここで買う方が高い。まっとうに買うと、仕立てあがりのお買い得価格で10万円かぁ。覚えておこう「この着物10万円なの」って。(誰に言うんだ?誰に)
織物と染物は別コーナーです。なんと今回は木綿も専用のコーナーを持っていました。出羽木綿、伊勢木綿、無地か縞か格子の織物ですが、手触りの良いふんわり感、手頃な価格。木綿ファンがいるのって、やっぱりわかります。
端に行くと、草木染めでしょうか、なごむ色合いの薄黄や萌黄、薄茶を縞に織った反物がありました。 あら、結城です。新しくなったというシールを初めて見ました。 結城といえば、紺地に白絣を精緻な亀甲に織り上げたものが代表的ですが、絣を使わない反物もあるのですね。しかも紺地でもない。そうそう、こういうのがなくちゃ。値段はっと、あら24万円。結城にしては手頃です。絣がないし、きもの市だし、ってことでお手頃価格で出してるんでしょうか。「結城の近くの結城風織物、機械織り」が3,4万円で出せるんですから、デパート価格としては、まぁいいんじゃないかな。 って、あら手紬糸のようです。紬手の名前があります。その下は織り子さんの名前。え、シールが「紬」でなく「結」だ・・・・・・・
これ、手紬、手織りの「ホンモノの結城紬」だ!!
絣がないとはいえ、それがにじゅうよんまんえんーーー!!! ウソだろー! 安すぎ! 以前、別の店でみたときには、このレベルで「今回限りの超お買い得で80万円」って言ってたぞー! 結城は一生もんです。いえ、娘が着て、孫が着て、その後は前掛けにしてって、一枚こっきりの着物の着たきり雀と考えれば、一生分の買い替え枚数を考えると24万円だったら、そうそう無茶な値段ではありません。 あー、びっくりした!
なーんて、会場をウロウロして、今回買ったのは、帯揚げ、帯締め、白半襟だけ。「これ買わないと、ここから動けない」って位でないと、買わないんです。と言いながら、買った着物は過去にいくつもあるのですが、今回はそこまでひかれるものに出会いませんでした。
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