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2006/04/20(木)
雨の日の着物
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仕事に出かけようと玄関を出たら、どんよりと曇った空は、薄墨を流したようで、「すぐにも雨」といいたげな、湿気を含んだ重たい大気が満ちています。 天気図の等圧線と見たら、随分と幅が狭くなっているのだろうと想像してしまうような、強風が吹き付けてくるのも低気圧の接近を知らせています。 ああ、いけませんね。地学特に気象・天文が好きだったものですから、こんな気候を見ると、すぐに天気図が頭をよぎってしまって。
仕事ですから、もちろん、着ているものは洋服ですが、こんな日にはどんな着物を着てくのがいいかというお話を。
「雨天」というと、まず直接に考えるのが「雨が着物に降りかかったら」という点でしょう。洋服でもレインコートを着ている人は少なくなりました。雨に濡れても問題のない服を着ている証明みたいなもんです。着物でも化繊の着物なら、同様に全く心配いりません。 でも、行く先のことを考えると、「正絹で行きたいわぁ」なんてこともありましょう。 という場合は、まずは「雨コート」の準備ですね。最近は化繊で袋入りの手軽なタイプもありますから、「今は降っていないけど降りそう」というときには、これをバッグにポイと入れておけば安心。 また、今日のような春から夏にかけての雨コートは正絹でも紗地など薄い生地を使いますので、これを小さく畳んでいってもOKです。 スケスケの雨コートって、「天女の羽衣」みたいでステキなの。 足元は雨草履か、草履に雨カバーをつけて。
で、裾からの跳ね返りを心配する場合は、着物の裾をまくりあげて、帯に挟んだりする人もいます。 雨コートに着物よりも長いという、十分の長さがあればこういった心配もしなくて済むんじゃないかと思うのですが、雨コートは対丈。既製品で問題ない裾丈になっているかは当然不明だし、着る着物の着付け丈によって、不十分じゃなくなってしまうこともある次第。 こういうのに向いているのは「二部式」下部の加減で裾丈を調整。 私の雨コートは、なんと「お端折り式」です。裾丈にでも、道中着風の膝丈にでも、なんでもござれ。
雨の日にはもう一つ気にしないといけないことがあります。 それは「湿気」 直接に雨がかからなくても、大気には水気が満ちています。 縮緬地の着物はこういうのに弱くて、例え家の中で着用してたとしても、縮んでしまうのです。裾をまくって帯に挟むのも要注意。普段皺にしないような妻に皺ができたりします。 最近の縮緬は縮みにくいものもあるのですが、判断がつかない場合は「縮緬は縮む」としてしまいましょう。 また、湿気た日には、気温の割には蒸すので、汗もかきやすいです。 帯下辺りを中心にかなり発汗しますので、夏場と同様に汗対策を。 つまり、帯の下はおぼろタオルを巻いておくとか、肌襦袢やステテコは麻とか綿楊柳とかに換えるなど。 帯下に褄を挟んで、皺で出来てしまうのも、この汗のせいです。
また、うかつにも、その格好で電車で座っちゃったりすると、まくって折り返したところは膝辺り、普段は折り目をつけないようなところが、お尻と足の重みでアイロン状態。 裾まくりして雨コートを着たら、その格好では座ってはなりません。
比較的雨に強い、縮みにくい生地は、綸子、大島、結城など。夏生地の紗紬、紋紗、絽も比較的縮みにくいです。 オデカケ程度でどうしても正絹を着たいならば、この辺かな。 結婚式に招待されてて、当日雨天。それなりの着物を着たいなら、これは現地で着る算段をする方が得策です。草履だって、祝儀用の金襴地の草履は雨の道を歩くのは×です。
私のやるもう一つの手は「化繊袴を穿く」。雨の問題はほとんど下半身です。ここが化繊袴でカバーしてあれば、後は羽織を化繊にすれば着物が正絹でも安心。 旅先のイデタチとしては、基本的にコレにしています。数日間雨の降らない保証はないですし、遠距離を移動すると天気も違ってきます。 一度、家人の意見を入れて「帰路は袴でなく帯付きで」としたら、バッチリ降られてしまい、件の着物は洗いに出しました。 以来、滞在中の中日で天気が保証できる日に帯付きにすることはあっても行き帰りは必ず袴。
母は「雨の日、雨の降りそうな日は着物は着ない」としています。 結構着物好きでいい着物を沢山持っている人程、同様に「雨降るから着物よした」って言います。
下の写真が、私の「おはしょる道中着雨コート」。丸ぐけの帯締めを内側に結んであって、そこに込み入れていくことで、裾上げをします。
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