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2006/04/12(水)
若葉の色は紅に
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桜のも散り始め、葉桜になってきました。 これから八重や山桜など葉と共に咲く桜達の時期です。 この時期、他の木々も若葉の季節となります。 毎朝歩く、弁慶堀の向こうの鬱蒼(うっそう)とした木々も、冬の陰萌黄は後ろに退いて、若萌黄の白い色が前に出てきます。躑躅(つつじ)や柘植(つげ)の葉も白い葉が若枝と共に伸びてきます。 その中で、木々の若葉には、若萌黄色でなく、紅のものがあるのをご存知ですか?楓などはその代表的なものですが、他にも紅梅の若芽もそう、他にもいくつかあります。なんとなく、落葉型広葉樹系中木樹に多いように見えるのは偶然なのかな。家の垣根に使われている木々が、今は真っ赤です。 もう少しすると、その赤は、葉の先に寄せられて、中央は若緑になります。そして、全てが緑になってしまう。 この「葉の褄だけ紅」というのは、着物の八掛や装束の重ねを想像してしまうようなオシャレさがあります。この時期には「表萌黄、裏赤」の着物とか装束とかを着たくなってしまう。 着物なら、八掛に使うと他の季節に使えないので、掛け衿や襦袢に赤をもってきて、萌黄の着物を着るのが便利。装束も、袷でなく、重ね着の袿を上に萌黄、下に赤か紅を重ねるのもアリです。 同じ萌黄の着物や袿でも、3月なら薄紅を重ねて、桃の重ね(ひな祭りの重ね)にしたり、黄を重ねて山吹を模したりできます。4月後半から5月なら薄紫を重ねて、藤や桐の花を模す。萌黄に萌黄という一見つまらない重ね方は「萌黄」そのもの、そして「若柳」も。柳もこの時期薄緑の若葉を伸ばしてきますからね。 下を陰萌黄という深緑にすると重ね色目では「蓬(よもぎ)」になりますが、個人的には、「常磐木(ときわぎ:常緑樹)の若芽」だなぁって思います。5月になると、全面黄緑になる蓬も、この時期は深緑のしなだれた葉と白っぽい若芽。草餅用には、伸びきった黄緑の葉よりも若芽の蓬の時期の方が筋が柔らかく、濃い色素を取り出すことができます。 あ〜ら、閑話休題。 萌黄の着物は、春から初夏にかけての季節に便利な着物です。
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