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2006/04/01(土)
仕立てあがりを試着する
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「お待たせして 申し訳ありませんでした。仕立てあがってきました」 呉服屋さんからのお電話です。 明日、丁度院展を見に行こうという話になったので、「どーしても、1日には仕上げてよね」と言っておいたのですが(いや、予定も1日だと言ってたが)、予定通りに上がって、店に届けられたそうです。
夕刻に取りに行って、早速、検品です。 私の主義では「着物も、その場で試着する」です。 洋服でも、試着して買いますでしょ。まして、お直しなら、「言ったとおりになっているのか」「思った通りになっているのか」を確認するわけですから、必ず試着しますよね。
着物の場合に問題になるのは、洋服と違って、隠れるタイプの試着室がないこと。今回は、仕立てて貰ったのが襦袢、つまりが下着なわけで、白昼堂々と着替えられるものではありません。
んで、一計を案じました。 着物を着ていきます。試着の際に脱ぐのは着物だけで、着ていった襦袢は脱がない。これで、肌襦袢になることを避けられます。 試着の際には、「肩身を脱いで、着替えを掛け、両肩かけたら、前の衣類を滑り落とす」という、「昔風ステキな着物の着替え方」を利用することにしました。 袖丈や裄合わせに使う着物は、買い物用にはちょっともったいないので、これは持参して、着ることに。
というわけで、店に到着。 仕上がった襦袢を見せてもらいました。 裄は大丈夫なようです。袖丈は、「1分控え」にしてみたのですが、ちょっとたるみます。ピシっと合わすには2分控えの方がいいのかも。 ま、そのうち、縮むと思うので、そのときに丁度よくなると期待して。 (優妃は、よほど大事な襦袢でもない限り、家で洗濯します。)
あー!いらないといったのに、衣紋抜き用の白木綿の布が背中に垂れています。風情のある襦袢地の上に白々と無粋な。帰ったら、早速切ってしまいましょう。優妃のお家流では、長襦袢の衣紋抜きの紐は、腰紐の半分の長さの紐を、背中に縫い付けてしまいます。自分のものですから、背の位置なんか決まっているから、できること。
羽二重風の生地の襦袢はとろんと肌に乗ります。「着物の肌触りは、実は長襦袢で決まる」と書かれたエッセイがあったのですが、それは正しいと思います。今まで、化繊でも正絹でも綸子地だったのですが、今回の生地は違う肌触りです。同じ着物を着ていても違う感覚。 しかも、仕立て下ろしの襦袢を着るのも成人式以来ですし。
裾丈も指定通りでバッチリです。 「仕立て屋さんから、電話来なかった?」 「着ましたょお! でも、この指定なのでと縫ってもらいました」と。 今までの呉服屋は、寸法指定の際にあれだけ言ってても、「仕立てがxxと言ってきたんですが・・」って連絡してくるんですが、ここは、もうキッパリ返してたようです。まぁ、過去の体験を採寸中に話しましたから、「聞き返す必要はないんだ」と判ったのかもしれません。
次は夏の紋紗生地で仕立てた単のコート。 これを仕立てた人はもっと大変だったようです。 「これどうやって着るんですか?」と。 寸法は上に同じ話があるとして、形状は道中着。但し、丈が対丈より長い(コートは普通は、膝丈位から対丈)。しかも、付け紐がない! これは、十二単の道中着姿に端折る着方で着るのです。 というわけで、試着を兼ねて、着付け。 十二単に比べると生地が柔らかいので、扱いが楽です。 「写真撮っていいですか。仕立てさんに見せるので。」 というわけで、前後撮られました。 前の不思議な端折りも特徴的ですが、後ろのドレープも見逃せないシルエット。張りのある装束生地ではここはふっくらと膨らむとこですが、柔らかい着物地でやると、ギリシャ彫刻のドレープの様に、たらーんと垂れて、これはこれで風情のあるシルエットを描きます。
丈の指定も丁度よかったようです。端折った分量がいい加減で。 このコートは、この時期から着られます。 そして、5月の汗ばむ日からは、今度は着物としても着ちゃう予定。身丈4尺は、どうとでも着られるのです。
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