優妃 讃良の着物についておもうこと
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2006/03/03(金) お雛様は・・
本日は、新暦でひな祭りです。

お雛様って、元々は装束を着た姫君や公達の雛型だったのでしょうけど、庶民に波及するに従い、生地が有職生地から金襴になったり、手軽く作る手段として、省略されたつくりになってたりと色々です。
江戸初期に一般的だった女性装束にある「掛け帯」をしたタイプとそうでないタイプがあったり、襟の重ね方が一枚一枚重ねるV襟型と五衣の部分は一気に重ねるy襟型があったり。装束の歴史の中ではどちらもありました。

更に謎が謎を呼ぶのは「ひな祭り」の唄。
「お内裏さまとお雛様」って、男雛が「お内裏様」で帝とか親王を指すのかもしれないですが、「お雛様」って?男雛もちょっと前までは黒地金襴が一般的だったので「親王」のイメージだったのでしょうけど、即位とあいまって、帝を示す黄櫨染という黄土色系の地に桐竹鳳凰麒麟紋のを着ていたり、皇太子を表す黄丹というオレンジに近い濃い黄色のを着ていたり。更にこれがごっちゃになって、黒地の束帯なのに、明治以降の天皇の冠である立エイ冠を被っていたりもします。
また、五人囃子の下に位置するのは「随身」ともいうし、「左大臣、右大臣」とも言われたりします。唄では「赤いお顔の右大臣」と。
通常、左右では左の方が偉いのですが、お雛様だと、若い方が白皙の顔に紺か黒の金襴装束、赤ら顔の年配の方が朱系の金襴装束です。
装束では赤と黒なら黒の方が上の位の衣装です。
とすると若い方が左大臣で、年配が右大臣?
いえいえ、この二人は弓を持って矢を背負った武官姿です。こういう格好は近衛少将とか中将です。大臣が大将を兼務する場合は大臣の方の格好をしますから、武官の格好はしないのです。
だから、やっぱりこの二人は「左右大臣」ではなく「随身」なのでしょう。

女雛の冠も謎のモノ。明治以前の即位の際に礼服(らいふく)を着用する際には、男女共に冠を被るのですが、皇后のソレとはかけ離れたもので、どちらかというと、能楽の天女の冠。ちょっと古いお雛様だと、多少の差異はあれ皆この冠を被っています。どこから始まったんでしょうね。

先日、京都に行った際、1ヶ月程前でしたから、ホテルのロビーに飾ってあったり、博物館で展示があったりしました。
雛人形の店でも品多く扱っていました。

京都だと、老舗の雛人形の店には、必ず「有職雛」という、有職故実に基づいた衣装を着たお雛様があります。もちろん「本仕立て」などといって、きちんと装束の形に仕立てて、人形に着せる方式です。
古いお雛様の中には着替えを持っているお雛様もいます。
リカちゃん人形を着替えさせるような簡便な方法での着替えは無理でしょうけど。
そして、なにより、「有職生地でつくられている」こと。
よくあるお雛様は金襴地といって金糸銀糸を織り込んだ華やかな生地を使います。が、有職生地は意外にも金糸銀糸は一切使いません。それなのに、金襴のお雛様と並べても遜色ないどころか、凛と光輝きます。

装束好きとしては、是非とも欲しいのですが、この有職雛、大方の雛人形とは金額的にも一線を画すシロモノなのです。

2006/03/02(木) 図書案内: 枕草子
図書案内です。
私は、普段用もなく本屋をウロツクことがよくありますが、その際に「平安時代モノ」「装束」「陰陽道」「安倍晴明」「京都」「着物」辺りをキーワードにチェックしています。

一般小説系だと夢枕漠氏の「陰陽師」とか、ジュニア小説・コミック系なら「なんて素敵にジャパネスク」「姫神様にお願い」「千代菊が行く」「玄椿」とかですね。

最近買った本でオススメなのが文庫本版コミック「枕草子」(面堂かずき画)です。既に、単行本で買っているのですが、私の枕草子感を一転させてくれちゃった本です。
「枕草子」平安時代、宮中に出仕していた女房 清少納言によるエッセイ集。冒頭の「春は曙・・」に始まり、各種の「ものづくし」は、子供向けのダイジェスト本から、高校の古典の掲載分として有名です。
高校の授業でやった分以外のところを読んでいなかった頃、枕草子といえば、そういう「ものづくし」ばっかりの本だと思っていました。いや、原文を全部あたってもその比率はやっぱり高いのは間違いありません。
が、このコミックでは、そういうのは端においやっちゃって、「仕えていた中宮定子さま、その兄君、お若い帝方のキラキラしいさま」をどーんと真中に据えてあるのです。定子さまが、伊周様がどんなにステキか。もう、伊周様にゾッコンです。
作者を「ナゴンちゃん」と現代人に親しみやすい呼称で呼んでいたりする点もとっつきやすく。
元々、男性の装束や女性の装束で、あれが良いこれが良いという段があるのにかこつけて、装束の説明もしてくれる。

これ読んで、原本を読んでみると、頭を「ナゴンちゃん」がよぎって、かるーい調子に訳してくれます。
おもわず「これじゃ、現代のOL日記じゃん」と苦笑する程。
(いやいや、「宴会で酔っ払いの男性上司に絡まれるのはイヤ」だの、「用があるのに長居する訪問者」だの、会社員には実感のあること)

我が家のお姫さんの平安文学へのエントリもこのコミックからでした。大のお気に入りで熟読し、その後字の本に移行、活字原文本の方でもやっぱり、笑けています。

「枕草子? ものづくしで有名な本だよね」と思っている人、このコミックを読んで見てください。認識が一転すること間違いなしです。

「枕草子 NHKマンガで読む古典」680 文庫
ホーム社 ; ISBN: 4834273520


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