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2006/10/25(水)
大人の塗り絵
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最近、「大人の塗り絵」が流行のようです。 「きいちのぬりえ」のような「子供の頃に塗ったわぁ」というリバイバル的なものから、「古城の風景」「植物画」といった凝ったテクを駆使するとより美しい仕上がりになるものまであります。 洋の東西の有名な洋画、和画を塗るものもあります。 洋モノとしては「アリス」の初版時からのエッチング画のもあります。 着物好きさんには「上村松園」のなんかオススメです。 絵手紙系になるんでしょうか、「京都の風景」なんてのも。 はたまた、「ベルサイユのばら」なんかもあったりして。 昔は、一生懸命、トレース用紙に写して、更にケント紙に転写して色塗りしたもんですが。 発行元も様々です。
そんな中に「百人一首」や「源氏物語」がありました。「美術出版」ってどこかな、って思うけど、これはなかなかなデキです。 色塗りの見本もデキが良いし。自分が塗る方には、本来ある金粉散らし付きなので、塗りあがった自作の見栄えもなかなか良いものです。
先日、国立博物館で見た「小野小町」図も、百人一首の図に掲載されていました。ここでは、江戸期の復刻版に倣っての色付けになっています。自分で塗るときには、何色にしましょうね。 どちらも1と2が出ていることになっているのですが、「百人一首」の2が見つからなくて探し回っているのですが、「きいち」や「花」の類に比べると人気が低いと見られているようで、「大人のぬりえ」を扱うコーナーでも、あるとは限りません。まぁ、これがなくったって、棚に並ぶ範囲で60cm以上占拠する位の種類がありますから。
という中で、昨日、新しい「源氏物語絵巻」の「大人のぬりえ」を見つけました。徳川美術館と五島美術館共同で復刻作業を続けていたアノ絵巻物です。でも、表紙の絵からして、妙に安っぽい感じです。 「塗り絵」は、元の絵をトレースして線画を作ります。それに色を挿すわけですが、その彩色がコンピュータでやったのか、妙にベタ塗りで、しかも色が無意味にハデハデしい。「安物の絵草子」風。 「まぁ、色は自分がまっとうな色に塗ればいいから」 と思って、買おうかなぁと思ったんですが、線画の方からして、何やら安っぽい印象です。 何がこんなに安っぽく見せてるのかとしばらく見つけてたら、みっけ! 装束の柄が原画通りでなく、同じ柄のパターンを漫画のトーンのように貼ってあるんです。 柄って、シワによってゆがむし、体の線に沿って流れるので、こんな通り一辺倒な見え方はしません。もちろん、残るものでは最大のデキといわれるこの絵巻物の原画は、こんないいかげんに柄つけしていません。布の流れに沿ってたわむ柄がより立体感を与え、更に下の絹の透けた部分までも精緻に描き分けています。 もー、装束好きをバカにしないで欲しいもんだ!
上の美術出版の方は、柄つけなしなんですョ。しゃかりきに柄挿ししなくちゃいけない。でも、その方がずっと良いと思います。 あんな変なトーン貼られていたんじゃフォローもできやしない。 元画が源氏物語絵巻なので、是非欲しいネタなんですが、あれでは・・・
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