優妃 讃良の着物についておもうこと
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2005/05/15(日) 太物屋って知ってるかい
太物屋、「ふとものや」と読みます。
着物関連の衣類を扱う店にはいくつかの分類がありました。
正絹の訪問着や留袖、小紋などを扱う狭義の「呉服屋」さん。
この手は昔から、ガラス扉を引いて中に入る形態で、ともすると、店頭には、数反のディスプレー用の反物があるばかりで、訪問客の要望に応じて、気に入りそうな反物を奥の引き出しから出してくるのがよくある形態。
次には「小間物屋」。肌襦袢やお腰といった下着類、足袋、伊達巻に腰紐、そして、伊達締めや帯揚げを扱うのがこちらでした。
そして、「履物屋」。最近知ったのですが、「草履屋」と「下駄屋」は別なのだそうです。
簪(かんざし)他頭を結ったり飾ったりするものは、化粧品屋さん。帯留めは「細工や」さんか「宝飾屋」でした。
そして、最後に「太物屋」。狭義の「呉服屋」と同じく「着物」を扱うのですが、こちらは「ウール」「木綿」「紬」といった普段向けの生地が主体。絹物に比べて、反物の巻きが太くなるので、「太物」というわけ。ワリと間口が広く、扉などなく入れる気楽さがありました。夏には浴衣の反物が店先に山積みされ、四季折々に景気よいディスプレイを見せてくれるところ。盆暮には商店街の大売出しセールにあわせて、大売出しを行い、赤白の引き幕も華やかに人が出入りする。

洋服だって、フォーマルとカジュアルの店は別だし、アクセサリーや下着の店だって別にあるのだから、着物が同様に別々の店を構えるのは、当然な筈。

ところが、日本人が普段着に着物を着なくなってしまうと、最初に影響を受けたのが「太物屋」。私の子供の頃に育った商店街には大きな太物屋さんが2軒もあったのに、どちらも消えてしまいました。普段着系の洋品店にクラ替えする店もあります。今済んでいる近所の商店街には、そんな店が数軒あります。

更に時代を経ると、普段どころか、正月や晴れの日にも着物を着なくなっていきました。そうなると影響を受けるのが、小間物屋や髪飾りの店、そして、美容院。
髪飾りは住宅地の商店街の場合は、化粧品屋が置いているので、店そのものがつぶれることはないのですが、店先から消えてしまう。美容院も、大晦日の夕刻以降は、新年の結い髪を結うお客さんで予約はビッシリ。除夜の鐘も落ちついて聞けない程忙しかったのが、いまや、「午後から休み」とか「大晦日は休み」といっても困るお客さんがいなくなってきています。
今となっては「日本髪結えます?」と聞いてからでないと済まない程に結えない美容師さんばっかりの店だってあります。
(「カリスマ美容師の店」なんかはそう。「結う」より「カット」の店だから、全然問題ないんだけどね)
私の行き着けの店は、美容師さんは、以前、新宿でホステスさん達の髪を結っていた経験があるので、技術はあるのですが、Uピンなど髪結いに必要な消耗品を常備はしていないので、いきなり駆け込むのは、やっぱり危険だったりします。

そんなこんなで、呉服屋をめぐる店がどんどんすくなくなっていったので、正絹モノしか扱わなかった筈の狭義の「呉服屋」さんも、小間物屋が扱っていた下着類や紐類、化粧品屋に置かれていた簪(かんざし)の類、履物屋にあった草履や下駄などが色々と置かれるようになりました。

東京で言えば、銀座とか日本橋、浅草にいくと、足袋屋も草履屋も下駄屋も健在で、小間物屋も元気。
でも、地元にもかつては同じようにあったこれらの店はほとんど消えてしまいました。

取り残されてしまったのが「太物屋」の品々。
悪いことに、普段に着物を着なくなってしまう風潮の中では、「売れない品物」なために、手を出さない呉服屋さんも多いのです。はたまたプライドなのかもしれません。「フォーマル・ドレスの店にGパンを置きたくない」みたいな。

最近、着物がブームです。それも「礼装の着物」でなく「普段着や、お友達とのお出かけ着」としての。だから、扱いの難しい、手入れも面倒、トドメに「高額」な正絹モノより、化繊とか木綿、ウールが人気になる次第。
ところが、呉服屋を回っても、「扱っていません」という店は結構多いです。「昔の在庫で少しあります」といってくれたら嬉しい程に。つまり「もう仕入れない、なくなったら終わり」と。

では、もう木綿やウールの反物って作られていないのでしょうか?そんなことはありません。ちゃんと織られています。
もっとも、「どこにいけば売ってるの?」が一番知りたいわけですが、判っている範囲では、大阪だの熊本だの遠ーいとこばっか。「買うかどうかは実物を見て」主義な私としては、手が出しにくくて。

「ニュー太物屋」なんて言って、今向けな色柄の着物や小間物を揃えた店なんてあると、いいなぁって思います。
ちょっと、キッチュな感覚は、呉服屋の店先の雰囲気とは違うって思うから。


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