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2005/03/18(金)
本物の真価、安物の勝手の良さ
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「着物は高い、洋服はずっと安い」という人がいる。 でも、そういう洋服ってのは、海外縫製のTシャツとか、化繊のナントカとかのことで、実は、良い生地と良い型紙、良い縫製をすると、なまなかの着物に負けない金額になる。 衿などの仕上げ部分を手縫いでした縫製など、一度着たら、1着1万円なんてスーツは着心地が悪くていられなくなるほど体に馴染む。 逆に海外縫製しかもミシン仕立の化繊の着物は、下を見れば案外と安い。化繊といえども、ブランド物だのシルックだのと言えば、そうそう安くないけど、安いものも結構ある。昔は「風呂敷着物」なんて言うような、バレバレの化繊が多かったようだが、今は、ちょっと見なかなかいい感じのものが多い。(もちろん、風呂敷着物も健在であるが) 着物の場合は、洋服と違って、値段と生地に関わらず同じ型なので、安いからといって、型紙的に着心地が悪いことはないのがいい。もちろん、正絹の縮緬や羽二重、大島紬やお召しと生地として比較できないものではあるけど。 でも、逆に化繊は気楽である。多少のシミならつまみ洗いも洗濯機洗いも可能だし、最悪、惜しくはない金額でもある。 雨に強いのも良い。天気の悪い日、悪くなりそうな日に、買物程度のお出かけには化繊は安心していられる。 家で着ているのも安心。家事するのはのみならず、食事とかしているだけでも案外と汚れるもの。
一番困るのは夏。汗かくので、正絹は避けたいが、化繊は暑い。 とはいえ、扱いの手軽さを考えると、夏でも普段着は化繊。 浴衣は涼しいけど、電車に乗るのは、私としては気恥ずかしい。
正絹の柔らか物、真綿の紬といった本物は確かに気持ちが良い。 季節に合わせた着重ねにすれば、丁度良い暖かさ、涼しさを実現してくれる。問題は「高い」のだよね。 「本場ナントカ紬」しかも、絣で手織りなどと言えば、普段着には似つかわしくない金額になる。織元から直に買い付けたという店では少しは(いや、かなり)安くなるが、それでも、まだまだ手が出しにくい金額。 しかもまだまだ目の利かない私には、手織りはともかく、高機や機械機はほとんど区別ができない。無銘の安い紬(当然機械機織り)と区別できない次第。その状態なので普段着用なら、無銘紬で良いと思ってしまうのは、安い普段洋服の店を好む発想とそう大差ないのかもしれない。
100万円の着物も、100万円のスーツも共に私にとっては遠い。
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