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2005/10/01(土)
着物の決め事、習慣は
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「あら、もう9月」なんて思っていたのに、今日は10月。 着物の季節では、袷に移る衣替えの日です。 洋服の方でも、衣替えして、姫の学校では、昨日までの夏の半袖ブラウスと襞スカートが、一気に冬服のウールのジャンパースカートとセーラーカラーのジャケットに変りました。 ここ数日は、涼しくて半袖一枚では「さぶい」と連呼してたのですが、ウールでジャケット付きでは、さすがにまだ暑いようで、携帯電話には「暑い」が3発。セーラー服に使う紺サージ地より厚手のフラノですから、まだ暑いんでしょうね。
今日は、殿の趣味の会のお手伝いで出かけます。 袷が使えるので、選択には事欠きません。昨日まででなくて良かった。この時期、襦袢は袷でなく単仕立が使えます。
で、今日のお題「着物の決め事」のお話。 このサイトを読んでいらしゃる方は、様々な記載に「へぇ、そうだったんだ」と思う人もいる一方で、「あら、そんな習慣聞いたこともないわ」とか「本にそんな事書いてないけど、本当?」と思う人もいらしゃると思います。
私の書いているのは「私の家の習慣」です。着物関係の本を見ると、どこの土地でも、どんな人でも、どんな家でも、全く同じ決め事でいるように読めるのですが、私の家の習慣や、殿の家の習慣で本の記載と違うことは、いくつかあります。 ともすると、「市販では、どこにも、そういう仕立のものは売っていない」なんてこともあります。「呼び名」が違うのもあるし。
例えば、我が家で「元禄袖」と呼ぶ袖の仕立て方。普通の袖より長めに仕立て、ときには、丸みが若干大きいもの。 袖丈は「手を下げて、中指の先までの丈」という計り方もあり、長身の私の場合、この丈がソレにあたります。 一般的には、袖の丸みのかなり大きいものが「元禄袖」であって、袖丈は普通よりも短めのものです。 「袋名古屋」もそう。我が家では、名古屋帯の仕立で、袋帯のように仕立てる、つまり、裏に別布をつけて仕立てる方法をそう呼びます。 他の場所では、名古屋帯の長さの袋帯を「袋名古屋」と呼んだり、お太鼓の部分の仕立を、二重太鼓に見えるように裏との縫い合わせにコツのある仕立て方にするを呼ぶこともあります。
更に、希少なのが「銘仙、ウールから浴衣に至るまで広衿仕立」なこと。普段着や浴衣は ばち衿か、棒衿に仕立てるのケースが多いようです。プレタ浴衣で広衿仕立は見たことがありません。 関西出身の母方の祖母系の習慣で、関東出身の父方の祖母系は、ばち衿仕立です。
「どんなときに、何を着ていくか」も、多分違うのではないかと感じています。 訪問着や江戸小紋は、「礼装」以外にも、「親戚の家への訪問」だとか、「京都旅行」なんかにも使ってしまいます。 帯は袋帯でなく、名古屋帯だったり、袴だったりしますが。 着物の本でいうところの小紋やお召し、大嶋の着まわしのランクでしょうか。もちろん、私も、小紋、お召し、大嶋も、オデカケに使う選択肢に入れていますが。
そもそも「親親族の家の訪問」といえば、洋服でもスーツクラスなので、「GパンにTシャツとかトレーナー」で行けるとこと対比させてはいけません。 私の世代では、デパートに行くのでも、スーツや余所行きで行くのが一般的だったように思うのですが、下の世代はおいておいて、同世代でも「そんなことしないよ」という人の方も結構いて、「うちって、何だったの?」と、今頃になって思う。もちろん、「うちも、よそゆきで行ったよ」と言う人もいるので、うち独自ではなかったようですが。
はたまた、最近知ったことには「真言宗の人って珍しいね」と。 うちの父の父方は真言宗、母方は両方真言宗。母方の祖父の親族や嫁ぎ先も真言宗と、親族皆、真言宗です。なので、そんなにレアな宗派だとは思ってもみなかったわけです。 レアというなら、神道(仏壇も神棚もある、っていうのでなく、神棚だけの家。葬式も神式で行う家)の方がよっぽどレアに思うんですが、これが意外と友人の家の宗派ってのが数人いたり。 ミッション・スクール出身なので、クリスチャンの知人はは当然多数。
昭和30年代前半からクリスマスを家で祝ってたのも、日本全国的には珍しいことらしいです。でも、私の住んでた商店街では、「歳末大売出し」の前半25日迄はクリスマス対象で、ジングルベルだの賛美歌の景気の良いのだのが流れて、鳥屋は、大きなオーブンで丸焼き鳥を何十も焼いていました。 その後ろで、15日辺りから門松も立ちはじめ、25日を過ぎれば、商店街も正月支度向けに変わる。 そして、大晦日、普段よりも店は早く閉まり始め、12時頃まで開いているのは、美容院ばかりなりとなる。 明けて正月元旦には、商店街の店はシャッターに「賀正」と松の絵なんか描いた紙を貼って、おおかた3日は閑散とした状態。 開いているのは、本屋と玩具屋程度。これはお年玉貰った子供が、早速に買い物に来るから。
子供の頃は、日本全国、そういうもんだと思っていました。
葬式でも、殿の家では「黒紋付は家族だけ」という習慣で、親族の葬式の際に義母から「洋服の喪服で着てね」と言われてビックリ。うちじゃご近所の知り合いの葬式だって黒紋付でしたから、カルチャー・ギャップでした。「家族以外は、若い人は洋装、色無地の着物は60歳過ぎてから」だそうな。
着物のサイトで、「結婚式に何を着ていけばいいか」とか、「葬式に何を着ていけばいいか」とか、はたまた、「どこそこに行くのに、このコーディネートは問題ないか」って、質問は一般的なのですが、アドバイスが、当人のその状況にとって、適切なのか、って最近は思うのです。
「聞いても意味がない」とはいえないけど、「必ずしも、アタるとは限らない」って思います。 色々な人と話をすればするほど、日本の中には、実に様々な習慣と決め事があるという思いを深くします。 あるトコの常識は別のトコでは非常識って位に違うことすらあります。
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