優妃 讃良の着物についておもうこと
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2004/09/28(火) 秋到来 − 呉服業界の危機
「暑さ寒さも彼岸まで」と言うのに、彼岸過ぎても暑いと思ったら、一雨降った後はいきなり「秋ー!」といわんばかりに涼しくなってしまいました。昨日までの「浴衣一枚肌着なしでも暑い!」といっていた気候はどこへやら。やっとまともに単衣の季節です。
というわけで、夏の絽や紗で正絹のものは洗いに出し、化繊や木綿はきちんと洗濯してアイロンをかけてしまいましょう。

さて、秋恒例に洗いに出すものの一つが正絹絽の女袴。汗が心配な夏ですが、化繊よりも通気性の良い正絹は「夏こそ正絹」でもあります。近所の呉服屋さんでそろえたのですが、このとき、結構大変だったのです。

夏用の女袴用の反物がありません
お店ではツテをたどって知っている限り聞きまわったようですが、あえなく玉砕。男物はあったようですが、女物はないという結果に。
ある業者が「ウチが入れた無地絽なら、袴に使える」とアドバイスしてくれたそうで。無地反物としては珍しい色の濃い絽。「古代紫(赤系の紫)」というか「蘇芳(すおう)」というか。
仕立て屋がいません
反物も決まって一件落着と思いきや、次々と。
いつも卒業式用の袴を仕立ててもらっている処に出そうとしたら「冬物は縫えるが夏物は勘弁して」と言われたとか。
ここまできて折角の商談をフイしてなるものかと仕立ててくれるところ探し回ったそうですが、行き着いた先は会津。現在では男袴の生地の生産地の一つでもあるので、さすがに縫ってくれる人がいたようです。

袴だったので、「女物は・・」となりましたが、実は男物の方が先にこんな現象は起きています。意中の紬やお召しが「男物は織っていない」ということは既に発生しているとか。

袴の流通に関しては、実は別のところからもサーチしたのですが、扱っている業者や縫い子さんは限られているようです。(うちの呉服屋さんは、残念ながらそちらには行き着かなかった様子)
どこって、そりゃー、一年中業務上袴を穿いて暮らしている方々にお納めしている業者さん。つまり、神職さん相手のお店。当然ながら、夏用の袴を扱っています。こちらに限定して請け負っていますので、呉服屋のルートにはひっかからないのかと。

呉服関係では、様々な関連業者や職人さんがいなくなっています。「紡ぎ手が高齢で、その人が辞めたらオシマイ」という反物や「この染織技法はxxxさんだけ」など。手工業な作業は方法を習えば真似られるというわけにはいかず、長年の修行を必要とします。そして 習得したとしても、一つ一つを仕上げるのには多大な労力を必要とするワリには手間賃が少ないという次第。昨今の楽で高収入を得られる術のある状態では後継者は望めません。
「苧麻を紡ぐ」ほどの特殊技能なら、担い手が限定されているのもさもありなんと思っていたのですが、「袴を縫う」なんてことまで、普通の裁縫士では引き受けられないとは、意外でした。
すぐ側まで危機は迫っているのでした。


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