優妃 讃良の着物についておもうこと
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2017/01/22 着物買うのに、いくら以上だと「高い」?
2016/11/27 着物を頼むなら呉服屋で
2016/11/26 夏は暑くて、冬は寒い
2016/07/10 はいからさんが通る の 時代の袴
2016/07/09 はいからさんが通る

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2004/09/29(水) 着物を貰いに
先日、ツバとけといた大伯母の着物を取りに行きました。
運転は夫、室内に積めるだけでは心細いので、屋根にも積めるようにトランク3つを積み込んで。
折悪しく、雨天。ラジオは「降水確率50%」といい続けているが、どうみても「確率100%」な状態。平日の幹線道路も都内も混むこと混むこと。3時間かけて神田の家にたどりつく。
そして、即座に積み込み開始。運良く雨も上がったので今のうち。
段ボールにてあと3箱位残ったところで「もう積めない」とストップが。結局、後が見えないことを覚悟して天井まで積み上げて全部積み込む。もちろん、天井にはトランク3つが乗る。
「タイヤ、沈んでいるよ」結構な重さのようです。
5ドアハッチバックにルーフキャリー付きの軽自動車は本当によく積めます。
また3時間かけて帰宅。雨の中を積み出し。うー、着物が濡れる!屋根に積んでいたトランクもカバーをしていたのに雨が入ったらしく、外側が濡れていました。中は大丈夫でしたが、心配なので、即座に取り出し。

夫曰く「もう、xxx屋やxxx屋(呉服屋の名前)は無縁になるね」と。「リサイクル屋は逆方向で利用するかも」と返す。
ホントに着きれません。大伯母も着ていたんでしょうか?どんどん古いものは着なくなって積んでいたのかもしれません。

まずは分類して、季節と格をわけて。あー、考えただけでも大変。
単もあるし、袷も初夏寸前用なのかものすごく薄いのもあります。織の着物は何でしょうか?お召しもあるようですし、ラメを織り込んだものもあります。大島はわかりますが、これは結城?塩沢?裏に紅絹を使ったものは嫁入り頃のものでしょうか。
トドメに、解いた着物や反物まで。あうあう。

2004/09/28(火) 秋到来 − 呉服業界の危機
「暑さ寒さも彼岸まで」と言うのに、彼岸過ぎても暑いと思ったら、一雨降った後はいきなり「秋ー!」といわんばかりに涼しくなってしまいました。昨日までの「浴衣一枚肌着なしでも暑い!」といっていた気候はどこへやら。やっとまともに単衣の季節です。
というわけで、夏の絽や紗で正絹のものは洗いに出し、化繊や木綿はきちんと洗濯してアイロンをかけてしまいましょう。

さて、秋恒例に洗いに出すものの一つが正絹絽の女袴。汗が心配な夏ですが、化繊よりも通気性の良い正絹は「夏こそ正絹」でもあります。近所の呉服屋さんでそろえたのですが、このとき、結構大変だったのです。

夏用の女袴用の反物がありません
お店ではツテをたどって知っている限り聞きまわったようですが、あえなく玉砕。男物はあったようですが、女物はないという結果に。
ある業者が「ウチが入れた無地絽なら、袴に使える」とアドバイスしてくれたそうで。無地反物としては珍しい色の濃い絽。「古代紫(赤系の紫)」というか「蘇芳(すおう)」というか。
仕立て屋がいません
反物も決まって一件落着と思いきや、次々と。
いつも卒業式用の袴を仕立ててもらっている処に出そうとしたら「冬物は縫えるが夏物は勘弁して」と言われたとか。
ここまできて折角の商談をフイしてなるものかと仕立ててくれるところ探し回ったそうですが、行き着いた先は会津。現在では男袴の生地の生産地の一つでもあるので、さすがに縫ってくれる人がいたようです。

袴だったので、「女物は・・」となりましたが、実は男物の方が先にこんな現象は起きています。意中の紬やお召しが「男物は織っていない」ということは既に発生しているとか。

袴の流通に関しては、実は別のところからもサーチしたのですが、扱っている業者や縫い子さんは限られているようです。(うちの呉服屋さんは、残念ながらそちらには行き着かなかった様子)
どこって、そりゃー、一年中業務上袴を穿いて暮らしている方々にお納めしている業者さん。つまり、神職さん相手のお店。当然ながら、夏用の袴を扱っています。こちらに限定して請け負っていますので、呉服屋のルートにはひっかからないのかと。

呉服関係では、様々な関連業者や職人さんがいなくなっています。「紡ぎ手が高齢で、その人が辞めたらオシマイ」という反物や「この染織技法はxxxさんだけ」など。手工業な作業は方法を習えば真似られるというわけにはいかず、長年の修行を必要とします。そして 習得したとしても、一つ一つを仕上げるのには多大な労力を必要とするワリには手間賃が少ないという次第。昨今の楽で高収入を得られる術のある状態では後継者は望めません。
「苧麻を紡ぐ」ほどの特殊技能なら、担い手が限定されているのもさもありなんと思っていたのですが、「袴を縫う」なんてことまで、普通の裁縫士では引き受けられないとは、意外でした。
すぐ側まで危機は迫っているのでした。

2004/09/22(水) 末に永くと思えば
「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが、明日を過ぎれば涼しくなるのでしょうか?

「望月の欠けたることのなしと思えば」と詠った道長も衰え、「驕れる平家久しからず」と平家もまた滅びていきます。

私が考えたこととしては、「跡継ぎが頼りない」ことによるのではないかと。傑物であった父親程の才能がないこともありましょうが、子に譲る準備をしていないということもあるのではないかと。道長は天皇の3代に渡って姻戚関係を結びますが、それによって、息子が姻戚関係を結ぶ道を閉ざしてしまいました。このため、それなりの才があったと見られる息子の頼道は、天皇の外戚としての力を振るうことができませんでした。

逆に徳川300年の基礎を築いた家康は、孫にその才を求めました。息子の代には自分の力が及ぶけれども、孫の代の末までも支える力も寿命もないからです。「伝える」ということを意識的に受け止めている「孫」はまた、その子に、孫にそれを伝えていきます。

着物、今、沢山の着物が捨てられています。リサイクル屋に行くものや縁故に譲られていくものは恵まれている方でしょう。
子孫は「着物を着ない」からです。
着物に限りません。沢山の伝統や習慣が同じように失われています。
中には現代には不適切なものもあるでしょう。しかし、それ以上のものが失われていると感じます。
何故、伝えないのでしょうか?伝えられないのでしょうか?

それは多分、親当人がそれを捨ててしまってるからでしょう。
子供は親がしてないことを「するように」と言われても、大抵の場合はしません。一方、何も言わなくても、親のしていること、祖父母のしていることは見ていれば、自然と馴染んでいきます。
そして、親よりも祖父母の方が影響力が大きいように思います。
家を維持することで忙しい親達よりも、隠居の祖父母の方が余裕があり、伝統というものを子供が見る時間、話す時間が永いからかもしれません。
そういう意味では祖父母が同居しなくなった今は伝統が伝わり難いのかもしれません。狭くなった家は「そのうち時間に余裕ができたらやろう」というための物を置いておく余裕を与えません。
お茶、楽器、着物といった物を必要とする伝統は失われやすい状況にあります。

お茶は伝えました、着物も伝えました。
しかし、花を活けること、御節料理はもうだめですね。
多忙でなかなか花まで手が回らず、御節は帰省する関係で、作る立場にないので。

祖母の着物、大叔母の着物が我が家に集まってくるのを見て、考えたことです。

大叔母の着物で。

2004/09/18(土) お誕生日に和菓子を
昨日がお姫さんのお誕生日だったのですが、友達の集まりやすい土曜日の今日に実施。
通常、バースディ・ケーキなのですが、今回は当人の希望で「大きい練切(ねりきり)が良い!」とのこと。
数日前に和菓子屋に行って相談したところ「菊ならできる」と。
色は「ピンク」(赤い菊ですね)と指定してお願いしました。
受け取りに行くと「すごい綺麗ですよ」と。
天皇家の家紋のような型押しを想像していたのですが、筥から出てきたのは写真のような「厚モノ」と呼ばれる菊を模したもの。
薄紅に染めた餡に更にうすーく白餡を重ねてそれらしさを強調。
外側の花弁もさることながら中央の小さな花弁の繊細さも。
直径10cmほど。

食べるのが惜しかったですが、カビや腐敗菌にやるのも惜しいので、4つに切ってお抹茶と共に頂いてしまいました。
アンコには定評のある店だけにいいお味でした。

ちなみに沿えに普通サイズの主菓子も練切の桔梗、お餅のオモダカ、キントンの紅葉山と3種類揃えましたが、それもきれいさっぱりとお腹の中に。

2004/09/17(金) 着物の初期投資額
今日は着物の初期投資の金額について。

着物を何にも持っていない人が、着物に手を出すときに、一番最初の壁が「最初に揃えるもの」の額。
洋服ならば、当然に揃えている「下着類」や「小間物類」が着物の場合は一切別のものなので、これらを全て揃えなくてはいけないからです。
アンティーク屋さんで気に入った着物をリーズナブルに見つけたとか、化繊でもいいのを見つけた、といっても、それだけでは済まないわけです。
「旅先で着物を着てみませんか?」なんて催しがあって「着物は無料でお貸しします」なんて垂涎のものでも「肌着、足袋はご持参下さい」なんてのは普通のお話。

さて、では一体いくらぐらいするものなのでしょうか?
足袋 通常の木綿製だと2500円から3500円くらい
「足袋カバー」などと言われている化繊製でも1000円位
肌襦袢 ガーゼ地や晒(サラシ)地で2500円位
腰巻 「裾除け」という言い方もあります。3000円位
襦袢 長襦袢もしくは二部式でどちらも化繊は1万円位

ここまでが下着類。次が小物です。
腰紐 襦袢に1本、着物に1本の最低2本。
補助紐や、伊達締めの下にも結ぶにはあと2本位は必要。
3本で千円位の廉価品が通常的に入手できます。
伊達締め マジック式、袋縫い、博多織など。千円位から
帯板 千円くらいから。

他にお太鼓結びなど名古屋帯や袋帯を結ぶには「帯枕」が必要。このときは、枕留め 帯揚げ 帯締めも必要。枕留めは300円くらい、揚げと締めはセットで5千円位。

そして、忘れてはいけない草履も。5千円位から。

「着物」と「帯」以外にもこれだけかかるわけです。

無料着付け教室によっては、便利グッズの「コーリンベルト」だとか、枕留めが帯をとめられる「帯はさみ」だとか、更に着付け地に襟を止めておく「着物クリップ」だのと、数々の「小物類」が要求されてきます。

「着物着てみようかな」なんて気分がそのまま、10億光年のかなたに飛んでしまうでしょう。

でも、着慣れている人はこんな「高価」^^) な小物類は使いません。
セールをチェックしていると、小物類は「目玉商品」として出るからです。「着物市」「リサイクル品処分市」など、意外と着物のセールはあるんです。そういうときなら、足袋、肌襦袢、腰巻、腰紐3本セット、伊達締め、帯枕、帯板、枕留めなどは500円とか千円で出ます。腰紐も1本100円とか50円で出ます。
化繊の二部式なら3000円、長襦袢も5000円位で出ます。
こういうときには、帯揚げや帯締めも千円位で出ることももあります。

また、恒常的に安い小物を扱っている店もあります。
一つは「舞妓さん御用達店」京都の祇園などにあります。普段も着物を着ている舞妓さん芸妓さん用には帯揚げや帯締めも安い手軽なものを扱う店があるのです。上等なものでも凝ったものでもありませんが、ちゃんと正絹。普段遣いには十分です。
また、リサイクル屋さんも安い小物を常備しています。いくら着物が安くても、小物は中古では出ませんから。
ネットや通販を検索すれば、もうこれはキリなく安いものが入手可能。

着慣れてくるともっと廉価に走るようになります。
着物小物でなくとダメなもの以外を洋服系で調達するんです。
まず、肌襦袢。男物の夏のクレープ地の前開き式は肌襦袢にうってつけ。U首のクレープ地、麻地も襟開き十分です。
夏の股ズレ防止には「下穿き」というものを使うのですが、女性下着のフレア・パンティが代用できます。また、男性用のクレープ地ステテコだともっと安く買えます。
男性下着の場合だと2枚組で500円位。着物下着に比べて破格値です。夏は毎日洗濯しますので、枚数がかさむので常時着物の人間にはこれ位安くなくては。でもクレープ地は夏だけの販売品。

2004/09/12(日) 白鷹お召しと綴れの帯と
白鷹お召し、山形県のほぼ中央、「置賜(おきたま)地方」と呼ばれる地域、西置賜郡白鷹町で織られているもので、年間生産量は非常に少なく、60反/年とも言われています。呉服屋の店頭に並ぶことも少なく、「即、着物系博物館行き」という説もあながち嘘ではないのかも。
大島紬、結城紬と並ぶ高級紬系着物ですが、「お召し」の名の通り、経糸に生糸、緯糸の地糸にお召し糸、絣糸に生糸を用います。お召し糸とは強撚をかけた糸のことで、織りあがりにしぼが立つのが特徴です。縮緬よりも塩沢紬の感じに近いでしょうか。しゃきっとした織物です。
亀甲絣、十字絣などのこまかい子絣柄を板締で染めるので、見事な絣模様が逸品の程を示すものながら、これが着物の高額化でもあります。

ひょんなことから、白鷹お召しを手に入れることができました。
絣なしの緯糸だけで縦縞模様にしただけのもの。同じお店でも、ほんの簡単な飛び絣や亀甲が入るだけでポンと1.6倍のお値段。
絣の染めと織りの手間は単に織る手間とほぼ等価であることがわかります。でも、この白鷹お召しの地質が好きな私としては、ほぼ半額で入手できるこれは千載一遇の機会!
先に4棹もの着物が来るという話をしたばかりなのに、手を出してしまいました。反ものは白と萌黄の縞で遠目には薄い抹茶色のように見えます。仕立ては単。これで初夏は4月から、秋は10月でも着られるのだとか。
更に、個人的にちょっと面白いシカケをたくらんでいます。名づけて「ウソツキ袷」八掛けを別に仕立てておいて、着るときにチョンチョンと重ねて縫いつけ、袷にしてしまおうと。
八掛けの色が、色々な色が合うんですね。しかも、色によって季節感が出せる。秋ならば朽葉を、冬には濃蘇芳や濃紫、春には桃色を重ねて、共色の萌黄も、5月には藤色、更初夏には白か薄香色で涼しげに。これは何と決めてしまわずに季節によって換えて行こうと。

この日、この店では綴れの帯の機(はた)を運び込んでの実演もしていたんです。実際に織っておられる当人も京都よりいらしていて。そして、話の流れで「あ、織りますよ」という話に。
着物の染めや描きをお願いすることはありましたが、なんと帯をお誂えで「織ってもらえる」とは!
呉服屋の旦那の言うに「織元が来ていたからできた。色のニュアンスを伝えるのは難しいから」と。織元も「同じ色でも、どんな人が召されるかで、色の染め順に気を遣える」とのこと。

この日は着物でなく、夏の水色の無地木綿のワンピースを着ていました。およそ着物の色ではないです。私のイメージはどんな風に見えていたのでしょうか。

織ってもらうのは、幅は男の角帯、長さは女性の名古屋帯の長さ。実際に締めてみて、長さを決めました。男の角帯よりは1尺5寸程短いです。こんなとこもお誂えの醍醐味。
ちなみにお値段は「織り上げた分(既製品)と同じお値段でいいです」とのこと。
二色ぼかしなのですが、陰萌黄と薄香にしました。ボカシの加減が角帯は幅が狭いだけに意外と難しく、「2,3本作る羽目になるかも」と。職人さんはこういう依頼は嬉しい一方、「うぐぐ、これは難しいゾ!」と頭でグルグルするのだそうで。それをお客様の思った様に仕上げるのも醍醐味。
色の細かいアドバイスは大旦那がしてくれました。この大旦那の配色センスはもう絶品です。帯見本の色の中には萌黄もいくつかあったのですが、ちょっと渋目の色がよかろうと。
この大旦那、私には、ちょっと渋目の色を選んでくれます。でも、着ていて全然ババ臭くないんです。不思議ですね。

「お時間かかりますが、よろしいですか?」「どれくらい?」「2,3ヶ月程」
なんだ、半年とか1年とか思ってしまいました。装束の生地などは、いい緯糸がかかるまで待つので半年とか平気で経ってしまいます。2,3ヶ月なんて「早期ご予約会」程度じゃありませんか。

モノはそのまま仕立てに回ってしまったので、手元にはありません。白鷹は10月後半のお仕立て上がりなので、仕立てあがったときにお目見えいたしましょう。

2004/09/11(土) 秋場所土俵祭
知人のツテで土俵祭を見ることができました。
「祭」といっても、縁日とかのある方ではなく、「神事」の方。
この日は国技館での秋場所のための土俵祭でした。
祭を行うのは、神主さんではなく、行司さん。行司にもランクがあって、その一番偉い 庄之助親方によるお祭でした。

親方は相撲協会の紋をつけた白羅の小直衣に指貫に冠、脇の2人は白無紋の狩衣に白差袴に神主烏帽子。

祝詞の後に、四隅に紙幣を立ててお神酒を注ぎ、中央に呪い石(本来は何と言うのでしょうか)を埋めて、今度は土俵の輪の四辺に神酒を注ぎます。これは結界を張って清める方法でしょうか。
相撲自体がその場を清める力を持つという説も陰陽道には出てきますから。

最後はお囃子衆が太鼓を叩きながら土俵の下の周囲を2周して儀は終わりました。

2004/09/10(金) レンタル代と購入代
「高いから、レンタルにしよう」という話は、およそ全ての物品にあてはまります。1回位使うだけなら、安くて手っ取り早い。
なんですけどねぇ、着物や装束に関しては、「借りるより買った方が安くない?」と思うことが多々あります。
もちろん、「全く同じものが買える」というわけではありませんが、そう見た目に差のないものが、結構安く買えるものです。

例えば、卒業式で御馴染みの袴。借りると7000円から1万円位です。これをレンタル落ちで買うと同じくらいです。だいたい一回分のレンタル料で処分すると考えると良いかと。痛まないうちに処分しますので、新品同様です。
更に驚いたことには、本当の新品袴でも6000円位で買えるところがあるのです。参考上代は結構な額なので、どういう流通ルートを通るのか安く仕入れているようです。

着物はもう以下同文の世界。
但し、逸品モノを比較的安く買う手もあります。
意外なことに「布も染めも織りも指定して作ること」です。
店舗というのは置いておくため、そして売れなかったときのために金額を上乗せしています。そして、商社や問屋を通すと更に彼らのマージンが乗ります。これにも「売れなかったときのため」の上乗せが乗ります。ですから、職人の手を20万円位で離れた反物が商社の手を経て一流呉服店の店先に並んだときには「お仕立て上がりで200万円」なんてことになる次第。
だから、お客様指定の場合は、必ず売れるわけですから、「売れなかったときの保険」なんぞ積まなくていいわけです。「店のおいておく間の金利」なんてのもありません。即座に納品ですから。
サイトを検索してみるとわかりますが、西陣の帯や華麗な友禅が「これから描きます」のだと、びっくりする程安いのです。

さて、装束の段です。某所で借りるとなんと一式50万円だそうで。完全な有職装束ではありませんが、一応、正絹で重ねも5枚の裳唐衣の装束。鬘は別です。白小袖とか半襦袢、足袋の辺りはどこまで含まれているのでしょうか。

でも、これをほとんど化繊で作ってしまうとなると、50万円あれば、同じものができます。
装束って、買うと高そうなので、とレンタル料金を見てさらにぶったまげて、もう引いてしまうような状態ですが、意外と「買う」のはひっくり返る程高いわけではありません。

これはMY装束。全て自分のものです。
五衣は袖や襟、裾からしか見えないので、そこの幅1尺程しかありません。これを「比翼仕立て」と呼びます。
こんなことでいいことにしてしまうと、マスマス、安く上がってしまう次第です。

2004/09/09(木) 重陽の節句
本日は、重陽の節句です。菊の節句とも言いますね。
前の晩に菊に「きせ綿」といって花に綿をかぶせておき、これについた朝露を使って身をぬぐったり、菊の花びらを浮かべた菊酒を飲んだりします。
「陽」というのは奇数のこと。奇数月の月と同じ日にお節句があります。だから3月3日の上巳の節句(桃の節句)も5月5日の端午の節句(菖蒲の節句)も7月7日の七夕(しちせき)(笹の節句)も全て「重陽」なのですが、9月だけ、こう呼びます。
陽の数字の一番大きいのが9ですから、これが一番縁起の良いお節句なのだと。

「10日の菊」という言葉があります。お節句は9日なので、10日に菊がきても意味がないわけで、そういう「遅れてきて意味のないもの」を差します。
昨今では「25日のクリスマスケーキ」という言い方もあります。(でも、本当はイエス様のお誕生日は25日なので、ケーキは25日に食べるものなんですけどね。自分の誕生日の前日にケーキ食べる人っていないでしょ?)

2004/09/08(水) 袴とズボンの違い
着物と洋服の違いだと簡単にわかりますね。
「着物襟」とか袂のある袖が特徴です。

では「袴とズボンの違い」はどうでしょうか?
背広のズボンと礼装の仙台平の袴を見ると簡単に違いがありそうに見えますが、どちらもそれぞれの一形態に過ぎません。
「ワイドパンツと作務衣袴の差は?」となると、どうでしょう?
ファスナーで留めるとかゴムが入っているのがワイドパンツで、ゴムでなく紐で締めるのが作務衣袴、程度の差しかありません。
昨今では、作務衣や野袴という細身の袴には上がゴムだったり、ファスナーで留める形式のものだって登場しています。「ファスナーで留めたらズボン」まさかね。

農作業には最近ではジャージが使われていることも多いようですが、作務衣袴(もんぺともいいます)も健在です。
そして、上の衣類は「ブラウス」と呼ぶべきなんでしょうが、ボタン留めながらなぜかV字襟。
「着物には袂がある」と上ではいましたが、職人や農民の作業用の衣類の場合は「筒袖」といって袂はありませんでした。洋服の袖と同じわけです。

そう考えると、「洋服を着るようになった」と言えるのかなぁと。農作業の衣類は変わっていないという感じがします。
ちなみに、この格好、平安時代の「庶民の服」として既に着られています。ということは、千年、ほとんど変わらないってことなのでしょうか。

9月絵日記の続き


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