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2004/08/05(木)
袿袴の道中着姿
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先日、雨コートを「道中着姿に着付けて」という話をしたので、その注釈。 着物のコートには、道行型という襟が四角く開いた形や道中着型という着物のように垂襟のものなどがありますが、先日言ったのは「道中着襟の雨コートを『袿袴の道中着姿』に着付けた」というちょっとややこしいもの。
通常、着物のコートはつい丈に仕立てます。着物の裾が出ては意味ないので、若干長めではありますが。 こういった長い身丈の着物で外出する場合の簡単な方法は「壺折り」です。着物と同じように、裾丈に合わせて、腰紐を結んで、お端折をつくります。そして、その上に帯はしない。 江戸時代の打掛も、外出時には、このように端折って出かけました。平安装束も同じように壺折りです。京都の賀茂祭での行列で見るお付の女官達の姿は壺折り。
装束の端折り方には、もう一つ「明治式袿袴の道中着姿」というのがあります。明治時代、女性の第一盛装は洋服でなく切袴に単衣、表衣という袿(うちき)と袴(はかま)の姿でした。これを「明治式袿袴(けいこ)」と呼びました。屋内では裾を引きますが、移動時には裾をからげている必要があります。このときのからげ方が前の時代と異なる華麗な方法となりました。これが「道中着姿」です。
壺折りは、着物の場合には、下の着物のはだけるのも防止してくれて便利ですが、袴を着ている場合は逆に歩幅を取れず不便な上に、袴が自然に広がるシルエットも疎外し、余り美しくありません。 「袿袴の道中着姿」では、前を合わせずに、開くように着付けます。これにより、袴のシルエットと歩行が確保されます。 胸元に帯のように見えているのは、端折を上からもこみ入れて幅を細くしているのです。このために胸元にも小袖の上に一本帯締めをしています。この紐を使って、中に入れていきます。 これによって襟元がしっかり押えられるので崩れることがありません。 本義ではないのでしょうが、この部分がポケットのようになり、切符だの扇子だのを入れられて便利便利。
今回は、装束でなく、着物の形態ので着付けてみましたが、やはり女袴にコート類を着るには便利です。
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