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2004/07/12(月)
紅の着物の旬
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平安時代、着物の色には季節と連動するという習慣がありました。その色は季節別にまとめると、結構傾向がありました。 春は薄紅、つまりピンクと萌黄。お雛様のお節句の菱餅で知られている「桃のかさね」として、梅、桜、と薄紅色の花がオンパレードだからです。 そして、夏。現在ならば「涼感を呼ぶ色」ということで白を始めとして薄い紫や薄緑、薄藍といった涼しげな色を選ぶところですが、平安の昔の夏の色目で多いのは意外にも「紅」「黄」といったいかにも暑苦しそうな色。薄藍に属する花田色や薄(すすき)という色目が出てくるのは、初秋です。 ここは予想なのですが、紅染めの元である紅花の収穫は梅雨時です。「今年収穫の紅花で染めた衣」が着られるとしたら、盛夏です。同じく、花田に染める露草が出回るのは秋口。秋の七草に代表されるように秋の花は青やグレーの渋い花。 そして「季節の花を表す」のが当時の習慣。夏の花は「涼しげ」であるよりも「ほこらかに赤!」なんですね。 「季節の花を表す色を、獲れたての染料で染めて着る」ってのが粋だったんでしょうね。
藍は8月、黄に染める刈安は10月。 紅葉まっさかりの秋には全ての「今年の染料」が揃います。 そして、紅葉を表す、色様々な重ねを実現する。
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