優妃 讃良の着物についておもうこと
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2004/06/21(月) LAST SAMURAI
DVDレンタルで「LAST SAMURAI」を借りてきました。
ワーナーの実力を発揮するCG合成と乱闘シーンは圧巻。
勝元の本拠地(吉野か飛騨の奥地を想定しているらしい)はニュージーランドの某谷間をロケ地として利用したとか。その分、背景の山並みがウソ臭い。日本の地理形状とニュージーランドのソレは異なるようだ。
日本で描くと「SAMURAI」よりも「武士」とか「もののふ」って書くかなぁ。いや、言葉だけの話なのだけど。

瑣末な部分で許せない設定ミスを感じるものの、全体として「言いたかった」こと、「監督が現したかったこと」は極めて正しく緻密に繊細に実現されていた。
「目だけの演技、背中の演技」といった、熟練俳優でなければ演じられない演技を利用し、アメリカ風の活劇の中にも欧州や日本の映画にあるような深みを出している。黒沢監督映画風というか。

絶対に許せなかった点は「武士の妻」の描き方。
髪はきちんと日本髪を結って欲しかったし、武家の服飾は農民のソレとは異なる。武家の女の襦袢の襟は「白」だ!
ちゃぶ台を囲んで食事をするのも。当時は箱膳。
しかも子供は座敷に上がれず、土間の側の板の間で済ませる。
もちろん、座敷で主が食事中、妻は食事をせず、給仕として控える。家によっては戦前までのこっていた風習だ。
そして、村の木戸。神社の鳥居なのが呆気。
最後に、親の死、若き叔父の死を通して武士道に反する言葉を発する息子の後姿に「武士道は子供には難しい」とオールグレンに言うのもいただけない。子供たりとも、武家に生まれたるなら、内心思っても、口にはしてはいけない。まして武士の妻はそれを肯定してはいけない。この辺を描ききっていないなぁと。

さて、「最後の侍」たる「カツモト」とは誰をモデルにしたのだろうか?きっと色々といわれているのだと思う。
一番近いところで西郷隆盛。維新に多大なる貢献をし、明治を過ぎて、元老院まで昇りつつも、他のメンバーと会わずに薩摩にて挙兵し、敗れる。
ただ、イメージからすると、会津藩主 松平容保候や新撰組もイメージする。最後のシーンは会津の鶴賀城炎上や五稜郭の戦いを思わせる。知名度の低いところでは、庄内藩の攻防も極めて近い。数だけは大群な新政府軍に庄内藩は一歩もひかず、ある一時期は「勝って」さえいた。農民すらも支援したという庄内戦はかなり近い印象。

実は一番見たかったのは、主上の私室シーン。主上が大口(赤の袴)に白小袖の襲ねという当時の皇室の普段着格好の後に、女房達がいるらしきシーンを雑誌などで見ていたので。
しっかし、女房達はなんと、「立ってたまま」だった。京都で衣紋道 高倉流の仙石氏に教えを受けて、調達させた女房装束が、たったあれだけのシーンだったとは。
また、説明もなく、一緒にいた男児(これも、どうやら、当時の皇族の男児の衣装をきちんと着ているらしい。1カットじゃ見えない!)は何者だったのか?
なんとなく、あの中の一人が奥方で、恐らくその子供と思われる。でも、当時って、日中に奥方と一緒にいたり、子供と過ごしたりすることって、絶対にない。話の筋からはどうでも良いことには違いないのだけど、気になってしかたがない。
「千年の恋」の主上登場のシーンに比べると遥かにマシなのだけど。でも、ここはきっと日本人のほとんどですら気づかないと思う。装束オタクの難点。

「何を言いたかったのか、そのために何をどう表したかったのか」という点に関して、非常に良く出来た作品だと思う。いい役者にいい演技させているし。彼らが気づかなかった瑣末な点や、制作上の制限から実現しえなかったことをもって作品全体をけなす必要はないと思う。

添付は角館の武家屋敷街。武家の家の界隈ってこうなのよ。
「たそがれ清兵衛」でロケ地になっている。
映画のアレでは農村だわ。


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