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2004/05/01(土)
装束や着物の自作
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今日は結城紬について書こうと思ったが、書き込みがサーバのアクセス不調でチャラに。 面倒くさいので、話題を変えます。自作のお話。
着物のサイトでは自力で「お仕立て」「サイズ直し」「洗い張り」「丸洗い」といった話題が出ます。 装束もそういった話題は当然に出ます。しかし、着物のように一般的にお仕立てを教える場所や本が存在しないので、「できるかどうか」の判断からして難儀するようです。
挑戦するとしたら、浴衣や木綿、ウールなど、扱い易い生地で、子供のものなど小さいサイズのものから始めると比較的とっかかりやすいです。子供のものは所詮、1,2年で着れなくなるので、所詮、出来に不出来があろうとも、文句も言わないで着てくれる上に、後腐れなく処分できます。
最近は正規の和裁系の仕立本のほかに洋裁の技能でできる型紙と縫い方の本やパターンも売られているので、楽です。
さて、一方、装束のほうはというと、こういうパターンや仕立本からしてないのが現状です。唯一あるのが「時代衣装の縫い方」という本ですが、高額で興味本位に手にできるものではありません。しかも、素人向きではない説明がズラズラと。 私はこの文章を理解するために和裁本を買った位です。 仕立て方は和裁と同じではないのですが、和裁を知っている人が著されたようで、和裁に例えて縫い方を説明しているところが多いのです。 更に困るのは「このサイズって、身長何センチ用?」というもの。着物もそうですが、多少の融通は効くものの、何十cmもの差に対応できるわけではありません。昔の人は小柄だったようですが、貴族の中には結構長身の人もいたようです。逆に大人とは思えない程小柄の人もいたようです。源氏物語にも「衣にうもれるほど」と女三の宮を評しており、かなり小柄な人だったようです。実物でいっても、明治の宮様方の装束を展示会等で見ることができますが、サイズがバラバラです。 この「身長や身体サイズから割り出す裄丈」については全く情報を得ることができません。 存在しないかというと、そんなことはありません。今でも狩衣や衣冠を製作している場所、つまり神社ご用達のお店にはちゃんと換算方法があるのです。でも企業ノウハウですから、教えてはくれません。そして、着物も「着付けや着る場所で寸法は変わる」んですが、装束も同じ。 もっと問題なのが生地。前述のお店は専用に生地を織って使っています。生地だけを売ることは、まずありません。 装束に関しては、全然お手上げなんですね。
でも、着物でも、反物ではなく、洋裁用の生地を使う方法があります。普段着には安上がりな洋裁生地が使われたらしく、ちょっと古い洋裁本には90cm幅や144cm幅といった広幅の反物から裁つ方法が紹介されています。
装束も生地にこだわらずに「形が同じもの」を作ると腹を決めれば、先の「時代装束の縫い方」を参考に縫っていくことができます。 私が装束に手をつけたのはこの「自作」が先でした。なんせ、売っているとは思わなかったので。狩衣、直衣、指貫、ウチギと縫いましたから、寸法の配分も分かってきました。
それは決して「売っているもの」とは同じではありません。しかし、洗濯できる生地、アイロンの可能な生地は気楽に普段に着用することが可能です。平安装束の良さは使われている生地の美しさだけではなく、その形状の着心地のよさ、居住まいの気楽さにもあります。「あんころ餅を落とした」「ジュースを垂らした」なんてことに一喜一憂するようでは、着心地を楽しむことができません。これは着物も同様です。高価な友禅振袖しか持たない人は大抵着物が嫌いです。
決して上手ではない、いや下手な部類に入る私は、それでも、謎の洋服類を作り続け、子供の着物を縫い、そして装束の縫製に至りました。「自作できますか?」という質問に関して、答えに困るのはこの「裁縫経験はいかほど?」という辺り。 洋裁経験があり「型紙図があれば作れる」という人なら、なんとか「類似形状のもの」が作れます。 更に和裁経験が「浴衣くらいなら」というなら、細部の仕上げもそれっぽいものが可能でしょう。 コスプレをする人だと、だいたい、コレくらいの技能があるので、自作派でもだいたい「類似形状」のものを着てます。 生地は大抵、紋織りのサテンか木綿が入手しやすい生地。
私は化繊の着物反物を利用しています。色柄が装束に少しは近いし、広幅よりも反物幅の方が長い身頃の場合は楽だから。 そして、この量使うと、案外と化繊反物は広幅よりお安い。 トドメは、洋服地をより必要量に対応する重さが軽い。 最初に作った直衣は洋服地のジャガード織りでしたが、直衣と単衣と袴の生地を買ってもらった総重量はなかなかなものでした。 これ全部身につけるかと思うとゾっとしたものです。
装束の自作は例えて言うならば、「憧れの高級ブランドのスーツの型紙が雑誌に掲載され、それを近所の生地屋で100円/mの生地を買って作った」ようなものです。高級ブランドのスーツは生地からして別注品で縫製も上等です。それを安物生地で自作したら、普段着以外の何者でもありません。本物は結婚式にすら参列できるようなものでも、自作物の方は3900円の安物スーツで済ます方がまだマシって状態です。 でも、私はこれの自作もしました。カッティングが優れていますから、普段着にも最適なんですもの。額が額だから醤油こぼしたって怖くないですしね。
自作例: 狩衣はチャイナドレス生地白地に濃紅梅色の梅柄 裏地は洋服の裏地生地で羽二重織り 指貫は一般のサテン生地 単衣は着物の綸子の蘇芳に桜柄。
あんころ餅とメロン味シロップ付きのクレープをこぼしました。
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