優妃 讃良の着物についておもうこと
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2004/04/19(月) 何から買うべきか
着物を持っていない人からよく受ける質問にこれがある。
「何から買うべきか」
平安装束でも、このような質問があったりする。

でも、考えてみるとおかしな話。洋服に対してこんな質問はしない。
と、とりつく島のない返答をしても始まらないので、質問した方の立場に立って考えてみよう。

こういう質問をする人間は、大概の場合、着物や装束を着てエンジョイしている人の話をサイトや本で見たり、運よく着用体験した人間に多い。「自分もこんな風に着てみたい」というわけ。
「何"から"揃えれば」という質問は正しくは「何"を"揃えればよいか」という意味に等しいことが多い。
何せ、初心者にとっては腰紐だの伊達締めだのという小間物がなければ着れない「らしい」ことはわかっても、何をいくつ揃えればよいのか、更に何ランクもあるように見える等価物のどの辺りのものが初心者向きなのか全くわからないから。

が、答える側としても知りたいことがある。「どんな場で、何のために着る予定のものなのか?」である。

「着物」と一口に言っても、下は「家でゴロ寝用」から上は「宮中で陛下に謁見用」まであるわけだ。ゴロ寝用なら下着類はかなり洋服のものを流用して構わないし、化繊モノが洗濯に便利。逆に足袋などは「色足袋、柄足袋」といったオシャレを楽しむのも良い。凝ったところで足袋の代金は他のものに比べると安いから。
対するピンの方なら、やはり下着や紐からリキを入れたい、というかリキ入れないと「馬脚を現す」になる。着物というものは下のものでも脇だの裾だのから見えてしまうのだから。

装束は別な意味で「どこで着るの?」になる。
というのは、好意や商売で貸してくれる機会がある。こういう場所に出る機会を得られるのならば、貸してくれるものは後回しにして、「個人で持たなくてはいけないもの」から揃えていけば良いわけだ。この場合、足袋、肌着、襦袢、白小袖、帯はそれにあたる。ここから進んで、袴、単衣、上着と揃えていく。

こういう機会なく「欲しい」というのは、外人が「キモノが欲しい」というのに似ているので、逆に上から揃えていくのが楽しい。外人はキモノだけ買って、ガウンの様に羽織るらしい。

装束の方に特定して話をもっていくと、同じような狩衣だの女房装束だのでも厳密には「どの時代を模しているのか」で違ってくる。「平安を忠実に再現」を目指すものは当然いるとして「見目を優先のモドキ」もいれば、「明治の装束を目指す」もいる。
私が何かというと、どれでもなく、強いて言うと「平成の装束をコーディネートする」というのが一番近い。様式美の誇張が盲腸状態に達したような現代の着物の正装に比べて、平安装束は意外と着付けも楽なら居住まいも楽。とはいえ、だだっぴろい風通しの良い寝殿の上で暮らしていた女房達に比べて、狭い住宅事情と土足の戸外歩行を考えると、対応するデザインの変更が生じる。
袴を切袴にしてみたり(平安当時も外出は切袴や指貫)、ウチギの裾を短くしてみたり、着物に近い色目の生地に寄せてみたりと。

添付は成果の一つ。通常ならば袷を重ねていくところを単を重ねている。なんとなれば袷は単のほぼ二倍の値だから。贅沢にも色々な色合わせをしたい私には単を重ねていく方が重宝。
青(今の緑)、萌黄、黄と重ねた上に藍に寄せた二藍の生絹(すずし)を重ねる。ちょっと早いが「橘の襲ね(かさね)に二藍の上着」という次第。秋になれば、萌黄が消えて一番上に紅を重ねて「紅葉の襲ね」となる次第。


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